工学院大学新宿校舎の揺れと被害

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工学院大学・新宿校舎の揺れと被害
大学棟
オフィス棟
オフィス棟 大学棟
久田嘉章・山下哲郎
(工学院大学建築学部)
1
工学院大学新宿校舎概要
大学棟(工学院大学高層棟)
東京都新宿区西新宿
1989年
1170㎡
地上29階、地下6階、塔屋1階
NS:5.59、EW:3.73
地上:鉄骨造(ブレース付ラーメン架構)
構造種別 地下1~2階:鉄骨鉄筋コンクリート造
地下3~6階:鉄筋コンクリート造
NS
EW
38.4
25.6
3.2 3.2
3.2 3.2 3.2
25.6
6.4
3.2 3.2 3.2
3.2 3.2
127.8
4.0 4.0 4.0 4.0 5.2
4.3 4.3 4.3 4.3 4.3 3.9 4.3 5.1 4.2 4.2
5.5 4.0 4.0 4.0 4.0
4.6 4.3 4.3 4.3 4.3 3.9 3.9 4.3 4.2 4.2
建物名称
建築場所
竣工念
基準階面積
階数
アスペクト比
Y14
X2
太線はブレース位置
基準階伏図
・東西コアを結ぶ25.6mの大スパン梁
・ EW方向16階、21階にスーパーフレーム
固有周期(秒)
1次
2次
微動
NS EW
2.8
2.6
0.83 0.87
30F
29階
25F
24階
22階
構造計算書
NS EW
3.3
3.1
1.08 1.08
20F
15F
16階
10F
8階
5F
1階
軸組図(左Y14、右X2通り)
EW方向立面図
地震計設置階
2
主な強震観測地震の一覧
2007年~2010年 観測地震波
(M3.8~7.6)
地震名称
表示名称
発生時刻
震源深さ マグニチュード
茨城県沖の地震
同
2008年5月8日1時45分
51km
M7.0
岩手県内陸南部
同
2008年6月14日8時43分
8km
M7.2
福島県沖の地震
同
2008年7月19日11時39分
32km
M6.9
東海道南方沖の地震
同
2009年8月9日19時55分
333km
M6.8
駿河湾の地震
同
2009年8月11日5時07分
23km
M6.5
等、計37地震
東北地方太平洋沖地震 前・本・余震 (2011年3月9日~4月26日)
(M5.0~9.0)
地震名称
表示名称
発生時刻
震源深さ マグニチュード
三陸沖地震
前震
3月9日11時45分
8km
M7.3
東北地方太平洋沖地震
本震
3月11日14時46分
24km
M9.0
三陸沖地震
余震1506 3月11日15時06分
10km
M7.0
茨城県沖地震
余震1515 3月11日15時15分
80km
M7.4
茨城県沖地震
余震1557 3月11日15時57分
20km
M6.1
3
等、計113地震
前震(29F-NS)
-5
100
速度
vel(kine)
本震(29F-NS)
100
-100
余震1557(29F-NS)
-50
5
-5
速度
vel(kine)
速度
vel(kine)
余震1515(29F-NS)
-20
50
20
余震1506(29F-EW)
速度
vel(kine)
速度
vel(kine)
余震1506(29F-NS)
速度
vel(kine)
20
余震1515(29F-EW)
余震1557(29F-EW)
-20
50
-50
5
-5
0
100
200
300 時刻(s)400
500
600
速度フーリエ振幅スペクトル(29F-NS)
前震
本震
余震1506
余震1515
余震1557
500
500
0
2000
50
50
55
55
1
1.5
100
2
2.5
NS
3
3.5
4 周期(s)
4.5
0.5
0.5
0.5
200
300 時刻(s)400
500
600
速度フーリエ振幅スペクトル(29F-EW)
前震
本震
余震1506
余震1515
余震1557
500
500
50
50
0.5
0.5
0.5
本震(29F-EW)
速度
vel(kine)
-100
2000
前震(29F-EW)
速度
vel(kine)
-5
5
速度
vel(kine)
観測波形 前・本・余震
速度
vel(kine)
5
1
1.5
2
2.5
EW
3
3.5
4
4 周期(s)
4.5
屋上階の最大速度振幅と1次固有周期
3.3
振幅依存性-NS-29F
NS
3.2
311本震後
周期(s)
3.1
本震
対数近似曲線
3
2.9
対数近似曲線
2.8
2007~2010年+前震
(周期×最大振幅)
本震+余震
(周期×最大振幅)
311本震前
2.7
2.6
0.01
3.1
0.1
10
振幅依存性-EW-29F
EW
3
最大速度振幅(cm/s)
1
100
周期(s)
対数近似曲線
対数近似曲線
2.6
311本震前
2.5
0.01
0.1
最大速度振幅(cm/s)
1


2.9
2.7
NS1次
NS2次
EW1次
EW2次
本震
311本震後
2.8
311本震における固
有周期(秒)
2007~2010年+前震
(周期×最大振幅)
本震+余震
(周期×最大振幅)
10
100
3.11
0.93
3.01
1.00
固有周期の伸
びを確認
最大速度振幅
の値が大きくな
るにつれ、固有
周期が長くなっ
ており顕著な非
線形特性を確
認
2011年東日本大震災(本震)
ー工学院大学・新宿校舎の加速度と変位波形ー
加速度(NS成分)
変位(NS成分)
29階:最大 291 gal (震度5.9)
最大 37.3 cm
22階:最大 154 gal
最大 31.3 cm
16階:最大 232 gal
最大 24.4 cm
8階:ノイズあり
1階:最大 97.0 gal
B6階:最大 78.4 gal(震度4.4)
-100m:最大 50.0 gal(震度4.1)
最大 8.2 cm
最大 11.3cm
最大 11.0cm
6
工学院大学新宿キャンパスでの揺れについて
(最大加速度、最大速度、最大変位、計測震度)
階
大
学
棟
最大加速度
30
30
25
25
25
20
20
20
15
15
15
10
10
10
5
5
NS
EW
0
30
100
200
300
400
階
20
-10
0
cm/s2
25
-5
-10
0
NS
EW
0
-5
-10
計測震度
30
5
NS
EW
0
-5
オ
フ
ィ
ス
棟
最大変位
最大速度
30
20
40
60
80
0
cm/s
10
20
30
40
50
15
cm
10
30
30
25
25
25
5
20
20
20
0
15
15
15
10
10
10
5
5
5
0
0
0
NS
EW
-5
NS
EW
-5
-10
100
200
300
400
cm/s2
-10
3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 6.5
オフィス棟
大学棟
NS
EW
-5
-10
-10
0
-5
0
20
40
60
80
cm/s
0
10
20
30
40
50
cm
3次元立体フレーム・弾塑性モデル(311前)
柱
・柱は塑性化しないと仮定
梁(材端バネモデル)
・全ての部材を合成梁として正負で異なる全塑性
モーメントを指針を元に算出 ※1
・履歴特性はバイリニア形とし2次剛性は1次剛性の1/105
ブレース
・座屈を考慮した柴田-若林の履歴特性を使用
・座屈荷重、座屈後安定耐力は、基準及び指針より算出※2,3
減衰
・加振実験より減衰定数1%のレーリー減衰と仮定※4
その他
・各階の床は剛床
・パネルゾーンは剛域
・柱脚の支持条件は固定
解析ソフト
・SNAP
表 立体モデル固有周期
NS
EW
1次
2次
1次
2次
2.91秒
0.93秒
2.83秒
0.99秒
履歴特性
※1:日本建築学会編:各種合成構造設計指針・同解説
ねじれ
2.1秒
※2:日本建築学会編:鋼構造設計基準
※3:日本建築学会編:鋼構造限界状態設計指針・同解説
※4:島村賢太他:日本建築学会大会学術講演梗概集(中
8
国)、構造Ⅱ、pp.817-818
時刻歴波形 解析結果と観測記録の比較例(29階)
※上からNS加速度、NS変位波形、EW加速度、EW変位
前震 加速度 EW方向
本震 加速度 EW方向
余震 加速度 EW方向
前震 変位 EW方向
本震 変位 EW方向
余震 変位 EW方向
前震 加速度 NS方向
本震 加速度 NS方向
余震 加速度 NS方向
前震 変位 NS方向
本震 変位 NS方向
余震 変位 NS方向
311本震(M9.0)
311茨城沖地震(M7.4)
309三陸沖地震(M7.3)
9
各階最大応答値 解析結果と観測記録の比較
前震
前震 加速度 EW方向
前震 加速度 NS方向
前震 変位 EW方向
前震 変位 NS方向
本震
本震 加速度 EW方向
余震 加速度 EW方向
本震 加速度 NS方向
余震 加速度 NS方向
本震 変位 EW方向
余震 変位 EW方向
本震 変位 NS方向
余震 変位 NS方向
余震
前震では対応し
た解析結果が、
本震後は加速
度を過大、変位
を過小に評価す
る傾向有 10
2011年東日本大震災
ー工学院大学・新宿校舎の揺れと被害ー
Video
コピー機の移動(25階)
室内の散乱(25階)
11
キャスター付き重い機器の移動(12階) 高層棟・中層棟のEJカバーの剥落(1階ホール)
ー工学院大学・新宿校舎の揺れと被害ー
倒壊しそうになった間仕切り壁(24階:固定していない室内の重い本棚が間仕切壁を押した)
天井の落下:28階
その他(14・21階など)
非常用エレベータの被害(復旧に約3週間)
12
注:写真は新宿西口地域の別の超高層建築
東北地方太平洋沖地震、想定東海・東南海連動型地震、
首都直下(東京湾北西)地震による揺れの比較
(
速
度
応
答
ス
ペ
ク
ト
ル
減
衰
5
200
K G N (3/11本震)
損傷限界(工学的基盤)
安全限界(工学的基盤)
東京湾北部90tile
想定東海・東南海連動
180
160
首都直下地震
140
NS方向
120
311地震は、想定
される首都圏直下
地震や東海・東南
海連動型地震より
も小さな応答
東海・東南海地震
100
80
%)(cm/s)
60
311本震
40
20
揺れの比較
0
0
5
10
周期(s)
15
20
13
東海・東南海地震の地震動(大成建設よ
まとめ
○工学院大学新宿校舎(29階S造)の揺れと被害
・311本震は微動・小地震レベルより1割程度の固有周期の増大(固
有周期に振幅依存性あり)
・本震後に周期が増大(2次部材などの剛性低下?)
・本震では高層階/地階に対して加速度・変位とも3~4倍程度まで
振幅増大、震度は地階の4~5弱から高層階の5強~6弱(但し、
2次モード影響有)
・微動・小地震に対応した振動モデルも改善の必要有
・主な被害:構造被害無し、天井落下、キャスター付什器の移動、間
仕切り壁の変形、エレベータケーブルの絡み、(高層階だけでなく
中層階でも)
・その他、アンケート震度調査、西口超高層を対象とした被害・対応
のアンケート・ヒアリング調査あり
○想定東海・東南海地震、首都直下地震では2~3倍程度の揺れの
可能性あり
14

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