アセチレン→ベンゼン、ポリマー

Report
日本が出遅れた理由
追いついた理由
クロスカップリングへの道
山本明夫
東京工業大学名誉教授
東工大桜花会
2011.5.28
蔵前会館3F手島精一記念会議室
マスメディアの質問(1995)
• なぜ日本人のノーベル賞受賞者は
少ないのか
• 創造性が欠けているのでは?
• 教育に問題があるのでは?
紅毛
倭
北狄
ポルトガル
東夷
西戎
南蛮
The Monument of Discovery
Lisbon
大航海時代記念碑
エンリケ航海王子
1933
ナチ政権
戦術の変化
徳川家康
1543 1720
新規法度
徳川吉宗
2000
バブル崩壊
国産技術開発
戦後復興
高度成長
1900
鎖国
キリスト教禁教
鉄砲伝来
種子島
1939-
1945
第2次世
界大戦
1914-18
第1次世界大戦
1904-5
日露戦争
1853ペリー来航
1868
明治維 新
現在
鎖国の間に西欧で起きたこと
製鉄革命(高炉、転炉)
高温での鉄の溶融、鋳鉄の製造
日本では、 たたら製鉄
産業革命
科学革命
外国からの技術情報途絶だけが
技術の遅れの原因か?
新規ご法度(享保5年、1720)
の影響
日本はなぜ科学後進国だったのか
進歩を嫌った徳川政権
家康は技術の力を知っていた
大船建造禁止 国友鉄砲鍛冶掌握
大筒、火薬の準備 大坂城攻撃にお
ける威力
抑圧体制の確立 吉宗(享保の改革)
新規法度で進歩を抑える。
一方で洋書解禁
徳川吉宗 新規法度のお触れ書
享保5年(1720年)
呉服類諸道具書物は申すに及ばず、諸商売物菓子類
にても、新規に巧出し候事爾今以後固く停止たり。….
諸商売物の中古来の通にて事済み候所、近年色品を替
え、物数奇にも仕出し候類は追て吟味を遂げ、…
覆い隠して後に現れなば、咎めあるべし。
修練(わざ)の重視、境界条件設定、節約、忍耐奨励
探求精神の抑圧
国民性への影響、隣百姓根性
二宮尊徳精神
2世紀半の間技術進歩なし.
よかった点:平和な市民文化発達
悪かった点:科学技術の遅れ
生活水準不変、進歩に背を向けて
蒸気機関車と駕籠の違い
帝国主義の列強の侵略をどう防ぐか.
Era of Imperialism.
Shock of the Opium War(1840-1842)
galvanized Japanese intellectuals.
Reading western books was prohibited by
The Tokugawa government, except Dutch books.
A limited number of intellectuals were interested
in reading the western science and technology
books including chemistry through Dutch books.
Pioneers of translation of chemistry books:
Yoan Udagawa, Komin Kawamoto.
Intellectuals were prepared to
assimilate advanced
Science and technology.
蘭学事始 解体新書
Translation of
Tafel Anatomia
川本幸民
宇田川榕菴
明治維新の変革
• 幕末に、幕府、長州藩、薩摩藩が留学生を西欧に派遣した
– 幕府:榎本武揚、大鳥圭介、西周・・・・
– 長州五傑:
– 伊藤博文、井上馨、遠藤謹助、山尾庸三、野村弥吉
生きた機械になる覚悟
– 薩摩藩:森有礼、五代友厚ら15人
• 政治的変革ー王政復古、廃藩置県
• 教育制度の変革
– 学制頒布
– 全国に53,760校の小学校計画、
– 明治8年24,500校建設
• 法律改革、経済変革、租税制度改革
• 新制度の設計者:江藤新平(+大木喬任)
– 大久保利通は江藤を梟首の刑に処した
明治維新の時期:世界史の中でも画期だった
1861
1865
1867
1868
1869
1869
1870
1871
1871
米国南北戦争
ベンゼンの平面構造
炭素の四面体構造
明治維新
周期表提案
スエズ運河開通
イタリア統一
ドイツ帝国成立
全身麻酔成功
佐賀藩の人材
• 大隈重信、副島種臣、大木喬任、江藤新平
• 島義勇、久米邦武、からくり儀右衛門(田中久重)、佐野常民
• アームストロング砲、反射炉、蒸気機関車、蒸気船
• 藩校「弘道館」「致遠館」
• フルベッキ:聖書とジェファーソンの独立宣言を教材に使う。
• 鍋島閑叟
• (直正)
フルベッキ
大隈重信
副島種臣
佐賀は、科学技術という点で
輝くような藩だった
司馬遼太郎
鍋島直正
副島種臣
大木喬任
大隈重信
江藤新平
大隈重信
フルベッキ
明治維新は人類史上類のない偉業
である ドラッカー
五箇条の御誓文
天皇の変容 文明開化に合わせて
国産技術開発へ向けて
新興財閥の台頭(工学部出身の起業家)
野口遵、藤山常一
日本窒素肥料、旭化成
北朝鮮に大コンビナート建設
臨時窒素研究所
化学機械、生産技術の発展
人絹工業の発達(生産額世界1位)
アンモニア合成法8方式(生産額2位)
導入技術の展覧会
第二次大戦終了後
の時代
廃墟と化した日本
資源小国、人口過多
あるのは:人的資源
教育改革、理工系定員拡充
技術導入競争、行政指導、小規模化学工業会社の乱立、過当競争
大学院教育(修士主体)
企業の要求にマッチ
設定された目標を達成する努力、能力を有する人材促成
外国留学が夢だった時代
1950年代はどんな時代だったか
• 敗戦の痛手から回復中
• 米国と日本の圧倒的な国力の差を痛感
• 国際水準に追いつけるか、と悩んだ時代
• 石油化学工業、高分子関係で次々と新技術開発
– シリコーンと有機ケイ素化合物
– フェロセンの発見とチーグラー触媒の発見
•
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•
•
日本における有機金属化合物研究開始
高分子合成、有機合成分野の出身者が多かった
ヨーロッパは無機化学分野の研究者が中心
遷移金属錯体関係は、Werner型錯体関係が主
チーグラー触媒
発見の衝撃
20世紀を変えた発明が
日本と同じ敗戦国のドイツから
チーグラー触媒研究の発展
• チーグラーの有機典型元素化合物の基礎的研究
• AlEt3のAl-Et結合へのエチレン挿入反応研究
• ニッケル効果の発見、遷移金属化合物を試みる
• チーグラー系触媒TiCl4-AlEt3によるエチレン重合
• ナッタTiCl3-AlEt3系触媒により立体規則性ポリプロピレン生
成を発見、他のモノマーに拡張
• 急速な高分子化学の発展
• なぜ、可能だったのか:MPIにおける情報流出の疑心不満
• 実はチーグラーとモンテカティーニ(ナッタ)の間に情報提供
の契約があった(McMillan, Chain Straightener)
Karl
Ziegler
Giulio Natta
チーグラー・ナッタ触媒の後を追う日本
•
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TiCl4-AlEt3の混合物、不均一な褐色懸濁液 本質解明困難
主要化学工業各社がチーグラー・ナッタ触媒の研究
他のモノマーの重合研究
重合機構の研究 Cosseeの重合機構に関する仮説
アセチレンの重合(Natta, 神原周、簱野昌弘)
アセチレン→ベンゼン、ポリマー
• 触媒活性種の検討
池田朔次(東工大)の研究(玉置晃)
→白川英樹助手 ポリアセチレンフィルムの研究
– McDiarmid研究室でヨウ素ドーピング
– →電導性の劇的向上 → ノーベル化学賞
外国技術導入花盛りの時代
• 石油化学工業
– 日本の立地条件
– 臨海工業地帯にコンビナート設立
– 技術供与に協力的だった外国企業
– 多量生産、消費時代の到来
– 包装材料革命:ポリエチレンその他
– 技術導入か、自力開発か
個人的回想
• 1954-1959 チタンのキレート化合物研究
• Ti(OR)2(acac)2, Ti(OR)3(acac)等の合成
• 池田朔次助教授の助手として
– アイソトープ標識化合物の合成
– チーグラー触媒によるエチレン重合機構研究
• 米国留学、ドイツ留学(マックス・プランク石炭研究所)
• G. Wilke教授指導、Ni(C7H10)3合成
• 1963帰国、東大内田安三助手と共同研究
• NiR2(bpy), FeR2(bpy)2, CoH(N2)(PPh3)3合成と反応
チーグラー触媒の発見とその影響
チーグラー触媒によるエチレンの重合.1953
• プロピレン重合への展開TiCl3-AlEt2Clナッタの研究
• →立体規則性PP
• 重合機構の研究 Cosseeの重合機構
•
• アセチレンの重合(神原周、簱野昌弘)
•
アセチレン→ベンゼン、ポリマー
池田朔次教授の研究(玉置晃)
• →白川英樹助手 フィルム状ポリアセチレン合成
• ヨー素ドーピング→導電性飛躍的に向上 →
•
ノーベル化学賞
Black Boxの中味は?
Wilkeらの研究
• Nickel(0) 錯体の研究(Naked nickel complex)
• Ni(acac)2 + AlEt2(OEt) + cod, cot
– Ni(cod)2, Ni(cdt)合成、単離、同定
– Ni(0)錯体を用いるブタジエン低重合
–錯体触媒研究に関心集まる
–→ 有機遷移金属錯体化学の発達
Wilkeの研究:錯体触媒による
ブタジエンの低重合
Ni(0)錯体からアルキル遷移金属錯体へ
Ni(acac)2 + AlEt2(OEt) + C7H10
→
Ni
3
東大御園生研究室と共同研究
Ni(acac)2
+
NiEt2(bipy) + CH 2
Fe(acac)3
NiEt2(bipy)
AlEt 2(OEt) + bipy
+
CHCN
AlEt 2(OEt)
+
CH2=CHCN
NiEt2(bipy)
- Et-Et
bipy
Ni(bipy)(CH2=CHCN)2
FeEt2(bipy)2
Quest for the identity of transition metal alkyls.
Behavior of transition metal alkyls.
Isolation of NiR2(bipy) and FeR2(bipy)2.
Discovery of reductive elimination and oxidative addition of PhCl.
Et
(bpy)Ni
Ph
+
Et
PhCl
(bpy)Ni
+
Et-Et
Cl
Development of catalytic cross-coupling processes
Kumada-Tamao, Murahashi, Negishi, Hiyama, Suzuki,
Stille-Migita-Kosugi, Suzuki-Miyaura, SonogashiraHagihara
C-C
M0
C-X
C
C
M
M
C
X
M'-X
M'-C
2
From monofunctional to bifunctional
C-X
+
M'-C'
- M'-X
X-CH 2-X + Mg
X
X
X
X
S
C-C'
- MgX2
+
+
Mg
Mg
(CH2)n
- MgX2
n
- MgX2
S
n
Serendipity
ArX
+
+
base
[Pd] cat
ArCH
CHR + base.HX
R
RCH
CH 2 + CH 2
CHX + base
RCH
[Pd] cat
CHCH
CH 2 + base.HX
溝 呂 木 ー Heck反 応
溝 呂 木 勉 東 工 大 資 源 研 助 教 授 ( 1969着 任 ) ( 1933- 1980)
Concept of C-O bond cleavage and its
application to organic synthesis.
O O
RC O CR
Me 3P
Pd
Me 3P
Ph
r.t., 2 h
O
PMe 3
RC
Pd
OCR
Me 3P
O
R = Me, Et, iPr, tBu
O
RC
PMe 3
Pd
Me 3P
O O
RC OCR
- PdLn
OCR
O
+
H2
RCHO
+
RCOOH
(+ RCH2OH)
H2
Pd catalyst
RCHO + RCOOH
Aldehyde production from carboxylic acid
Pd(PPh3)4 0.01 equiv
Additive
RCOOH
+
H2
THF , 80 , 2 - 5 hr
P = 3.0 MPa
One-pot
Versatile
Mild conditions
Good yield and selectivity
Environmentally benign
RCHO
Me 3P
Pd
Me 3P
O
PMe 3
RC
Pd
r.t., 2 h
OCR
Me 3P
Ph
O
R = Me, Et, iPr, tBu
O O
RC O CR
Preparation of Novel Organotransition Metal Complexes
Examination of Chemical Properties of Organotransition Metal Complexes
Novel Reactivities of Organotransition Metal Complexes
New Concepts
Combination with Known Elementary Processes
Design of New Catalytic Processes
OMCOS

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