Professor Imanaka`s Presentation 01 July 2014

Report
Japan Council for Quality Health Care
- QI(Quality Indicator)と病院経営 アウトカム向上への包括的アプローチ
Clinical Outcome Improvement and Strategic Organizational Management
2014年7月1日(火)
1st July 2014
今中 雄一 Yuichi Imanaka
公益財団法人 日本医療機能評価機構 執行理事
京都大学 大学院医学研究科 医療経済学分野 教授
Executive Board Member - Japan Council for Quality Health Care,
Professor of Healthcare Economics and Quality - Kyoto University Graduate School of Medicine
1
Japan Council for Quality Health Care
概要
治療アウトカム向上を含む医療の質の向
上は、各々の臨床現場の力によります。
しかし、個々の医療者の努力のみならず、
病院運営全体で医療の基盤を構築してい
くことが、極めて重要となります。
そこにはマネジメント力、経営力が求めら
れます。そのマネジメント力強化に向けて
組織をレビューするチェックリスト(暫定版
Ver.1.1)も 提示し、議論します。
2
Japan Council for Quality Health Care
アウトカム指標提示例 (1)
■
心臓発作で急性期病院に入院
した症例の在院日数比較
実際の在院日数
予測在院日数の範囲
(日)
(Pennsylvania Health Care Cost Containment Council
1996. In Iezzoni LI, editor. Risk adjustments for measuring
health care outcomes. Health Administration Press; 2003)
3
Japan Council for Quality Health Care
アウトカム指標提示例 (2)
(PHC4 Hospital Performance Report 2011. Western PA)より抜粋
4
Japan Council for Quality Health Care
急性心不全のアウトカム
院内粗死亡率と予測死亡率
・
粗死亡率
予測死亡率
(95%信頼区間)
Can J Cardiol 2013;29:1055-61
5
Japan Council for Quality Health Care
院内死亡予測因子
変数
女性
年齢 (reference; 20-59才)
60-69
70-79
80-89
≥90
搬送経路(reference;予定入院)
緊急入院(救急搬送あり)
緊急入院(救急搬送なし)
入院時NYHA分類(reference;II)
III
IV
心不全による重症呼吸不全
虚血性心疾患
高血圧症(高血圧性心疾患含む)
心房粗細動
致死性不整脈
慢性腎不全(軽症~中等症)
ショック(心原性ショック含む)
Hosmer-Lemeshow 検定
C-statistics (95%信頼区間)
NYHA:New York Heart
Association
調整オッズ比(95% 信頼区間)
[NYHA分類] 変数なしモデル
0.96 (0.80-1.15)
[NYHA分類] 変数ありモデル
0.96 (0.80-1.15)
1.32 (0.72-2.41)
1.32 (0.71-2.44)
2.21 (1.29-3.79)**
2.24 (1.30-3.86)**
4.10 (2.44-6.87)***
4.15 (2.46-6.99)***
7.53 (4.42-12.82)*** 7.47 (4.36-12.79)***
1.39 (1.06-1.84)*
1.11 (0.85-1.44)
1.09 (0.82-1.45)
1.00 (0.76-1.31)
–
–
3.09 (2.40-3.98)***
2.28 (1.66-3.12)***
5.67 (4.20-7.65)***
2.49 (1.91-3.24)***
0.58 (0.47-0.71)***
0.57 (0.47-0.70)***
0.28 (0.23-0.34)***
0.29 (0.24-0.36)***
0.61 (0.49-0.76)***
0.64 (0.52-0.79)***
2.04 (1.34-3.10)**
1.93 (1.26-2.95)**
1.59 (1.25-2.01)***
1.53 (1.20-1.95)**
3.36 (2.08-5.40)***
2.86 (1.71-4.76)***
P=0.44
P=0.88
0.76 (0.74-0.78)
0.80 (0.78-0.82)
***P<0.001; **P<0.01; *P<0.05.
Can J Cardiol 2013;29:1055-61
6
Japan Council for Quality Health Care
優れたリスク調整方法に、
北米でも注目
7
Japan Council for Quality Health Care
急性心筋梗塞診療のアウトカム向上に係る
病院の戦略要因の同定:調査例 (1/2)
Bradley EH et al. Hospital Strategies for Reducing Risk-Standardized Mortality Rates
in Acute Myocardial Infarction. Ann Intern Med 2012 156:618-626
【目的】
急性心筋梗塞において、低いリスク調整死亡率に
係る因子を同定する
【方法】
CMS医療管理データ(2005-2008年)において AMIの
30日リスク調整死亡率を算出した537急性期病院に
Webアンケート調査 2008-2009年(回答率91%)。を
行い、調査項目と死亡率との関連について多変量解
析を行った。
8
Japan Council for Quality Health Care
急性心筋梗塞診療のアウトカム向上に係る
病院の戦略要因の同定:調査例 (2/2)
【結果】 <同定された5つの項目>
・救急医とともに開く月例AMI症例検討会
・専門医の24時間常駐
・ケアプロセスにおいて、自発的問題解決を
医師に促す組織文化
・ICU看護とカテ室看護を兼任しない
・死亡率を改善させるリーダーを医師・看護師の
両方に作る
【結論】
まだ多くの病院で採用されていない、複数の病院因
子が、AMIの低い30日死亡率と関連していた。
9
Japan Council for Quality Health Care
【医療の質・経営フレームワーク】
MO 医療の成果
FO財務の成果
SP システムとプロセスのマネジメント
医公
療財
の
質日
本
・
経医
営療
支機
援能
向評
上価
事機
業構
よ
り
(
HR 人・組織の成長とマネジメント
)
EP 環境把握と経営計画
MV ミッション・ビジョン・バリュー
HA 成り立ち・沿革・過去の実績
Japan Council for Quality Health Care
アウトカム向上のための
包括的なアプローチ
チェックリスト Ver. 1.1(暫定案)
11
Japan Council for Quality Health Care
1.アウトカム向上チーム
1.1. 担当チームの責任医師中心に、アウト
カム向上をミッションとしたチームを作る。
1.2. 担当する医師、看護師リーダ、コメディ
カル、救急部門のスタッフ、事務系部門(情
報室、企画室等)が主体的に参加する多職種
チームを作る。
1.3. 病院幹部は、このチームを支援し必要
な権限と責任を持たせる。
12
Japan Council for Quality Health Care
2.病院幹部のコミットメント
2.1. アウトカム向上のチームに病院幹部も
加わり、院内の資源の移動・配分や予算、
病院の基本的な方針・施策の面からも、支
援する。
2.2. 当該疾患のアウトカム向上を、病院全
体で実現を目指す、一つの基本方針として
位置づける。
13
Japan Council for Quality Health Care
急性心筋梗塞の死亡率の改善事例
急 性 心 筋 梗 塞 死 亡 率 (2 4 時 間 以 内 死 亡 を除 外 )
2 5 .0 %
2 0 .0 %
1 5 .0 %
1 0 .0 %
5 .0 %
0 .0 %
2001
2002
2003
2004
2005
2006
年度
予 測 値 (下 限 )
予 測 値 (上 限 )
実測値
Quality Indicator/Improvement Project http://med-econ.umin.ac.jp/QIP/
14
Japan Council for Quality Health Care
3.アウトカムの見える化とフォロー
3.1. 定期的に指標を算出する(毎月あるい
は四半期ごと、半年ごとなど)。
3.2. チームで共有する(部長・科長、スタッフ
の医師、看護師・コメディカル)。
3.3. 院内で、いろいろな人が見えるようにす
る(院長、副院長、全科の部長/管理職/
一般職員)。
15
Japan Council for Quality Health Care
測れないものは管理できない
"You can't manage what you can't measure“
(Drucker PF)
• パフォーマンスを向上するには、
そのパフォーマンス(質、コストetc)を、
測定し可視化しないといけない。
Japan Council for Quality Health Care
システムのマネジメント
システム:相互に影響しあう要素から構
成される、全体として機能するまとまり
医療はシステム
システムには
包括的なアプローチが必要
Japan Council for Quality Health Care
4.当該疾患の院内死亡全例の
包括的検討
4.1. 医師中心に多職種(事務系も)入り、包
括的に検討する(RCA等の枠組みも参考に
なる)。
4.2. 個々の判断や技術面のレビューを行う。
4.3. 診療プロセス全体をレビューする(搬送前
からの院外連携も視野に、全てのプロセスを連動
させる)。
18
Japan Council for Quality Health Care
5.対象疾患のクリニカルパスの活用
5.1. 対象疾患のクリニカルパスを、医師の
リーダーシップで、多職種参画して作る。
5.2. 対象疾患のクリニカルパスを、充分に
活用する。
5.3. 対象疾患の患者版クリニカルパスを、
充分に活用する。
19
Japan Council for Quality Health Care
パフォーマンスに係る包括的な要因検索の
フレームワーク
外部環境に関する要因
医療チームに関する要因
・経済状況、保健政策、政治的コンテクスト
・診療圏の医療のニーズと提供体制
・コミュニケーション、指導と支援
・チームの構造とリーダーシップ
組織と管理に関する要因
スタッフ個人の要因
・財源と組織構造
・方針の基準と目的
・安全文化とプライオリティ
・知識、スキル、資格
・モチベーションと態度
・心身の健康
職場環境に関する要因
タスクに関する要因
・レベル、スキルに考慮した職員配置、 ・タスクのデザイン、構造の透明性
仕事量
・プロトコールの有効性と利用
・設備の有効性と維持
・検査結果の有効性と適切性
・経営管理部門による支援
患者に関する要因
・疾病の状態(複雑さと重症度)
・言語、コミュニケーション、社会経済因子
20
Japan Council for Quality Health Care
6.人員体制、協力体制の強化
6.1. 各人の業務(役割、分担・連携)と目指す
技能のレベルを明らかにし、向上させる。
6.2. 人員体制、当直体制等を整備する
6.3.計画的に、必要な人材を育成し確保し
ていく。
21
Japan Council for Quality Health Care
Outcome
Process
Structure
22
Japan Council for Quality Health Care
資源の重要性
アウトカム と 症例数
例: 専門的技術を要する外科手術
アウトカム と 医師数
例: 常時、チームの待機を要する、内
科系救急疾患
23
Japan Council for Quality Health Care
急性心筋梗塞アウトカムの関連因子
• 患者変数と病院変数を調整すると、
30日以内院内死亡
病院レベル変数
OR
P value
急性心筋梗塞症例数
1.000
0.559
循環器専門医数
0.956
0.038
院内死亡
OR
P value
1.000
0.876
0.953
0.049
症例数と死亡率との間に関連なし
専門医が多いと、死亡率は低い
Park S, Imanaka Y et al. Int J Cardiol 2013;168:4470-1
Japan Council for Quality Health Care
Adjusted Odds Ratios of Prescribing
Discharge Medications in AHF
1.8
1.6
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
- ACEI or ARBs -
*: p < 0.001
0*
1-4 (ref)
5-9*
≥10*
n=955
n=15,867
n=15,337
n=6,509
Number of Cardiologists/Hospital
京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
Japan Council for Quality Health Care
Adjusted in-hospital mortality
- Risk-Adjusted Mortality in AHF
(%)
12
*: p < 0.001
10.7
10
8
7.1
7.0
5.4
6
4
2
0
0*
1-4 (ref)
5-9
n=955
n=15,867
n=15,337
≥10*
n=6,509
Number of Cardiologists per Hospital
京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
Japan Council for Quality Health Care
7.成長を促す環境の整備
7.1. プロとして成長できる環境を整備してい
く。
7.2. 現スタッフ~若手医師の訓練システム、看
護師・コメディカルの訓練システムを強化する。
7.3. 積極的に学会発表をできるようにする。
7.4. 学生等の教育にも注力する。
27
組織風土と患者満足
患者から見た病院の評判
Japan Council for Quality Health Care
プロとしての成長に関する職員の満足
28
Japan Council for Quality Health Care
8.周囲との関係づくり
8.1. 診療所や病院との関係を強める。一
緒に勉強会・研修会を行う。
8.2. 地域救急システムや救急隊との関係
を強化する。救急救命士の教育などで貢
献する。
8.3. 患者、一般市民向けの講演会、啓発
活動を積極的に行う。
29
Japan Council for Quality Health Care
9.リーダーは組織風土を築く
○ 組織の中の人々の行動や思考のパターンを決定する、(しばし
ば意識されることのない) 一連の強い力 (Schein, 1999 改変)
○ 組織内で共有された価値観、規範、信念のセット (加護野,1988 改変)
9.1. プロとしての、絶え間ない成長を促す。
9.2. 部門間・職種間の協力・協働を、病院
として推進する。
9.3. 患者のために、手順やシステムを改善
・変革していく。
9.4. 患者のために、目標必達の行動習慣
を確立する。
30
Japan Council for Quality Health Care
マネジメントの基本サイクル
分析・対策
計画修正
計画策定
(標準化)
Plan
(S)
Act
Check
データ収集
評価
組織文化
Do
計画の実施
31
Japan Council for Quality Health Care
組織文化調査
病院間での比較
病院B
A.チームワーク
H18年
H19年
全体平均
病院E
A.チームワーク
100
100
H.改善の
システム
80
B.情報共有
60
H.改善の
システム
20
C.士気・
やる気
D.プロとして
の成長
F.資源
80
B.情報共有
60
40
40
G.責任と
権限
H18年
H19年
全体平均
E.組織の価値観
http://www.iryo-keiei.org/psoc/
http://med-econ.umin.ac.jp/PSOC/
G.責任と
権限
20
C.士気・
やる気
D.プロとして
の成長
F.資源
E.組織の価値観
32
Japan Council for Quality Health Care
組織文化調査
病院・職位間比較
職位3階層による
組織文化平均点
80
幹部
非管理職
中間管理職平均
中間管理職
幹部平均
非管理職平均
70
60
50
病院A
病院1
病院B
病院2
http://www.iryo-keiei.org/psoc/
http://med-econ.umin.ac.jp/PSOC/
病院C
病院3
病院D
病院4
病院E
病院6
病院F
病院7
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Japan Council for Quality Health Care
改善策実施後の調査結果
H18
H19
全体平均
病院全体
〔1〕安全確保
70
H18年
H19年
H19年5病院平均
入院全般
60
1.05
50
40
安全文化
〔2〕職務満足
30
入院
生活環境
1
再利用意向
0.95
0.9
20
0.85
事務
〔4〕ハラスメント
看護師
〔3〕仕事量負担
コメディカル
組織文化等
初年
患者満足度
院長が医局会議↑ 個別医師面談↑
Nsから毎朝 挨拶運動⇒全職種へ波及
CS委員会・改善活動の活発化
http://www.iryo-keiei.org/psoc/
http://med-econ.umin.ac.jp/PSOC/
医師
翌年
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Japan Council for Quality Health Care
データ活用と組織文化
医療の質の改善活動
医療安全管理・事故防止、感染管理
サービス改善活動
データの活用
例:質指標、インシデント、コスト・収支や経営指標
環境に対応した組織の変革能力
患者・地域のための医療の努力
学習・成長する組織、変革できる組織をつくることが重要 35
Japan Council for Quality Health Care
http://quality-indicator.net/
各団体のQI事業や
その指標の紹介、
QIの共通定義プール 有り
36
Japan Council for Quality Health Care
‘ま と め’
10.病院全体で包括的に取り組む
1.アウトカム向上チームをつくる
2.病院幹部がコミットする
3.アウトカムを見える化しフォローする
4.当該疾患の院内死亡全例の包括的検討を行う
5.対象疾患のクリニカルパスを活用する
6.人員体制、協力体制を強化する
7.成長を促す環境を整備する
8.周囲との関係づくりを進める
9.リーダーは意識して組織風土を築く
37
Japan Council for Quality Health Care
ご清聴ありがとうございました。
協力:
http://med-econ.umin.ac.jp/QIP/
38
Japan Council for Quality Health Care
Question?
39
Japan Council for Quality Health Care
2016年第33回
ISQua国際学術総会東京開催
日程:2016年10月16日(日)~19日(水)
場所:東京国際フォーラム
規模:約70カ国1200名
40

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