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Report
戦後日本資本主義の外生循環
構造析出ー「失われた20年」か
らの逆照射ー
経済理論学会第62回大会第13分科会:
共通論題関連2「山田盛太郎『日本資本主義分析』80年の
射程」第2報告「転換期の日本,山田盛太郎・戦後
日本資本主義分析の射程― 「執拗低音」「土着
思想」としての土地所有」
明治学院大学・涌井秀行
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Ⅰ.はじめに
• 総合診療医(Dr. G)⇔ 専門医(麻酔科・・・)
• ①患者の主訴(「息苦しい」・・・)
②経過観察を含む徹底した問診
③必要なデータを取り,病巣・病原の特定
→ 治療の開始
経済学の総合診療医(Dr. G)=山田盛太郎
『分析』+戦後分析⇒ 病巣の特定67年「土地国有論」
戦後日本経済(「失われた20年」の主訴を聞く
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Ⅱ.国民/患者の主訴
「失われた20年」とデータ
• 患者(国民)の主訴:「失われた20年」
• ①限界集落(農村・都市)
農業の破壊/都会の団地の高齢化
②Working Poor (V:賃金)=徹底した搾取
=「働いても食えない」
「前は元気だったじゃないですか。いつごろからですか。
基礎的データも見てみましょうか」
医学:検査データ=経済学(工業統計表): c v m
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外生循環構造の歴史
―資本賃労働(c・v・m)で確認
•
•
•
•
①1950年~1970年の期間
②1970年~1990年の期間
③1990年~現在
1990年代初頭=構造変化=転換→
(外生循環)身体構造の変容
=身体機能低下・不全状態
が明らかに認められます。
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Ⅲ.外生構造循環の析出
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比較 アメリカの蓄積様式
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「失われた20年」90年代~現在;外生循環の機能低下・不全
輸出増が「成長」につながらない=c・v・m 低迷=産業空洞化
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外生循環の機能低下・不全症候群
• 失われた20年の病名:外生循環不全症候群
• 外生循環構造の機能
〔輸出増→固定資本形成→雇用・賃金増⇒好循環(機
能フル稼働)〕
いざなぎ越=ミニ不動産株・バブル=外人買
(第14景気循環02/1~08/2~09/3)
〔循環の逆流現象 輸出増 固定資本形成停滞 〕
■ 海外生産比率(労働者数;海外/国内)
~80年代;10% ,95年;32%,00年;45%,10年;56%
(輸送;115% 電気;120%)
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「産業空洞化」=企業の海外進出・投資
海外生産・海外設備投資比率
内閣府HP http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je13/h05_hz010216.html
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戦後日本資本主義=外生循環構造
• 米の世界戦略に必要な(対世界市場)物財供給=
生産力は膨大で,内需ではとうてい吸収しきれない。
外需は必然となり,輸出は強制的となる。輸出が順
調であれば比類なきⅠ部門を中心とした強蓄積が
可能になり,高度成長は実現する。輸出が不調であ
れば,停滞せざるをえない。不況・輸出不振局面で
は公共投資が特に強化され,景気の後退をしのぎ
ながら輸出拡大の到来を待つ。これが戦後日本資
本主義の〈基本構成〉=〔外生循環構造〕である。
• (下/上からでない) 「外からの資本主義発展の道」
【20世紀後半に残された資本主義発展の最後の道
=アジア資本主義】
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Globaization=国民経済の劣化
• 20世紀末資本・企業は「ゆり籠」を這い出し,海外投
資=進出を展開 →基軸通貨ドル体制下,為替変動
=超円高→アジア進出=アジア化
• 本格的な〔外生循環構造〕の構築は,労働力の適帰
(海外に行って身をそこに寄せ頼る)=国内産業・雇
用の空洞化 ⇔独:東欧を国内(=EU)化
• 非正規雇用という飢餓線上の雇用(ワーキング・プ
アー)の常態化。
• 「老後破産」・「女性の貧困」・「子供の貧困」
• 「失われた20年」の原風景の基盤としての土地
• 労働力の供給基盤・農村→過疎→農村/都市の限
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界集落
「土地制度史学」=外生循環構造の基盤にある問題
• ふと,我にかえった。それは山田盛太郎が
1967年に提起した問題=「零細地片私的所
有=零細農耕・・・この関係はまた工業の方
から言ってもやはり排除されなければならな
いが,この循環を断ち切り,農業が他産業と
肩を並べてゆくには土地国有化以外にない
のではないか,またそうしなければ一方で低
賃金の基盤を温存し,他方では膨大な中・下
層農民の累積する窮乏化を見殺しにする」。
• 農業の展望:原始取得・農産物加工・農業機械工業 複合的
農業への展望(準備研究会)
• 全構造把握;資本・土地所有・賃労働
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「土地制度史学」の意義=外生循環構造の基盤
• それからおよそ半世紀「零細地片私的所有=零細
農耕」は,低賃金労働力の基盤となって温存・固定
化された。「膨大な中・下層農民」は見殺しにされた。
都会と地方の限界集落となって露呈し,ワーキング
プアー層が生み出された。歪んで「高度に発達した
資本主義国・日本」の病巣がこれである。今農業の
再建が国民的課題となっているのは,その「歪み」を
ただす最重要課題だからだ。自立・自律的国民経済
の再構築の核心が農業・土地(再生産/理論)問題
なのである。 (=資本主義の問題cf;補助金漬けの
欧州農業)
この課題はアジア経済圏構築の中で果たされるだ
ろう。 (第1・中根報告で語られた山田の「魂」)
• 展望=アジア版EU(=アジア生活経済圏)への道
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失われた20年の原風景→都市と農村の限界集落
見過ごされてきた問題(なぜ土地所有か)
① 全構造把握の三大範疇 ; 資本・土地所有・賃労働
②67年土地制度の提起=「土地国有論」病巣切除手術
加藤周一;土着思想 丸山真男;執拗低音/古層
加藤「社会発展と土地私有や地主権力の意義・役割 強調 」
丸山「西欧の衝撃(横波)と明治維新:封建制の高額小作料」
戦後日本資本主義=〔外生循環構造〕の基盤としての土地所有
高度成長:強蓄積の根源=病巣
■戦後発生した土地所有関係(断絶)■
①戦時利得の吐出(GHQ→財産税1946年)
都市の零細宅地所有,労働者の住宅問題
戦前の都市「総世帯数の93.6%(明治41年)
94.6%(昭和2年)は借地人・借家人
②農地改革 = 農村の零細地片農地所有
=零細農耕(農業解体)
③投機・含益経営=資本・企業の大土地所
土地バブル崩壊=銀行経営の毀損
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16
17
18
水田の高率賃貸・小作料と高地価
• 平成18年の農地価格と実納小作料(い
ずれも都府県・水田)を比較すると、農
地価格は実納小作料の約100倍の水準
となっている。また、農地を購入した場
合の毎年の支払額を試算すると約6万
円となり、通常の農業経営では成り立た
ない水準となっている。(農水省経営局)
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低い貿易依存度=歪んだ外生循環構造
■輸出依存度(2012年)
日本14.0% 米8.8% 独38.2% 韓国46.0%
中国26.6%
■歪んだGDP;輸出依存度の分母
〔売上高〕パチンコ28.3兆円(PCSA類推値) 外
食産業23.2兆円 自動車主要11社45.6兆円
〔雇用者数〕パチンコ27.6万人
自動車主要11社20.9万人
■輸出特化産業・大資本=乗用車・電子(I-O表)
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外生循環三層格差構造(その1)
第1表 産業部門別輸出入比率
109
内生部門計
農林漁業
1085
鉱 業
265
製造業
19416
Ⅰ部門
15820
金属
4382
ウチ鉄鋼業
2349
機械器具
5868
一般
547
電気/通信
1684
ウチ電子応用装置/計測器
35
その他の電気機器
151
民生用電気機器
45
通信機械/同関連機器
86
電子計算機/同付属装置
28
半導体素子/集積回路
404
輸送機器
2802
乗用車
0
精密機械
105
化学工業
4884
石油・石炭・天然ガス
1381
窯業
663
その他
308
Ⅱ
3596
食料品
1168
繊維
335
その他
2093
建設/土木
912
電気/ガス/水道
1577
商業
3681
運輸/倉庫/通信/放送
4425
金融・保険/不動産
3773
サービス
2218
その他
7595
内生部門計
46614
家計外消費支出
1680
雇用者所得
25882
営業余剰
9958
資本減耗引当
8229
資本減耗引当(社会資本等減耗分)
1435
間接税(除関税)
3753
(控除)経常補助金
-351
粗付加価値部門計
50587
国内生産額
97201
国内純生産(要素費用)
35840
国内総生産(生産側)
48907
単位:10億円
111~117計 109+118
123-128 124-128 輸出比率
118
119
122
128
129
132
輸出計/
国内最終需要計
国内需要計 輸出計
(控除)輸入計
最終需要部門計
国内生産額 国内生産額
448
1533
6
-224
230
1315
0.5
2
267
3
-182
-176
89
3.5
9330
28746
5543
-4252
10621
30037
18.5
5973
21793
5422
-3117
8278
24098
22.5
89
4471
464
-422
131
4513
10.3
0
2349
277
-95
182
2531
11.0
4799
10667
4126
-1776
7149
13017
31.7
561
1108
334
-102
794
1341
24.9
1528
3212
1383
-975
1936
3620
38.2
158
192
149
-76
231
265
56.0
93
245
162
-39
216
367
44.0
247
292
21
-48
220
265
8.0
592
678
190
-135
647
733
26.0
413
441
223
-296
340
368
60.7
4
408
356
-240
121
524
68.0
1245
4046
1536
-280
2500
5302
29.0
786
786
771
-95
1462
1462
52.7
276
381
140
-148
267
372
37.5
952
5836
755
-786
920
5804
13.0
-14
1367
0
-1354
-1369
12
0.1
31
694
75
-53
53
716
10.5
281
588
82
-152
211
519
15.9
3357
6953
121
-1135
2343
5939
2.0
2500
3668
23
-477
2046
3214
0.7
408
743
55
-360
102
437
12.5
449
2542
43
-298
195
2288
1.9
5412
6324
0
0
5412
6324
0.0
743
2320
4
0
747
2324
0.2
6154
9836
862
-70
6946
10627
8.1
2453
6879
575
-375
2653
7078
8.1
6989
10762
67
-50
7006
10779
0.6
2379
4597
44
-64
2359
4577
1.0
16384
23979
193
-604
15973
23568
0.8
50459
97073
7377
-7248
50587
97201
7.6
%
輸入比率
輸入計/
国内生産額
17.0
205.1
14.2
12.9
9.4
3.8
13.6
7.6
26.9
28.5
10.6
18.1
18.4
80.5
45.7
5.3
6.5
39.9
13.5
11013.9
7.4
29.2
19.1
14.8
82.3
13.0
0.0
0.0
0.7
5.3
0.5
1.4
2.6
7.5
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外生循環三層格差構造(その2)
• 輸出比率(輸出額/国内生産額)IーO整理表
• 電子半導体関連56~68%,乗用車53%(特化)
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輸出上位30社の輸出比率=約半分
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よみがえった重商主義=輸出立国
• 17世紀初頭~18世紀後半
• ヨーロッパを支配した経済理論は重商主義
目的は富国強兵,その手段が貿易による貨
幣蓄積 ≒異議を唱え反対したA・スミス
• 重商主義者は「有利な貿易差額によって国
を富裕にする」と主張 彼らは毛織物生産
業者のような国内の一部資本家の高価な商
品の大量輸出を企図
• 「貿易立国日本」は,現代によみがえった毛
織物業者=自動車と電子産業のキャッチコ
ピー

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