20130919 「甲状腺疾患を見逃さないように」

Report
学術情報セミナー「MEDICAL
TALK」
松本医師会生涯教育講座
H21, 4
平成25年9月19日(木)14:30-16:30
梅田スカイビルタワーウエスト36F 「スペース36L」
大阪福祉事業財団 すみれ病院
院長 浜田 昇

甲状腺疾患の頻度は高く、10人に一人はいると言われて
います
それは疫学的な調査の話で、
 毎日診療している患者さんの中には、それほどいるとは思
えない、というのが先生方の印象ではないでしょうか

ところが、実際には一般外来を受診する患者の中にも非
常に高い頻度で甲状腺疾患が見つかります


一般外来で甲状腺疾患を見逃さないコツ
甲状腺疾患を疑ったときのアプローチの仕方
何を検査して、どのように鑑別していけばいいか
特にTRAb, TgAb, TPOAbの使い方

甲状腺に結節が出来ている場合の対応
頚動脈エコーをとると、甲状腺の結節がよく見つかります
これは、どのようにすれば良いのか、紹介すべきなのか

潜在性甲状腺機能低下症の見方
FT4は正常なのに、TSHが少しだけ高い症例は、どうすれば良いのか
私がすみれ病院に移った時に、甲状腺の患者さんが少なかった
ので、一時期たくさんの一般外来患者さんをみました
そのときに私が出しました頻度をお見せします
対象は、
先生方が毎日見ておられる患者さんと同じような患者さんです
対象


H3年から4年間にすみれ病院の一般外来を受診した患者のうち私
が診察した1489名
バイアスがかからないように、
甲状腺疾患の疑いがあって
受診した患者、紹介患者は
除外した。
方法



対象患者の年齢分布
甲状腺が触知されるもの
症状、所見、一般検査値の異常から甲状腺疾患が疑われるものに
ついて精査した。
全例調べたわけではありません。
甲状腺に何らかの異常が認められたもの
(単純性甲状腺腫を除く)
566名中
 女性 923名中
 全体 1,489名中
 男性
3.9%
18.8%
13.2%
日本医事新報 3740:22, 1995
こんなに多いの?
自分でも驚くくらい
でしたが、
疫学調査と同じくらいの頻度です
甲状腺中毒症
甲状腺機能低下症
女性 923名
男性 566名
(人中に一人) (人中に一人)
0.65 % (150) 0.17 % (600)
0.43
(230) 0.53
(200)
甲状腺癌
0.43
(230)
橋本病、橋本病の疑い
11.8
甲状腺結節
潜在性甲状腺機能低下症
0.35
(300)
(9)
2.6
(14)
5.8
(17)
0.7
(140)
1.84
(50)
0.88
(110)
が、全てが医療の対象になるわけではない

では見逃してはいけない甲状腺疾患の頻度は?
◦ 明らかな甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、
◦ それに1cm以上の大きさの癌は見逃してはいけないでしょう
バセドウ病
甲状腺機能低下症
女性 923名
男性 566名
(人中に一人) (人中に一人)
0.33 % (300) 0.17 % (600)
0.67
(150) 0.53
(200)
甲状腺癌
0.43
(230)
0.35
(300)
潜在性甲状腺機能低下症
1.84
(50)
0.88
(110)
3つあわせると女性では1.51 %
70人に1人
潜在性甲状腺機能低下症
男性では1.05 % を加えるとその頻度は、
100人に1人
女性30-50人に一人以上
住民検診や人間ドックの報告のまとめ
疫学調査による日本の甲状腺機能異常症の頻度
地域
福岡
1989
長崎
✔ 1989
札幌
1993
愛知
✔ 1997
対象
人数
甲状腺機 潜 在 性 甲 甲状腺機能 潜在性甲
能亢進症 状 腺 機 能 低下症
状腺機能
(%)
亢進症(%) (%)
低下症(%)
40歳以上の
住民
40歳以上の
住民
25歳以上の
住民
40歳以上の
住民
男1026
女1395
973
0
0.2
0.6
0.4
0.7
2.41)
3.2
5.2
男2931
女1179
男1139
女1128
0.27
0.51
0.24
0.85
2.7
1.9
0.44
2.12
2.5
4.2
1.28
1.57
3.39
3.6
甲状腺疾患治療中の
もの除外
東京
✔ 2004
山梨
健診
18-97歳
男16831
女16396
人間ドック
男1047
女1027
0.4
0.4
1.1
0.5
0.6
0.4
3.6
5.8
男804
女1014
0.6
0.8
2.6
1.8
0.4
0.9
3.1
7.9
甲状腺疾患治療中の
もの除外
高松
2005
人間ドック
疫学調査による日本の甲状腺機能異常症の頻度
地域
対象
人数
甲状腺機 潜 在 性 甲 顕性甲状腺 潜在性甲
能亢進症 状 腺 機 能 機能低下症 状腺機能
%
(n) 亢進症
低下症
福岡
1989
札幌
1993
山梨
40歳以上の
住民
25歳以上の
住民
人間ドック
男1026
女1395
男2931
女1179
男1047
女1027
0
0.2
0.27
0.51
0.4
0.4
(3)
(8)
(6)
(4)
(4)
1.1
0.5
人間ドック 男804
女1014
0.6
0.8
(5)
(8)
2.6
1.8
計
0.3 (17)
0.5 (21)
甲状腺疾患治療中の
もの除外
高松
2005
男5808
女4615
(12)
(5)
0.4
(4)
0.7 (10)
0.24 (7)
0.85 (10)
0.6
(6)
0.4
(4)
3.2
5.2
0.44
2.12
3.6
5.8
(33)
(73)
(13)
(25)
(38)
(60)
(21)
(18)
0.4
0.9
3.1
7.9
(25)
(80)
0.6 (33)
0.5 (23)
(3)
(9)
0.3 (20)
0.7 (33)
1.9 (109)
5.1 (238)
どうすれば良いのか?
男性では、機能亢進症も機能低下症も、300人に一人くらい
女性では、機能亢進症は200人に一人、低下症は140人に一人いる
潜在性甲状腺機能低下症は、
男性で50人に一人ですが、女性では20人に一人と非常に頻度が高い、
触診では(6個の調査報告のまとめ)
 男性 0.64% (0.33〜0.83%)
 女性 1.64% (0.96〜4.16%)
超音波検査では(10個の調査報告のまとめ)
 男性 16.63% (4.4〜18.5%)
 女性 28.14% (9.2〜31.6%)
「甲状腺結節取り扱い
診療ガイドライン2013」 より
どうすれば良い
の?
女性では、60人に一人、
触診で分かる結節を
もっていて、その中の
10-15%が悪性腫瘍
400人に一人触診で
分かる癌を持っている
女性では、3人に一人、
結節が見つかり、その
中の2-3%が悪性
超音波では100人に
一人癌が見つかる
30人に一人という報告も
こんなふうに、
甲状腺疾患の頻度は高いのですが
見逃されていることが多いのです
例えば、こんな患者さんです
Y.H. 69才 男性 現病歴-1
年に2回職場健診があり、
平成12年からコレステロールが高いと
いわれてメバロチンの服用を始めていた。
平成15年12月から、コレステロールが
急に高くなってきたのでリピトールに
変更した(某有名総合病院)。
平成17年3月ころから、瞼が重い、鼻がつまるという症状があり耳鼻科受
診したが、異常がないといわれた
平成17年5月ころから、太りだした、浮腫みもあるので主治医に相談した
が問題ないといわれた。
Y.H. 69才 男性 現病歴-2
平成17年6月下旬から眠れない、食欲がない、味がしない
8月はじめからイライラして、憂鬱になって、死にたいと思うようになった
が主治医は特に問題としなかった。
9月には大腿の筋肉がピクピクと痙攣しだした、
検査所見で、CPK 1797, クレアチニン 1.4と上昇してきた、
主治医からリピトールの副作用(横紋筋融解症)がでている、透析の
出来る病院へ転院して欲しいと言われて転院した。
Y.H. 69才 男性
入院後年配の主治医は分からなかったが、
研修医が甲状腺の異常ではないかと言ってし
らべたら
甲状腺腫 15g
体重
甲状腺機能検査
FT3
<0.7
pg/ml
FT4
0.3
ng/dl
TSH
312.7
μU/ml
ひどい機能低下症であった
•
平成12年
•
平成17年9月 65.8 Kg
59.0 Kg
Y.H. 69才 男性
入院時;生化学検査所見
T.P.
Alb
GOT
GPT
LDH
ALP
γ-GTP
7.3 g/dl
3.8 g/dl
88 U/l ↑
72 U/l ↑
499 IU/l ↑
145 U/l
25 U/l
CPK
Ch-E
BUN
Cr
T-chol
HDL-chol
LDL-chol
TG
ZTT
1818 U/l ↑
163 IU/l ↓
9.5 mg/dl
1.4 mg/dl ↑
360 mg/dl ↑
93 mg/dl ↑
237 mg/dl ↑
148 mg/dl
17.0 U ↑
この症例で分かること
甲状腺機能低下症の症状をいろいろと訴えていたが気がついて
もらえなかったということがありますが
まずコレステロールが急に高くなっている
肝機能に異常がでている
CPKが非常に高い
H M 57歳 女性
主訴;動悸、肩こり、寝つきの悪さ
2011年秋頃から、動悸、肩こり、寝つきの悪さを感じるようになり
2012年5月 婦人科受診
• 更年期障害と診断されて女性ホルモン補充療法を受けた
• しかし、動悸は改善しなかった。
婦人科受診時の血液検査で
• 肝機能異常(AST 54, ALT 70, ALP 533, γ-GTP 316)が見つかり、
総合病院消化器内科紹介された
• 腹部超音波、MRI、造影CT
• 2013年1月肝臓生検をうけたが、診断がつかない
• 自己免疫性肝炎か?と言われていた。
H M 57歳 女性
• 婦人科にかかった時から、動悸が一番気になると言っていたが、
総合病院の消化器内科でも特に検査されることはなかった。
2013年1月30日どうしても気になるので、
• 循環器内科にかかったところバセドウ病が分かり
当院へ紹介されてきた。
甲状腺機能検査
FT4
3.20 ng/dl
TSH
TRAb
<0.01 μU/ml
21.1 U/l
この症例で分かること
最初から甲状腺機能亢進症の症状を訴えて受診しているが、
更年期障害と間違われている
検査で肝機能異常がでていたので、消化器内科に紹介されて、
大変な検査をうけている
① 初診時には必ず甲状腺の触診を行なう
② 甲状腺機能異常の症状、所見から疑う
③ 一般検査値の異常から疑う
丁寧な触診、上手な触診の必要はありません
実地医家にとって、大事なことは、
• 甲状腺が大きいとか
• 結節がありそうとかに
気づけば良いということです
質問;耳鼻科の先生から
甲状腺を触診する
コツ・方法を
輪状軟骨の
上縁から
5mm頭側に
側葉は4cmの
幅を占めてい
る
まず甲状軟骨と輪状軟骨の位置を確かめる
甲状腺は、輪状軟骨の上縁から5mm頭側に左右の上縁があり
側葉はその上縁から4cmの幅を占めている
甲状腺のある部位に両手の拇指を軽く
あてる
気管が動かないように、片方の手の拇指を軽く
気管にあてておいて(写真左手)
もう一方の手の拇指を気管の側面から横に滑
らせるように押し込むようにして触診をする
嚥下させると小さな腫大を発見できる
女性では甲状軟骨の位置が高くて、触れ
やすいが、
男性では低くて、触れにくい、鎖骨の下に
入っていることがあり、嚥下させてはじめ
て分かることがあるので注意が必要であ
る
女性は、甲状腺が上の方にあって触れやすい
男性では
甲状軟骨の位置が低くて、
触れにくい、
鎖骨の下に入っていることもあります
できれば、超音波検査をしてください
 腫れているかどうかが分かれば良い
 結節性かびまん性が分かれば良い
超音波検査ができない場合
 触診で、甲状腺の腫れが、びまん性か、結節性かの判断は
つけたい
 びまん性であれば、血液検査に進めば良いが
 結節性であれば、超音波が必要なので、紹介するしかない
甲状腺疾患を見逃さないコツ
機能亢進症
汗が多い、疲れやすい、動悸がする、手が震える、暑さに弱い、体重減少
機能低下症
皮膚がカサカサする、顔や手がむくむ、寒さに弱い、髪の毛が抜ける、物忘れしやす
い、便秘、体重増加
こんなことは、良くご存知だと思います。
では、見逃されやすいのは何故でしょう?

受診のきっかけになる症状が、必ずしも頻度の高い症状で
はないことが関係しています
さらに
 甲状腺機能低下症患者の主訴が、実に多彩
このほか
 バセドウ病患者の主訴が、性、年齢で異なることも注意です
実際どのような症状で見つかっているのか

一年前から手が震えるようになった、神経内科では
老人性振戦と言われている
63才、男性

半年前から夜になると目が痛い、しかし眼科では異
常なし
58才、女性

身内に不幸があって疲れているのか、最近しんどい
57才女性

体調は悪くないが、体重が減ってくる
57才女性

風邪で受診、熱の割には脈が速い
47才 女性
50才 女性

下痢しやすい

嘔吐を繰り返す

生理がこない
(婦人科)
33才 女性

声がかすれる
(耳鼻科、内科でも)
40才 男性
(総合病院の消化器内科)
(総合病院の消化器内科)
34才 男性
バセドウ病患者の主訴は性と年齢で異なるので注意してください
高齢になってくると典型的な甲状腺機能亢進症の症状は
でずに悪性疾患や心疾患と間違われやすいので注意が必要である.
どのような症状で見つかっているのでしょうか

めまい、下肢の筋力低下があり、近医で筋力低下のト
レーニングするように言われている
68才、男性

立ちくらみがする、体もしんどい

5年前から指の関節が痛い、足のむくみもある、内科、皮
膚科にかかったが分からないと言われた 56才、女性

41才、女性
最近ボケてきた、近医ではどこも悪くないと言われた、
79才、女性

鼻がつまる、食欲がない(耳鼻科、内科)
69才 男性

体がだるい、しんどい、憂鬱(内科)
49才 女性

声がガラガラして出にくい(耳鼻科)
56才 女性

呂律が回りにくい(内科)
63才 男性
いずれも、すぐに甲状腺機能低下症を疑う症状ではあ
りません
甲状腺機能低下症患者は
様々な症状を訴えていろんな診療科を受診する
診療科
内科 循環器科
消化器科
神経科
血液内科
腎臓内科
整形外科
精神科
皮膚科
耳鼻科
婦人科
救急外来
症状
徐脈、狭心症様発作、心不全
便秘、食欲低下
筋力低下、筋肉痛、痙攣、めまい
家庭医;
貧血
全身状態に
顔面浮腫
特に変化がないが、
関節痛、筋肉痛
このような訴えが
うつ状態、認知症
あるとき
甲状腺機能低下症も
毛髪脱落、皮膚粗ぞう
疑ってください
めまい、嗄声
月経過多、無月経
昏睡、麻痺性腸閉塞、痙攣発作
甲状腺機能低下症患者の顔貌
治
療
前
後
の
変
化
で
見
る
と
明
ら
か
で
す
が
、
しかし、この顔貌の変化が見逃されやすい
いつも患者の顔を見ていると、少しずつ変化してくるので、気づかない
甲状腺機能亢進症や低下症に典型的な症状を訴えて受診し
ないで、
 体がだるい、下痢、下肢の筋力低下,立ちくらみのようなよく
ある訴えや,膝や手指の関節痛など,
 すぐには甲状腺機能異常とは思わない症状で受診すること
が多い.
 実地医家は,全身状態に特別な変化がないにもかかわらず
様々な症状を訴えてきた場合,甲状腺機能異常も考えてほし
い.
甲状腺ホルモンが過剰になったり、不足したりすると、
代謝が亢進したり、低下したりして、
様々な生化学検査に異常が出ます。
甲状腺疾患でみられる一般検査値の異常
脂質
肝機能
筋肉、骨
血糖
炎症反応
臨床検査値の異常
疾患
コレステロール
高値
甲状腺機能低下症
低値
甲状腺機能亢進症
AST ↑ ALT↑ LDH↑
AST ↑ ALT↑ Al-P ↑
CPK ↑
Al-P ↑ Ca ↑ P ↑
甲状腺機能低下症
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
甲状腺機能亢進症
食後の過血糖、尿糖陽性
甲状腺機能亢進症
CRP陽性 赤沈亢進
亜急性甲状腺炎
ZTT, TTT ↑ 赤沈亢進
橋本病
コレステロール、 AST, ALT, ALP, LDH, CPKの変化に注意
バセドウ病発見におけるAl-P値、コレステロール
値の有用性
検診の例
• 対象;某会社検診、5651人(男 2948, 女 2708)
• 方法; ・Al-P: 271 IU/L以上で他の肝機能異常なし
・T.chol: 前回差50mg/dl以上の下降
・体重: 5Kg以上の減少
上記のいずれかに該当する者を陽性とし、精査
• 結果
男性
女性
陽性者
19
11
バセドウ病
3 (15.7%)
3 (27.2%)
この条件があれば異常とすると、2-3割の頻度でバセドウ病が見つかる
甲状腺機能低下症における、コレステロール、
CPK値の高値例
M.M 63才、男性
 平成14年、10月某総合病院の健康診断でコレステロール、CPK
の高値を指摘されたが、原因不明と言われていた。
 平成19年10月には、コレステロール、341mg/dl、CPK、
3260IU/lと著しい高値になっていて、寒がりになり、体は浮腫み、
呂律もまわりにくくなっている。
 脳梗塞を疑われMRIをとったが異常なし。
 うつ状態になり、近医に相談して
はじめて機能低下が分かった。
FT4 < 0.1ng/dl, TSH 151μU/ml
治療後 T.chol 200, CPK 123 正常




甲状腺機能異常が軽度であったり、短期間であったりすると
コレステロール、CPK値、ALP値は、ほとんど変化しません
生化学検査に異常がないから、甲状腺機能の異常はないと
は言えません
しかし、甲状腺機能に異常がありそうな気がする
あるいは甲状腺機能異常がないか調べておきたい
そんな時、どうすれば良いのか


下垂体(TSH産生細胞)は,甲状腺ホルモン濃度が正常かど
うかを感知するセンサーのようなものであり,
FT4,FT3値が正常範囲にあっても,その個人にとって甲状
腺ホルモンが少しでも不足していればTSH値は上昇するし,
過剰であればTSH値は低下する.
FT4とTSHの関係を見ると
FT4が正常範囲にある人を
見てください
TSH
• FT4は正常範囲にあっても
TSHが高値、低値の人は多
い
TSHの
正常範囲
FT4の 正常
範囲
FT4
その理由は、
• 個人のFT4の正常範囲は狭く
セットされていて
• 少しでもFT4が下がるとTSH
は上昇する
• 少しでもFT4が上がるとTSH
は低下する
FT4とTSHの関係を見ると
TSH
TSHの
正常範囲
FT4の 正常
範囲
FT4
TSHが正常範囲にある人を
見てください
• TSHが正常範囲にある人で
は、FT4が高値あるいは低値
の人はいない
したがって、甲状腺機能に異状があるかどうかを
判断するためには、FT4, FT3を測定するよりも
TSHを測定したほうがいいことが分かります

であれば、TSHが正常範囲にあれば、甲状腺機能に異状が
ないと言って良いでしょうか?
甲状腺機能に異常があったものは
 無痛性甲状腺炎の経過中の一時的なもので、
 あとは、SITSH(甲状腺ホルモン不応症,TSH産生腫瘍)という
非常に希な疾患が2例(0.045%)に見られただけでした
TSH値が正常範囲にあれば,甲状腺機能に異常がないといって
もほとんどの場合問題ない.
もし症状,所見から甲状腺機能異常の可能性が高ければFT4も測
定する.
1.
2.
3.
一般外来を受診する患者の中にも甲状腺疾患は
多い、最も大事なことは甲状腺疾患を見逃さないこ
とである
一度は甲状腺の触診を行い、説明がつきにくい症
状、所見、一般検査値(コレステロール、ALP、
AST, ALT, CKなど)の異常を見たときは、甲状腺
機能異常を疑って欲しい
甲状腺機能異常をスクリーニングしておきたい時
は,TSHの測定を
甲状腺機能異常のスクリーニングに対する考え方
機関
スクリーニングに関する勧告
米国甲状腺学会
35歳以上の男女、5年毎に
米国臨床内分泌学会
高齢者、特に女性
米国家庭協会
60歳以上
米国内科医学会
50歳以上で(症状がある)甲状腺疾患を
示唆する所見を持つもの
米国疾病予防調査委員
会
スクリーニングを賛成も反対もしない
ロンドン内科医学会
健康な成人をスクリーニングする根拠は
ない
35歳以上の女性、60歳以上の男性
 ちょっと休憩
甲状腺疾患の鑑別診断は難しいと思われています
何故?
甲状腺疾患は数が多く、
分類が複雑である
甲状腺中毒症
・ バセドウ病
・ 機能性結節性甲状腺腫
・ TSH産生腫瘍
・下垂体型甲状腺ホルモン不応症
・ 胞状奇胎、絨毛上皮腫
・ 妊娠甲状腺中症
・ 機能性悪性瘍
・ 非自己免疫性常染色体優性甲状腺
機能亢進症
・ 卵巣甲状腺腫
・ 無痛性甲状炎
・ 亜急性甲状炎
・ 医原性甲状腺中毒症
・ 薬剤性甲状腺炎、甲状腺腫瘍の梗塞、
放射性甲状腺炎
甲状腺機能低下症
橋本病
萎縮性甲状腺炎
医原性甲状腺機能低下症
アミロイドシス、強皮症
先天性疾患
二次性甲状腺機能低下症
三次性甲状腺機能低下症
末梢型甲状腺機能低下症
一時的な甲状腺機能低下症
甲状腺機能正常
びまん性甲状腺腫
単純性甲状腺腫
橋本病
腺腫様甲状腺腫
バセドウ病(ユーサイロイド・グレーブス)
結節性甲状腺腫
腺腫、乳頭癌、 濾胞癌。髄様癌
未分化癌。悪性リンパ腫
腺腫様甲状腺腫。腺腫様結節
囊胞。急性化膿性甲状腺炎
検査の数が多くて選ぶのが難しい
機能検査
抗体検査
• FT4, FT3, TSH
• T4, T3, TBG, T3摂取率
• TRHテスト
• 131I, 123I, 99MTC甲状腺摂取率
• TSH受容体抗体(TRAb, TSAb)
• TgAb, TPOAb
• サイロイドテスト、マイクロゾームテスト
形態検査
病理検査
• 穿刺吸引細胞診
• 超音波検査
• アイソトープ検査(ヨード、テクネ
チウムなど)
• CT, MRI
検査結果の組み合わせの数も多い
FT4
TSH
1
→
→
2
↑
↓
3
↓
↑
4
↑
↑
5
↑
→
6
↓
↓
7
↓
→
8
→
↓
9
→
→



実際に見る疾患は限られている
実際に必要な検査も限られている
検査結果の組み合わせも、限られている
ということで
 簡単なフローチャートを作りました
1.
甲状腺の腫れが、びまん性か結節性かをみる
(超音波をとれば、びまん性か結節性かは簡単に分かる)
2.
同時にFT4, TSHを測定し
フローチャートを見ていただければ鑑別診断を進めることが
できます
この時、甲状腺腫がびまん性ならTgAbを測定しておく
そして、機能亢進症状があればTRAbを測定しておく
とスムースに鑑別できます
あと検査をするのは
抗体検査くらいです
機能検査の結果は、98%
以上がこの3つのパターン
に入ります
3つのパターンに入らなかっ
た場合は裏を見ていただけ
れば分かります
1.
2.
3.
4.
FT4高値(か正常)、TSH低値
FT4正常、 TSH正常
FT4低値(か正常)、TSH高値
上記に当てはまらない場合
◦ FT4高値なのにTSH正常、高値
◦ FT4低値なのにTSH正常、低値
どのように考えれば良いか説明していきます
鑑別の仕方
甲状腺機能亢進によるもの(ホルモン産生亢進、分泌亢進)
・ バセドウ病
・ 機能性結節性甲状腺腫
・ 胞状奇胎、絨毛上皮腫
・ 妊娠甲状腺中毒症
・ 機能性悪性腫瘍
・ 非自己免疫性常染色体優性甲状腺機能亢進症
・ 卵巣甲状腺腫
853 (80.0%)
5 (1.0%)
0
10 (2.0 %)
0
0
0
甲状腺機能亢進によらないもの(ホルモン産生の亢進はない)
・
・
・
・
無痛性甲状腺炎
89 (8.3%)
亜急性甲状腺炎
110 (10.3%)
医原性甲状腺中毒症
薬剤性甲状腺炎、甲状腺腫瘍の梗塞、放射性甲状腺炎 0
希な疾患を除くと
甲状腺機能亢進によるもの(ホルモン産生亢進、分泌亢進)
・ バセドウ病
・ 機能性結節性甲状腺腫
・ 胞状奇胎、絨毛上皮腫
・ 妊娠甲状腺中毒症
・ 機能性悪性腫瘍
・ 非自己免疫性常染色体優性甲状腺機能亢進症
・ 卵巣甲状腺腫
853 (80.0%)
5 (1.0%)
0
10 (2.0 %)
0
0
0
甲状腺機能亢進によらないもの(ホルモン産生の亢進はない)
・
・
・
・
無痛性甲状腺炎
89 (8.3%)
亜急性甲状腺炎
110 (10.3%)
医原性甲状腺中毒症
薬剤性甲状腺炎、甲状腺腫瘍の梗塞、放射性甲状腺炎 0
希な疾患を除くと
これだけになります
症状、所見で疾患を絞っていけます
甲状腺機能亢進によるもの(ホルモン産生亢進、分泌亢進)
甲状腺腫が
結節性か
どうか
妊娠中で
はないか
・ バセドウ病
・ 機能性結節性甲状腺腫
・ 胞状奇胎、絨毛上皮腫
・ 妊娠甲状腺中毒症
・ 機能性悪性腫瘍
・ 非自己免疫性常染色体優性甲状腺機能亢進症
・ 卵巣甲状腺腫
853 (80.0%)
5 (1.0%)
0
10 (2.0 %)
0
0
0
甲状腺機能亢進によらないもの(ホルモン産生の亢進はない)
甲状腺に
痛みがな
いか
甲状腺ホル
モンを服用
していな
いか
・
・
・
・
無痛性甲状腺炎
89 (8.3%)
亜急性甲状腺炎
110 (10.3%)
医原性甲状腺中毒症
薬剤性甲状腺炎、甲状腺腫瘍の梗塞、放射性甲状腺炎 0
これらが否定されれば、
バセドウ病か無痛性甲状腺炎ということになります
以下をチェックする
 甲状腺ホルモンの服用していないか
 妊娠中ではないか
 甲状腺に痛みがないか、発熱、CRP陽性
 甲状腺腫が結節性であれば
医原性甲状腺中毒症
妊娠性甲状腺機能亢進症
亜急性甲状腺炎
機能性腺腫も考えておく
これらがなければ、バセドウ病か無痛性甲状腺炎ということになります

両者の鑑別は?
ともに、甲状腺腫はびまん性、血液中の甲状腺ホルモンは上昇
バセドウ病

TSH受容体抗体の刺激に
よって、甲状腺ホルモンの
合成・分泌が亢進し,血中
甲状腺ホルモンが高値に
なる疾患
無痛性甲状腺炎

甲状腺が破壊されることに
よって甲状腺ホルモンが血
中に流出し,甲状腺中毒症
をきたす病態

原因は自己免疫で、橋本病
でもバセドウ病でも起こる
バセドウ病
無痛性甲状腺炎
刺激→合成→分泌亢進
破壊(合成低下) →漏出
TSH受容体抗体
T3,T3,T3
T4
分泌
I↓
原因?
I↑
I↑
T3
T4,T4,T4
漏出
I↓
ホルモン
合成↑
濾胞の破壊
一番の違いは
ヨードの取り込み
T3
T3,T3,T3
ですが、
T4
T4,T4,T4
アイソトープの検査は
濾胞腔
簡単にはできません
甲状腺上皮細胞
TSH受容体抗体で鑑別します
TSH受容体抗体を測定する
結果をどう読むか?
TSH受容体抗体が陽性であれば、
バセドウ病と診断していいか
第3世代TRAb(ECLIA法)各種甲状腺疾患におけるTRAb値の分布
健常人とバセドウ病のカットオフ値は1.24IU/L
そこで切ると、未治療のバセドウ病では99%が陽性にでる
しかし、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎でも陽性にでることがある
亜急性甲状腺炎は、痛みなどでわかる
無痛性甲状腺は臨床症状では区別がつかないが、陽性に出ても低い
このキットでは、バセドウ病は陽性に出て、無痛性は陰性に出る値、
2.0をカットオフ値にしている
陰性でもバセドウ病は否定できないが、陽性ならバセドウ病の可能性が高い
バセドウ
病
無痛性
甲状腺
炎
亜急性
甲状腺
炎
健常人
医学と薬学59 (6):1111-1120:2008より
一般的にTRAb高値であればバセドウ病と言えるが、弱陽性の場合は
、無痛性甲状腺炎の可能性は否定できない
ファルコから送られている結果では(無痛性とのカットオフ値を使っているので)
 TRAbが陽性(2.0IU/l以上)であれば、バセドウ病と診断してもOK
 しかし、陰性の場合バセドウ病を否定することはできない

(バセドウ病の3%は陰性に出る)
したがって、陰性の場合、2.0を少し超える弱陽性の場合は、
 バセドウ病か無痛性かの鑑別が難しい場合がある

その時は、放射性ヨード甲状腺摂取率(RAIU)を測定する、ことになるが、
⇒甲状腺内の血流、FT3/FT4比、FT4の経過が参考になります
カラードプラ-あててみてくだ
さい
 甲状腺ホルモン高値
 TSHが抑制されている
状態で、
甲状腺内の血流が豊富であ
れば、まずバセドウ病と考え
て問題ありません。
FT3/FT4比:FT3値をFT4値で割ってみてください
バセドウ病では
FT3/FT4比が
高くなります
6
甲状腺ホルモンの合成が高
まって分泌が上がっている場合
はFT3が高い
バセドウ病
FT3/FT4
4
2.9
2
無痛性甲状腺炎
バセドウ病ではFT3/FT4比が高くなります
0
0
2
4
6
8
FT4
FT3/FT4比が2.9以上でFT4が2.5以上の症例は、
272例で270例(99.3%)がバセドウ病
10
甲状腺が破壊されてホ
ルモンが漏出した場合
はFT4が高い
無痛性甲状腺炎であれば、1-2ヵ月後には、FT4は低下して
くる。
産後の場合、機能亢進が経度の場合、経過を見る。
無痛性甲状腺炎
甲状腺中毒症状が強い場合
◦ バセドウ病として治療を開始し,
その後の甲状腺機能の変化に
注意する.
0
2
4
月
6
8
鑑別の仕方
医原性を除けば、ほとん
どは、橋本病である。
実際には、ヨードの過剰
摂取や、薬剤性のほか原
因不明のものも多い
原発性甲状腺機能低下症
橋本病
萎縮性甲状腺炎
医原性甲状腺機能低下症(放射性ヨード治療,手術治療、ヨードなど)
アミロイドシス、強皮症
先天性疾患(甲状腺ホルモン合成障害,甲状腺無形成、異所性甲状腺腫など)
二次性甲状腺機能低下症 (下垂体前葉機能不全、TSH単独欠損症)
三次性甲状腺機能低下症
末梢型甲状腺機能低下症(全身型甲状腺ホルモン不応症)
一時的な甲状腺機能低下症(無痛性甲状腺炎,亜急性甲状腺炎の回復期)
いずれにしても原因が明らかなものは橋本病なので、
機能低下症を見たら橋本病かどうかの診断をつけないといけない
378
2
0
0
0
0
0
-
鑑別の仕方
単純性甲状腺腫
橋本病
腺腫様甲状腺腫
バセドウ病(ユーサイロイド・グレーブス)
672* (48.1%)
713 (51,1%)
-*
10
*全例に超音波をとっていないと腺腫様甲状腺腫は否定できない
機能正常のびまん性甲状腺腫を見たときの鑑別診断の進め方であるが、
• 超音波をとって結節性病変が散在する所見(腺腫様甲状腺腫)がない
かどうかを見る
• なければ、橋本病か、単純性甲状腺腫ということになる
やはり橋本病かどうか診断をつけないといけない
1912年、九州大学の橋本
策博士が、31歳の時にド
イツの臨床外科雑誌に特
徴的な甲状腺組織所見を
報告したのが始まりである
 円形細胞のびまん性浸潤
 リンパ濾胞の形成
 濾胞上皮細胞の変性
 結合組織の増殖
組織で定義される疾患
組織を取らないと診断できない?

簡単な診断基準が作られました
(a) 臨床所見
1.びまん性甲状腺腫大
但しバセドウ病など他の原因が認められない
(b) 検査所見
1.抗甲状腺マイクロゾーム(またはTPO)抗体陽性
2.抗サイログロブリン抗体陽性
3.細胞診でリンパ球浸潤を認める
(a)および(b)の一つ以上があれば、橋本病と診断して良い
1.抗体が陽性であれば橋本病といえるか
2.抗体が陰性であれば、橋本病は否定できるのか
検討したデータをお見せします


橋本病は、組織学的に定義されている疾患なので、甲状腺組織が調べ
られてないといけない。それも、橋本病の有無にかかわらず無作為に対
象が選ばれていないといけない。
すなわち、健常人を含めて、片っ端から甲状腺をとらないといけない
そこで、良性甲状腺結節の手術時に得られた、結節周囲組織を観察する
ことにした
周囲組織のリンパ球浸潤の有無と血中のTgAb, TPOAb値との
関係を検討した

TgAb、TPOAbの測定は、ラジオアッセイ
(コスミック)で行った
結節周囲組織の橋本病変化とTgAb, TPOAbの関係
TgAb, TPOAbともに陽性のものはほと
んどで橋本病の所見を持っている
TPOAb U/ml
TgAb U/ml
正常
The closed circle indicates
positive TPOAb in left and
positive TgAb in right.
橋本病
正常
橋本病
橋本病の中にも抗体が陰性のものもいる
抗体と組織との関係;まとめ
橋本病の%
TgAbあるいはTPOAbが陽性であれば、9割の確率で橋本病と言える
TgAb, TPOAbともに陽性であれば確実に橋本病と言える
ただし、抗体が陰性でも橋本病は否定できない
TgAb
 TPOAb

サイロイドテスト
 マイクロゾームテスト

測定法の違いは
抗体
サイロイドテスト、マイクロゾームテスト
• ラテックス粒子に結合させた抗原(Tg, マイクロゾーム)
に、抗体が結合することによって起こるラテッ
クス粒子の凝集でみる間接凝集法
• マイクロゾームテストに使っている抗原(マイ
クロゾーム)は、遠心で分離した分画で、TPO
に加えてTgも含まれている
TgAb, TPOAb
マイクロゾーム
分画
Tg
抗原
粒子
粒子の凝集で見る
マイクロゾーム
テストはTgAbの
影響をうける
• ラベルされた純化された抗原と抗体との結合
で見るラジオアッセイ
当然、結合だ
けで見たほう
が感度が高い
125I
抗体の結合で見る
TPO
マイクロゾーム
抗原にはTgが
含まれている
TPOAbの
抗原は
TPOだけ
サイロイドテスト
と TgAb
マイクロゾームテスト と TPOAb
の比較
TgAb
サイロイドテスト陰性でも
TgAb陽性のものが多い
TgAbの感度が高い
サイロイドテスト
マイクロゾームテストが
陰性でも、TPOAbが陽
性のものがある
TPOAbの感度が高い
TPOAb
逆にTPOAb陰性でも
マイクロゾームテスト
陽性のものがある
これはマイクロゾーム
抗原に、Tgがコンタミ
しているため
マイクロゾームテスト
橋本病の診断
もっとも感度が良いのは
橋本病診断における各抗体測定法の感度,特異度、正診率
針生検で甲状腺組織をとって、橋本病の有無と抗体の関係を見ている
サイロイドテスト
感度(%) 特異度
(%)
44.0
97.0
正診率
(%)
60.2
マイクロゾームテスト
67.7
97.0
73.1
TPOAb
74.7
93.9
80.6
TgAb
97.3
93.9
96.3
Kasagi et al. Thyroid 6:445,1996
橋本病の診断には、TgAbが感度が高い
TgAb陰性であったとき、次は何を選べばいいか
 TgAbを測定する
 TgAb陰性の時、TPOAbを測定する


両方同時に測定したいところであるが、査定されることが多い
費用のことを考えると、マイクロゾームテストという選択肢も
こんな時どう考えれば良いか
1.
他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性
甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
2.
甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗マイクロゾ
ーム抗体およびまたは抗サイログロブリン抗体陽性の場合
は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
3.
甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均一を認めるも
のは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い。
実地医家の対応は

甲状腺結節の頻度は非常に高くて、頚動脈エコーをとる
と、女性では3人に一人も見つかります
この問題に関して、質問がありました
 健診のエコー検査で認められる所見で、精査を必要と
する所見を教えてください
 例えばmassの大きさが1cm以上とか
悪性腫瘍を見逃さない事
 良性の結節であれば、大きくても経過観察で問題ない
ですが
 診断には細胞診が必要です
 通常は、実地医家では細胞診は出来ないと思いますので
実地医家がやるべき事は、
 細胞診が必要な結節かどうかを超音波で判断する事です


頸動脈エコーで見つかる甲状腺結節の取り扱いも同じです
では細胞診が必要かどうかどのように判断するか?
甲状腺結節診療ガイドライン2013で決められた
細胞診が必要な結節の判断基準を紹介します
充実性結節
≦5mm
6-10mm
11-20mm
20mm<
癌を強く疑う
癌を疑う所見
がある
細胞診
癌を疑っても
経過観察
転移があれば行う
No
経過観察
yes
細胞診
No
経過観察
yes
細胞診
*:Bモードで悪性を疑う所見(微細石灰化、形状不整、境界不明・粗造、内部低エコー、不均質、境
界部低エコー帯の消失など)やドプラモードで結節内への血流(貫通血管)
嚢胞
嚢胞内
嚢胞内
結節無し
結節あり
結節≧10mm or 結節の血流豊富 or
<20mm
20mm ≦
結節に微細高エコー多発 or 形状不整
No
経過観察
細胞診
経過観察
yes
細胞診
2cmより大きい場合は紹介する
0.5cmより小さいものは経過観察で良い
2cm~0.5cmの場合


充実性結節;悪性を疑う所見があれば紹介する
のう胞性結節;充実部が1.0cm以上、あるいは
充実部に微細高エコー多発 or 形状不整がある場合
は紹介する
見るポイントは、以下の3点です。
• 形状、境界
• 内部エコー
•
石灰化
悪性
良性
悪性
整
不整
悪性
明瞭
不明瞭
良性
悪性
粗大石灰化
微細石灰化
良性
良性
粗大石灰化は必ずしも良性とは言えません
石灰化の近くに低エコーがある場合は要注意
悪性
悪性
微細石灰化
悪性
悪性
粗大石灰化
、石灰化があれば、紹介していただくほうが良いでしょう
悪性
高エコー、まず問題ない
等エコー
高エコー
低エコー
どこを見るのか
•
•
•
形状、境界
内部エコー
石灰化
悪性を疑う所見

形状不整
境界不鮮明

内部エコーが低

微細石灰化は悪性、粗大
石灰化も必ずしも良性で
はない
石灰化があれば紹する



大きさが2cm以上
あるいは
海綿状
良性所見


充実部が1.0cm以上あるか
充実部に微細高エコー多発 or
形状不整がある場合
は細胞診の適応である
充実部に
微細高エコーあり、
形状不整、嚢胞内乳頭癌
2cmより大きい場合は紹介する
のう胞性結節の場合は、充実部が1.0cm以上であれば紹介する
0.5cmより小さいものは経過観察で良い
2cm~0.5cmの場合、悪性を疑う所見があれば紹介する
1cm未満の場合、急ぐ必要はない?
1cm未満の癌(微小癌)は、経過観察で良い場合が多いので、
超音波で悪性所見があっても、急ぐ必要はありません
1cm未満の癌で手術が勧められるのは、以下の場合です
 癌が甲状腺周囲、特に気管、食道、反回神経などに浸潤している
 明らかなリンパ節転移がある
転移性のリンパ節かどうかど
 肺や骨などへの転移がある
のように判断すればいいの
 甲状腺内に多発している
か?
質問がありました
甲状腺周囲にリンパ節を認めた場合、
どんなことに留意すればいいか
リンパ節が腫れているとき、転移性かどうかの見方
転移リンパ節(乳頭癌)
正常リンパ節
・ 形状が扁平(縦横比低)
・ リンパ節門が描出される
・ 石灰化や微細多発の高エコーを認めない
・
・
・
・
形状が扁平でない(縦横比高)
リンパ節門の消失
石灰化や微細多発の高エコー
のう胞様の無エコー部(のう胞変性)
FT4高値なのに、TSHも高値
FT4低値なのに、TSHも低値
読みにくい甲状腺機能検査値が得られる状態
TSH FT4 FT3
疾患
低下
正常
上昇
甲状腺疾患
生理的な
治療中
もの
のもの
測定に
関するもの
機能亢進症
↓→
↑
↓
↓
二次性、三次性
甲状腺機能低下症
→
↑
T3 トキシコーシス
→↓
↓
NTI
妊娠中
↑
↑
SITSH
小児
↑
→
↑
↑
妊娠中
干渉物質
機能低下症
SITSH
干渉物質
読みにくい甲状腺機能検査値が得られる状態
TSH FT4 FT3
↓→
低下
正常
上昇
疾患
治療中
のもの
生理的な
もの
測定に
関するもの
NTI以外は、診断をつけるのが難しい
機能亢進症
↑
治療中のもの、生理的なもの、測定
妊娠中
に関するものが否定されたら紹介す
る
↓
↓
二次性、三次性
甲状腺機能低下症
→
↑
T3 トキシコーシス
→↓
↓
NTI
妊娠中
↑
↑
SITSH
小児
↑
→
↑
↑
干渉物質
機能低下症
SITSH
干渉物質
NTI; Nonthyroidal Illness、肝硬変、腎不全、拒食症などで主にFT3が低下する状態
SITSH;TSH不適合分泌症候群(甲状腺ホルモン不応症、TSH産生腫瘍)
読みにくい甲状腺機能検査値が得られる状態
TSH FT4 FT3
↓→
低下
↓
→
→↓
正常
疾患
治療中
のもの
二次性、三次性
甲状腺機能低下症
抗甲状腺薬治療の初
期は、FT4が正常に
↑
T3 トキシコーシス
なっても、しばらくは
↓
NTI
TSHは上がってこない
↑
→
関するもの
妊娠中
↓
↑
測定に
機能亢進症
↑
↑
生理的な
もの
妊娠中
SITSH
↑
↑
上昇 L-T4で治療中は、FT4高値、
SITSH
小児
干渉物質
機能低下症
干渉物質
TSH正常になることはよく見
Nonthyroidal Illness、肝硬変、腎不全、拒食症などで主にFT3が低下する状態
られるが、特に治療初期は NTI;
SITSH;TSH不適合分泌症候群(甲状腺ホルモン不応症、TSH産生腫瘍)
そうなりやすい
バセドウ病
抗甲状腺薬で治療中のTSHの動き
FT4
12.5
TSH
PTU 6錠
4錠 3錠
10
1.0
2錠
FT3
FT4
TSH
0.7
5
1.0
0
FT4が正常になっても
0.4
正常範囲
0.1
7/23
8/6
8/20 9/10
10/8 11/5 12/24 2/18
しばらくはTSHが感度以下が
続くので注意
読みにくい甲状腺機能検査値が得られる状態
TSH FT4 FT3
低下
正常
上昇
治療中
のもの
疾患
生理的な
もの
測定に
関するもの
機能亢進症
↓→
↑
↓
↓
二次性、三次性
甲状腺機能低下症
→
↑
T3 トキシコーシス
→↓
↓
NTI
妊娠中
↑
↑
SITSH
小児
↑
→
↑
↑
妊娠中
干渉物質
機能低下症
SITSH
干渉物質
NTI; Nonthyroidal Illness、肝硬変、腎不全、拒食症などで主にFT3が低下する状態
SITSH;TSH不適合分泌症候群(甲状腺ホルモン不応症、TSH産生腫瘍)
健常妊婦の血清FT4値
横線は非妊婦の
正常範囲
妊娠中は
FT4が低くなる
健常妊婦の血清TSH値
横線は非妊婦の
正常範囲
TSHも低くなる
小児のFT3値
FT3の正常範囲は
成人に比べて高い
横線は成人の
正常範囲
小児のFT4値
FT4の
正常範囲も
成人に
比べて高い
横線は成人の
正常範囲
読みにくい甲状腺機能検査値が得られる状態
TSH FT4 FT3
↓→
低下
正常
上昇
治療中
のもの
疾患
生理的な
もの
測定に
関するもの
機能亢進症
↑
抗T4抗体、抗T3抗体
↓
↓
→
↑
→↓
↓
↑
↑
↑
→
↑
↑
二次性、三次性
やHAMAなどの異好
甲状腺機能低下症
T3
抗体があると
トキシコーシス
FT4, FT3, TSHが実
NTI 際の値より高値に出
ることがある
SITSH
妊娠中
妊娠中
小児
干渉物質
機能低下症
SITSH
干渉物質
NTI; Nonthyroidal Illness、肝硬変、腎不全、拒食症などで主にFT3が低下する状態
SITSH;TSH不適合分泌症候群(甲状腺ホルモン不応症、TSH産生腫瘍)
妊娠中、小児ではないか
 甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症の治療中ではないか
 甲状腺以外の原因で甲状腺ホルモンに異常がでるNTI(神経
性食思不振症、肝硬変、腎不全、重症疾患など)はないか
をみる
でなければ、
 検査センターに測定上の問題ではないかを問い合わせる
検査に問題がなければ、あとは
 非常に稀な二次性、三次性甲状腺機能低下症かSITSHという
ことになり、この時点で専門医に紹介する

質問がありました
これは臨床的にどのように考えれば、良いのでしょうか?
また、どの程度の頻度で経過観察を行えば良いのでしょうか?
FT4とTSHの関係を見ると
FT4が正常範囲にあっても、
TSHが高くなった状態は
• その個人にとっては、甲状腺
機能低下症です。
TSHの
正常範囲
FT4の 正常
範囲
この軽い機能低下症を
• 潜在性甲状腺機能低下症と
言います
• この状態を見たとき、どのよ
うに対応すれば良いか?
潜在性甲状腺機能低下症とは、
 血中甲状腺ホルモンは基準値内にあるが、TSHが基準値を超え
て高値を示す病態で、軽度の甲状腺機能低下状態と考えられて
いる
潜在性甲状腺機能低下症の頻度は、わが国での実態調査では、
 住民調査
3.3%
 健診
3.5~4.7%
 人間ドック
5.8%
特に高齢者においては5~20%と頻度が高い

治療が必要か?
潜在性甲状腺機能低下症では
認知能が落ちないか
コレステロールが上がらないか
潜在性甲状腺機能低下症の影響
エビデンスがあるかどうか
関連性の強さのエビデンス
全身症状
認知能
コレステロール上昇
血清TSH(μU/ml)
4.5-10
>10
なし
不十分
なし
不十分
Fair
不十分
TSHが10以下だとはっきりしない
10を超えると、症状が少し出そうな感じがあるが、エビデンスとしては不十分である
しかし、コレステロールの上昇は間違いなく起こると考えて良い
治療するかどうかは、やはり経過観察して虚血性心疾患が増えたり死亡率が上
がったりするのかどうかを調べないといけない ⇒コホート研究が必要
さらに心不全は
死亡率は?
潜在性甲状腺機能低下症における
冠動脈性心疾患(CHD)のリスク
11の前向きコホート研究を
メタアナリシスしたものです
Rodondi N, JAMA 2010: 304:1365–1374
CHD イベント
ハ ザ ー ド 95%
比
信頼区間
TSH
CHD 死亡
ハ ザ ー ド 95%
比
信頼区間
4.5-6.9
1.0
0.86-1.18
1.09
0.91-1.3
7.0-9.9
1.17
0.96-1.43
1.42
1.03-1.95
10-19.9
1.89
1.28-2.8
1.58
1.10-2.27
(μU/ml)
冠動脈性心疾患のリスクは、TSHが7.0を越えると上がる傾向にあり、
TSHが10を越えるとはっきりとしてくる
しかし、このリスクの上昇は、70歳以上では明らかでなく、さらに85歳以上では、
影響がなくなる、逆に、死亡率が低下する可能性も報告されている
Giuseppe Pasqualetti, J Clin Endocrin Metab. April 4, 2013 as doi:10.1210/jc.2012-3818
潜在性甲状腺機能低下症における
心不全のリスク
6つのコホート研究のデータを
プールして解析
Gencer B, Circulation. 2012 28;126(9):1040-9.
• 25,390人、216,248 person yearのデータ
• 平均年齢 70歳、 平均観察期間 10.4年
• 潜在性甲状腺機能低下症は、2068人(8.1%)、性、年齢をマッチさせて検討
TSH
4.5-6.9
7.0-9.9
10.0-19.9
ハザード比
1.01
1.65
1.86
95%信頼区間
0.81-1.26
0.84-3.23
1.27-2.72
心不全のリスクは、TSHが10以上では高くなる
70-82歳の高齢者でも、潜在性甲状腺機能低下症は心不全のリスクをあげる
J Clin Endocrinol Metab 97: 852–861, 2012)
潜在性甲状腺機能低下症における
虚血性心疾患、心不全のリスク
異なる
虚血性心疾患リスク
心不全リスク
<60で発症
<60で発症
した場合
した場合
>80で発症
した場合
>80で発症
した場合
点線は、まだ不確かな、検討されていないところである
80歳以上は、潜在性甲状腺機能低下症が悪い影響を与えているかどうかはっきりしない
潜在性甲状腺機能低下症の影響を考える上で
もうひとつ大事なことは
妊娠の経過および
胎児に対する影響です
妊娠合併症、流産、早産について
注意していただきたいのは,
妊娠中のTSHの基準値は、非妊娠時と異なる
first trimester,
0.1–2.5 mIU/L
second trimester,
0.2–3.0 mIU/L
third trimester,
0.3–3.0 mIU/L
従って、潜在性甲状腺機能低下症の診断は、妊娠各期のTSH基準値
を超えるもので、
妊娠初期は、TSH が2.5μU/mlを越えていると機能低下症
TSH 2.5-4.5も潜在性機能低下症としている
潜在性甲状腺機能低下症で
妊娠合併症が増えるかどうかを調べたRCT
4562人の妊婦を対象に
• 妊娠第一期にランダムに2群にわ
け、FT4, TSH, TPOAbを測定し
潜在性甲状腺機能低下症
(TSH>2.5μU/ml)に対して、
100
90
潜在性甲状腺機
合併症を起こした人の%
能低下症を治療
P<0.005
しておくと妊娠合
併症は少なくなる
80
70
60
• L-T4で治療した群(44名)
と
• 治療しなかった群(34名)
で合併症があった人の%を比較した
Negro R, et al.
J Clin Endocrinol Metab
95:1699–1707.A 2010
合併症を
起こした人
の%
50
40
30
20
10
0
治療あり 治療なし
潜在性甲状腺機能低下症における
流産率を調べた研究
TPOAb陰性で、TSH 5.0μU/ml以下
の4123人の妊婦を対象に
%
P
潜在性甲状腺機能
低下症では流産率
流産率
<0.006
が高い
7
6
5
TSH 2.5μU/ml未満の人
と
TSH 2.5-5.0μU/mlの人
4
3
流産率
2
1
の流産率を調べた
Roberto Negro,et al.
J Clin Endocrinol Metab
95: E44–E48, 2010
0
TSH 2.5未 TSH 2.55.0
満
妊娠12週の母親のTSH値と8歳時の児のIQとの関係をみると
グループ
1
妊娠12週の
TSH percentile
< 98
26216人
IQ
平均(SD)
コントロールの
平均から
1SD低い者の%
124
107 (13)
15
28
102 (15)
21
20
97 (14)
50
症例数
Matched control
2
98 – 99.85
(4.5-9.0 μU/ml)
3
≧ 99.85
IQの平均値について、グループ3とグループ1の間には有意差がある(P=0.003)が、
グループ2は、どちらとも有意差はない
コントロールの平均から1SD低いものの割合は、3と1の間には、有意差がある(P=0.003)
が3と2の間はなかった(P=0.062)
TSHが10を超えるものでは、児のIQは低下するが、潜在性では明らかでない
Relation of severity of maternal hypothyroidism to cognitive development of offspring.
Klein RZ, J Med Screen. 2001;8(1):18-20
Klein R.Z. J Med Screen 2001
潜在性甲状腺機能低下症と妊娠
妊娠の転帰に与える影響
• 潜在性甲状腺機能低下症が、妊娠の転帰(合併症が増える、流産が増
える)に影響があるのは、ほぼ間違いない
児のIQに与える影響
• 潜在性甲状腺機能低下症では、IQが低下するのではないかと言われ
ているが、顕性の甲状腺機能低下症と比較して、結果は一定していな
い。
• IQが低下する可能性については、明確には証明されていないが、最も
らしいという捉え方である。
米国甲状腺学会、米国臨床内分泌学会のガイドラインを参考に
THYROID Volume 22, Number 12, 2012
妊婦、妊娠を考えている女性は、すぐに治療を開始する




TSH基準値以上はもちろん、
TSH2.5以上、基準値以下でも治療を行う可能性がある、特にTPOAb
陽性の場合は積極的に治療を開始する
妊娠中のL-T4投与による、TSHの目標値は、妊娠第一期は2.5以下
に、第二期、第三期は3.0以下にコントロールする
それ以外の場合は、ヨード制限をして、8-12週間後にFT4、
TSH値を再検する
(甲状腺機能低下症が一過性でないかどうかみるために)
以下の2点に注意して、潜在性甲状腺機能低下症と診断する


甲状腺機能低下症以外の原因によるTSHの上昇
高齢者におけるTSHの基準値の上昇
✔
✔
✔
✔




NTIからの回復期の一時的なTSHの上昇
うつ状態,ストレス状態
肥満者
薬剤性(メトクロプラミド;プリンペラン,ドンペリドン;ナウゼリン服用中)
測定の問題;測定のばらつき、異性抗体、夜間のTSH上昇
TSH産生腫瘍、甲状腺ホルモン不応症
未治療の副腎不全
リコンビナントヒューマンTSHの注射を受けているもの
TSH (μU/ml)
年齢
median
97.5
percentile
40-49
60-69
70-79
>80
1.40
1.67
1.76
1.90
3.82
4.33
5.90
7.49
後期高齢者であれば、TSHが6-8μU/mlくらいは正常と考えて良い
Surks MI, Hollowell JG Age-specific distribution of serum TSH and antithyroid antibodies in the
United States population; implications for the prevalence of subclinical hypothyroidism. J Clin
Endocrinol Metab 2007;92:4575–4582
米国甲状腺学会、米国臨床内分泌学会のガイドラインを参考に
THYROID Volume 22, Number 12, 2012
妊娠と関係がない潜在性甲状腺機能低下症の治療
を考えてみると
 心不全のリスクがあがり、心血管死のリスクも
上がるので、L-T4による治療を考える
しかし、80歳以上は、


潜在性甲状腺機能低下症が保護に働く可能性も考えられている
ので、一般には治療をしないで、注意深く経過観察をする
治療をする場合は、治療目標をTSH6.0-7.0μU/mlにする

妊娠を除いて、TSHが4.5-10μU/mlのものを治療するかどうかは確か
なエビデンスはない
75歳以上であれば、

TSHが6-8μU/mlくらいは正常と考える、80歳以上は経過観察
80歳未満の場合


動脈硬化性心血管疾患、心不全がある、あるいは
これらの疾患に対するリスク因子(喫煙、糖尿病、高脂血症、高血圧、虚
血性心疾患の家族歴など)を持っている時は治療を考える
この他、治療を考えてもいいのは
 甲状腺腫が大きい、甲状腺機能低下症症状がある時、TPOAb陽性
治療の話まで、できませんでしたが、
 本日の講演が、先生方の明日からの臨床のお役に立
てれば幸いでございます。
 ご清聴有難うございました

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