CPR - NiCT

Report
National Institute of Information and Communications Technology
NICTオープンハウス2012
衛星搭載レーダによる雲や雨の計測
電磁波計測研究所
センシングシステム研究室
佐藤健治
1
National Institute of Information and Communications Technology
1980
NICTにおける衛星搭載用 雲・降水レーダ開発
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
1980- 航空機搭載雨域散乱計
台風の航空機観測
二周波アルゴリズム開発
NASAとの共同研究
TRMM/PR
TRMM/PR開発
Ku-band(13.8GHz)
GPM/DPR
1997~2014(?)
レーダシステム設計
送受信機BBM
アンテナBBM
アルゴリズム開発
Ku-band(13.6GHz)
Ka-band(35.5GHz)
GPM/DPR研究・開発
2014~
Ka帯レーダ電気EM
二周波アルゴリズム開発
1998~ 航空機搭載雲レーダ
開発・観測実験
EarthCARE/CPR
W-band
(94.05GHz)
(Doppler radar)
CloudSat(NASA/JPL)
W-band(94.05GHz)
EarthCARE研究・開発
レーダシステム設計
送受信サブシステムEM
準光学給電部EM
レベル1アルゴリズム開発
宇宙用高出力
送信管開発協力
2006~
2015~
National Institute of Information and Communications Technology
なぜ衛星搭載レーダによる雲や雨の観測が必要なのか?
 広範囲の均質な観測
地上雨量計の分布
GPCC Oct. 2011
 雨の降り方や雲の分布は世界中で均一では
なく、地域的な偏りや時間変化がある
 地上からの観測だけでは地球全体をカバーで
きない
 国ごとに地上観測データの品質のばらつきが
大きい
衛星は地球全体の均質な観測を可能とする
ほとんど唯一の手段
 鉛直分布の観測
 地球全体の気候システムを理解するためには
雨や雲の3次元的な分布の把握が不可欠。
例えば、
• 水の相変化(水蒸気⇔水⇔氷)に伴う潜熱が大気大循環に果た
す役割
• 雲の鉛直分布の変化がもたらす地球温暖化への影響
• 降水の鉛直分布モデルの最適化による高精度な降水強度推定
など
レーダを用いれば、雨や雲の鉛直分布の観
測が可能
2005年8月、TRMM/PRによる
ハリケーンカトリーナの観測事例
GPM主衛星搭載二周波降水レーダ
(GPM/DPR: Dual-frequency Precipitation Radar)
4
GPM(全球降水観測計画)と二周波降水レーダ(DPR)
• TRMM(熱帯降雨観測計画)の成功 → 熱帯から全球へ
– 1997年に世界初の衛星搭載降雨レーダ→マイクロ波放射計による降水強度推定精度の向上
• 衛星による降水(雨+雪)の観測
–
–
–
–
→ 科学研究から実利用へ
気候変動のモニタリング・気候モデルの評価
気象予報精度の改善
洪水警報システムの構築(例、国際洪水ネットワーク)
水資源管理、農業生産予測
主衛星 (JAXA+NASA)
二周波降水レーダ+マイクロ波イメージャ
レーダによる高精度三次元降水観測を
イメージャの降水強度推定の高精度化へ
副衛星群(各国宇宙・気象機関)
マイクロ波イメージャ、マイクロ波サウンダ
パッシブセンサによる
広範囲の降水の面的分布の高頻度の観測
高精度・高頻度の全球降水観測を実現 © NASA
3時間毎に全地球上の降水分布マップ
5
GPM主衛星
GPMマイクロ波放射計
GMI (NASA開発)
KaPR (35.55 GHz)
2014年打ち上げ予定
KuPR (13.6 GHz)
項目
仕様
ミッション
機器
二周波降水レーダ(DPR)
GPMマイクロ波放射計(GMI)
ロケット
H-ⅡAロケット
設計寿命
3年2ヶ月
質量
3,850 kg
軌道種別
太陽非同期円軌道
軌道高度
407 km
軌道傾斜角
65度
DPR (二周波降水レーダ)
JAXA/NICT 開発
6
7
二周波降水レーダ(DPR)による降水観測
KaPR, KuPR のビームを一致させる
測定範囲 KaPR (35.55 GHz)
高度
測定範囲 KuPR (13.6 GHz)
氷
①上空の弱い降水は
KaPRで観測
雪
中高緯度の
降雪観測
②二周波の減衰の
違いから雪と雨の識別
融解層
KuPR
KaPR
雨
③二周波法による
降水強度推定
(雨滴粒径分布の推定)
熱帯・中緯度での降雨の観測
レーダエコー強度
7
二周波降水レーダ(DPR)開発方針
TRMM/PR
128素子のアクティブフェーズドアレイレーダ
KuPR 13.6GHzのレーダ(TRMM/PRとほぼ同じ)
KaPR 35.5GHzのレーダ(新規開発)
DPRシステム
概念設計
基本設計
二つのレーダのビームを揃えて観測体積を一致させ、
二周波法を採用し、高精度化
長パルス(3.2μsec)を採用し高感度化(KaPR)
可変パルス繰り返し周波数の採用し
観測レンジ最適化による高感度化
KaPR 素子開発
アンテナ
固体増幅器
移相器
NICT担当
現在は
詳細設計
降水強度推定アルゴリズム開発
地上検証実験
軌道上校正実験 に注力
エンジニアリ
ングモデル
KuPRエンジニア
リングモデル
JAXA担当
フライトモデル
フライトモデル
新規開発の開発要素の高い部分をNICTが先導的に実施し、成果をJAXAへ移転
8
9
DPR フライトモデル 試験と衛星取り付け
KuPR
KuPRとKaPRの組み合わせ試験@JAXA筑波
JAXA筑波での試験を 2012年春に完了
NASA/GSFCに輸送され、主衛星取り付け
完了し、主衛星システム試験を実施中。
2013年秋に種子島へ輸送され、
2014年初めに H-IIAで打上予定。
衛星取り付け@NASA/GSFC
KaPR
9
EarthCARE衛星搭載雲プロファイリングレーダ
(EarthCARE/CPR: Cloud Profiling Radar)
10
EarthCARE開発の背景: 地球温暖化予測における雲とエアロゾルの不確定性
地球温暖化に伴う21世紀末の平均気温上昇の予測に関して、モデルにより大きな不
確定性が見られる。その不確定性の約半分程度は雲とエアロゾル(大気微粒子)の気
候への影響に関する我々の知識不足に起因している。正確な温暖化予測には雲とエ
アロゾルの観測情報が欠かせない。
エアロゾル(大気微粒子): 気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子を指す。
例) 工場煤煙、森林火災の煙、黄砂、など
高層の雲
低層の雲
エアロゾル
吸収・反射
反射
高反射率化
日傘効果で地面の
気温は下がる
熱放射
再放射
温室効果で地面の
気温は上がる
地球
雲の高さや厚さ、種類によって地面の気温は変化する
エアロゾルと雲の関係によって雲の反射特性が変化する
EarthCARE概要
地球温暖化予測における、最大の誤差要因で
ある雲・エアロゾルの全球的な把握を目指す。
 日欧共同ミッション
NICT
協定
協定
JAXA
CPRの共同開発
・主要機器EM開発
送受信サブシステム
準光学給電部
・レーダ方式設計
etc.
・CPR全体とりまとめ
・CPRシステム開発
・CPR PFM製造
・CPR運用
etc.
ESA
EarthCARE 衛星
質量/消費電力:2.2 t /1650 W
軌道:太陽同期準回帰軌道 (回帰周期: 25日)
高度: 約400 km
軌道傾斜角: 97°
降交点地方時: 14:00
ロケット:ソユーズ
打ち上げ:2015年
・衛星開発とりまとめ
・搭載センサ開発
大気ライダー,
多波長イメジャー
広域放射計
・衛星運用
・打ち上げ
etc.
雲プロファイリング
レーダ
CPR
ESA: European Space Agency(欧州宇宙機関)
 EarthCARE に期待されるもの
–
–
–
–
大気ライダーによるエアロゾルの鉛直分布
雲プロファイリングレーダによる雲水、雲氷の鉛直分布
雲と降水の相互作用の解明
雲とエアロゾル情報の放射収支モデルへの導入
4つの搭載観測機器の同時観測によって1つの観測機
器だけでは実現できない、エアロゾルから雲、弱い降
雨までの一連の鉛直観測と高精度評価を実現
大気ライダー
広帯域放射計
多波長イメジャー
12
CPRの外観と主要諸元
主反射鏡
展開機構
中心周波数
送信パルス幅
アンテナビーム幅
偏波
送信尖塔電力
パルス繰り返し周波数
観測高度
衛星直交方向分解能
衛星進行方向分解能
準光学給電部
鉛直方向分解能
最小受信感度
送受信制御部
レーダエコーデータ精度
信号処理部
低出力送信器
高出力送信器
保持解放機構
受信器
CPR外観図(展開時)
CPR外観図(収納時)
ドップラ速度計測範囲
ドップラ速度計測精度
外形寸法
質量 / 消費電力
設計寿命
1)
2)
94.05 GHz
3.3 μs
< 0.095 deg
円偏波
>1.5 kW (EIK出力端)
可変: 6100 ~ 7500 Hz
-0.5 ~ 20/16/12 km
< 750 m
< 900 m
(積分長: 500 m)
500 m
(サンプリング: 100 m)
< -35 dBZ
< 2.7 dB
1)
2)
(外部校正に1dBを配分)
±10 m/s
< 1 m/s
(-19 dBZ以上の雲)
2538 x 2730 x 3345 mm
< 270 kg / < 316 W
>3年
積分距離をアンテナパターンで重みづけし3dB幅で算出
10 km 積分時
2)
13
CPRの特徴と観測概要
 世界最高感度レーダ
 放射収支に重要な氷雲の98%を観測可能
 米国CloudSat衛星の雲レーダより6dB(約4
倍)以上高感度
 世界初の衛星搭載ドップラー気象レーダ
 落下速度の違いから雲、雨、雪、霧雨などの
粒子を判別
 落下速度の違いから粒径を推定
 大気鉛直流の推定
This image is from NASA/CloudSat quick look data and edited
直下方向のみ観測
CPR
衛星進行方向
衛星高度 約400km
中心周波数
94.05 GHz
送信電力
[email protected]
レーダ反射因子 (dBZ)
垂直分解能 500m
観測高度
20km(低緯度)
16km
12km(高緯度)
(緯度により切替)
ドップラー速度 (m/s)
航空機搭載雲レーダ(SPIDER)
による雲の鉛直断面の観測例
地表面
サンプリング100m
0.095°
フットプリント 750m
水平方向積分距離 500m
CPRを支える技術開発、レーダ方式設計
 世界最高感度レーダ
– ミリ波帯の電波の使用、および直径2.5mの大型アンテナによる利得向上
– 準光学給電方式の採用による大幅な損失低減
– Cloudsatにて実績のある大電力送信管の長寿命化
– 低雑音受信器設計
– 観測高度に応じて変更可能な可変PRF設計
– レーダ動作をできるだけ止めない機器校正方式、 など
 世界初の衛星搭載ドップラー気象レーダ
– パルス間の相関を保つための鋭いビーム・高いパルス繰り返し周波数(PRF)
– 衛星速度の混入を防ぐ厳しいビーム指向方向精度実現
– 軌道上処理が容易なパルスペア方式の採用、 など
NICTは航空機搭載雲レーダ(SPIDER)の経験を活かして、衛星搭載雲
レーダの性能解析を実施し、その結果を用いて方式設計を実施した。
CPRの開発状況
 主要サブシステムのエンジニアリングモデル
(EM)開発が完了

送受信サブシステム、準光学給電部の詳細設計審査完了
 CPR EMシステム試験を実施中

2012年度中にEM開発完了 → 詳細設計審査 → PFM製造
着手の予定
 2015年末の打ち上げが目標
CPR-EM 熱真空試験
@ JAXAつくば宇宙センター
CPR-EM総合電気性能試験
@ JAXAつくば宇宙センター
測定されたアンテナパターン
CPR-EM アンテナ
[email protected] Space
National Institute of Information and Communications Technology
CPR開発における主なNICTの寄与
 レーダ方式設計、および性能解析
 衛星搭載ドップラーレーダの実現可能性の検討、および概念設計
 要素技術の開発研究
 CPRアンテナスケールモデル(80cmφ)の試作
 準光学給電部(QOF)の機能確認モデル(BBM)製作
 大出力送信管の長寿命化
 送受信サブシステム(TRS)のエンジニアリングモデル
(EM)の開発
CPRアンテナスケールモデル(80cmφ)
 低出力送信器、高出力送信器、受信器、送受信制御器
 準光学給電部(QOF)のエンジニアリングモデル(EM)の
開発
低出力送信器
受信器
高出力送信器
 CPRデータ処理アルゴリズムの開発
 CPRの校正および検証
送受信制御器
主反射鏡
送信管用電源
大出力送信管
EMでは片系のみ製作
送受信サブシステム(TRS) EM
展開機構
外部校正予備実験で測定した
Cloudsatのアンテナパターン
準光学給電部
送受信制御器
信号処理部
低出力送信器
準光学給電部(QOF) EM
高出力送信器
保持解放機構
受信器
National Institute of Information and Communications Technology
1980
まとめ
1985
1990
1995
2000
2005
2010
2015
2020
 NICTではこれまで培ってきた航空機搭載・衛星搭載レーダの技術
1980- 航空機搭載雨域散乱計
を発展させ、GPM主衛星搭載二周波降水レーダ(GPM/DPR)、
台風の航空機観測
二周波アルゴリズム開発
EarthCARE衛星搭載雲プロファイリングレーダ(EarthCARE/CPR)
NASAとの共同研究
を宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発している。
TRMM/PR
TRMM/PR開発
Ku-band(13.8GHz)
1997~2014(?)
レーダシステム設計
送受信機BBM
アンテナBBM
アルゴリズム開発
 GPM/DPRについては、プロトフライトモデル(PFM)の製作、NASA
への輸送が完了。現在、NASAゴダード宇宙センターにてGPM主
GPM/DPR
GPM/DPR研究・開発
2014~
Ku-band(13.6GHz)
衛星のシステム試験中。2014年初めにH-ⅡAロケットにて打ち上
Ka帯レーダ電気EM
Ka-band(35.5GHz)
二周波アルゴリズム開発
げ予定。
1998~ 航空機搭載雲レーダ
開発・観測実験
 EarthCARE/CPRについては、現在CPRシステム試験中。2012年
EarthCARE/CPR
EarthCARE研究・開発
2015~
W-band
度中にエンジニアリングモデル(EM)の開発を完了し、プロトフライ
レーダシステム設計
(94.05GHz)
送受信サブシステムEM
(Doppler radar)
トモデル(PFM)製造に着手予定。
2015年末の打ち上げが目標。
準光学給電部EM
レベル1アルゴリズム開発
CloudSat(NASA/JPL)
W-band(94.05GHz)
宇宙用高出力
送信管開発協力
2006~

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