Sgr A * および Circumnuclear disk方向の 3mm帯ラインサーベイ観測

Report
Sgr
*
A およびCircumnuclear
disk方向の3mm帯ラインサーベイ観測
竹川俊也、岡朋治、 田中邦彦、 松村真司、 三浦昂大 (慶應義塾大学) 、酒井大裕 (東京大学)
Abstract
銀河系中心に位置する電波源 Sgr A* は 400 万太陽質量の超巨大ブラックホール (SMBH) であると考えられてい る。その Sgr A* を取り囲むように 1 pc から数 pc の距離にわた
って広がるトーラス状のガス雲は Circumnuclear disk (CND) と呼ばれ、様々な分子や電離ガスを多く含んでいる。CND の化学組成や物理状態は中心核SMBHに起因する活動現象
の影響を受けている可能性がある。複雑な銀河系中心の物理状態や化学組成を調べるには、様々な分子輝線の定量解析が重要である。さらに近年発見さ れた Sgr A∗ へ落ちつつ
あるガス雲G2 (Gillessen et al. 2012) が中心 SMBH に質量降着すれば、激しい活動現象が引 き起こされ、Sgr A*周りの環境に変化が起こるかもしれない。それにもかかわらず、こ
れまで Sgr A*および CND 方向の mm 波帯でのラインサーベイ観測は行われてこなかった。
そこで今回私たちは野辺山 45m 鏡を用いて Sgr A*および CND 方向の 3mm 帯 (81 GHz から 116 GHz) での ラインサーベイ観測を行った。観測点はSgr A*方向 (l, b) = (0”,0”) と
CND方向の2点 (l, b) = (+46”,0”), (−40”,0”) の計3点である。その結果、CO、CS、 HCN、CH3OH、HCCCN など様々な分子種の輝線スペクトルを得ることができた。特に CH3OH や
HCCCN については多数の 遷移放射が検出できた。また非常に大きな速度幅をもつ水素再結合線もいくつか検出することができた。 水素再結合線は、G2が 落下することにより Sgr A*
が活発化すると、まず最初に強度や速度幅が増大することが期待されており重要である。さらに強度の比較的強い輝線については主成分解析(PCA)を行った。解析は現在進行中であ
るが、本ポスターでは観測で得られたスペクトル線とPCAの結果を紹介し、今後Sgr A*が活動的になることを念頭に中心核周りの現在の環境について議論したい。
Background
活動銀河核(AGN): 銀河全体に匹敵するほどの莫大なエネルギーを放出
中心核に潜む106 – 109 M☉の超巨大ブラックホール(SMBH) がエネルギー源
我々の住む銀河系にも4×106 M☉のSMBH = 電波源Sgr
A*
Sgr A*の周り1 pc から数 pc の距離にわたって
高温高密度なトーラス状のガス雲が広がっている
Circumnuclear disk (CND)
(下図左参照)
暗くて
おとなしい
過去数百年前までは格段に活動的であった可能性が
by X線観測 (Ryu et al. 2013など)
Sgr A*へ落ちつつあるガス雲G2の発見が報告された!(Gillessen et al. 2012)
中心核に質量降着→活動現象を引き起こすことが期待!
G2の最接近時期は2013年9月もしくは2014年の3月(Gillessen et al 2013)
Sgr A*の活動性がCNDを含む周囲の環境に
解明に
つながる?!
どのような影響を及ぼすのかは謎
銀河系中心核領域の現在の状態を知っておくことは非常に重要
なのに これまで Sgr A*および CND 方向の mm 波帯での
ラインサーベイ観測は行われてこなかった!
検出された分子輝線
Observations
2013年2月下旬と5月下旬に野辺山45m鏡を利用
受信機: TZ1H & TZ1V
分光計: SAM45
観測周波数:81 GHz–116 GHz
観測点: (l, b) = (0”,0”), (+46”,0”), (−40”,0”) の3点(右図)
ビームサイズ : 約20”
システム雑音温度Tsys 〜250 K
Image rejection ratio 〜4 dB
赤い十字がターゲットポジション。円はビームサイズを表している。左はHCN J=1-0 の積
分強度図に、右は6cmの電波連続波に重ねて表示してある。
Result & Analysis
右の表は検出された分子輝線
のリストである。(ただし、混在
しているもの判断のつかない
ものも含め、検出された可能
性のあるもの全てをリストアッ
プしてある。) CH3OHやHCCCN
などは複数検出できている。
各観測点で得られたスペクトル線図
検出された分子種および原子は44種、輝線は135本である。このう
ちで比較的強度が強い分子輝線と水素再結合線(Hα線)を左図に示
してある。なお横軸は視線速度に変換してある。多くの輝線は大き
な速度幅を持ち、Hα線は非常に大きな速度幅を持つことが見て取
れる。CNDの回転(〜±100 km/s)を反映したドップラーシフトも確認
できる。ベースラインの歪みも除去しきれていないものもある。
foregrondもしくはbackgroundを見てしまっている場合も多く、今後定
量的な解析を行っていく際には注意が必要である。
またこれら代表的な分子輝線に対して主成分解析(PCA)を行った。
(速度を変数とした。) 下図がPCAの結果を示したものである。なお各
主成分の寄与率はPC1: 〜70% PC2: 〜15% PC3: 〜10% である。
PCAとは、相関関係を
持つ観測値のデータ
から互いに無関係の
因子(主成分)を選び
出し、観測値をその因
子の線形結合で表す
手法である。PCAを行
うことで、各分子輝線
の共通点を探し出し分
類できる可能性がある。
主成分解析(PCA)の結果
代表的なスペクトル
Prospects
現在解析は進行中であり、Sgr A*やCNDについて新しく具体的に言及できることはまだない。今後は、入念にベースラインをひき直した上
で、CNDの速度の決定、CH3OHやHCCCNについてボルツマンダイヤグラムを描くことによる温度評価、CN/HCN強度比やHCO+/HCN強度比を
調べることによるXDRモデルの検討などを行いたい。さらにPCAを進めることで新しい発見ができることを期待している。また、ASTE望遠鏡に
よる300GHz帯での同様の観測も予定されている。ASTE観測で得られデータを合わせることで、Sgr A*やCNDについてより具体的なことが言
えるようになるであろう。今後G2がSgr A*に落ちることを楽しみにしつつ、解析を進めていきたい。
No.
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128
129
130
131
132
133
134
135
rest freqency (GHz)
81.47749
81.505208
81.881463
82.082779
82.093555
82.10167
82.47067
83.58212
84.521206
84.91418
85.139104
85.338906
85.347869
85.68818
86.3387367
86.3401764
86.3422551
86.615602
86.754288
86.846995
87.090735
87.090859
87.090942
87.328624
87.402004
87.407165
87.446512
87.925238
88.6304157
88.6318473
88.633936
89.188526
90.66345
90.663564
90.663574
90.663656
90.686383
92.03468
92.488488
92.49427
93.171621
93.171917
93.172053
93.17348
93.173777
93.173967
93.176265
93.196657
93.60787
93.8633
93.870098
94.405223
94.407129
94.410895
95.016663
95.169516
95.91431
95.947439
95.963465
96.396055
96.41295
96.42562
96.739363
96.741377
96.744549
96.755507
97.169513
97.17184
97.17184
97.174996
97.175271
97.3012085
97.582808
97.980953
99.02275
99.22481
99.299905
100.076386
100.708784
100.711064
100.714395
101.469719
101.477885
102.546023
102.547983
102.554696
102.562281
103.040548
103.051867
104.617109
105.799093
106.73725
108.631121
108.636923
108.638212
108.64359
108.64506
108.64506
108.651297
108.657646
108.658948
108.780201
108.782374
108.786982
108.793753
108.7964
108.893929
109.173638
109.183021
109.244222
109.252212
109.463063
109.469409
109.771918
109.782176
109.905753
110.201354
110.375052
110.381404
110.383522
112.35878
112.358988
112.360005
112.646233
112.654117
113.123337
113.144192
113.170528
113.191317
113.48814
113.490982
113.499639
113.508944
113.520414
115.271202
Species
HNO
CCS
HCCCN
HCCCN
c-C3H2
HNCS
CH2OHCHO
H
CH3OH
H
OCS
c-C3H2
HCS+
H
H13CN
H13CN
H13CN
CH3OH
H13CO+
SiO
HN13C
HN13C
HN13C
C2H
C2H
C2H
C2H
HNCO
HCN
HCN
HCN
HCO+
HNC
HNC
HNC
HNC
CCS
H
CCCS
13CS
N2H+
N2H+
N2H+
N2H+
N2H+
N2H+
N2H+
CH3OH
H
C4H
CCS
13CH3OH
13CH3OH
13CH3OH
C36S
CH3OH
CH3OH
CH3CHO
CH3CHO
CH3OH
C34S
CH3CHO
CH3OH
CH3OH
CH3OH
CH3OH
C33S
C33S
C33S
C33S
C33S
OCS
CH3OH
CS
H
H
SO
HCCCN
HCCCN
HCCCN
HCCCN
CH3OH
H2CS
CH3CCH
CH3CCH
(CH3)2CO
(CH3)2CO
H2CS
H2CS
H2CS
H13CCCN
H
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
13CN
CH3OH
HCCCN
HCCCN
HCCCN
SO
OCS
HCCCN
HCCN
C18O
HNCO
13CO
CH3CN
CH3CN
CH3CN
C17O
C17O
C17O
CH3CH2CN
NH2CHO
CN
CN
CN
CN
CN
CN
CN
CN
CN
CO
Transition
1(0,1)-0(0,0)
N,J=6,7-5,6
9-8
9-8 1v7 l=1e
2(0,2)-1(1,1)
7(0,7)-6(0,6)
8(0,7)-7(1,7)
53 Beta
5(-1,5)-4(0,4) E
60 Gamma
7-6
2(1,2)-1(0,1)
2-1
42 Alpha
1-0 F=1-1
1-0 F=2-1
1-0 F=0-1
7(2,6)-6(3,3) A-1-0
2-1 v=0
1-0 F=0-1
1-0 F=2-1
1-0 F=1-1
1-0 3/2-1/2 F=1-0
1-0 1/2-1/2 F=1-1
1-0 1/2-1/2 F=0-1
1-0 1/2-1/2 F=1-0
4(0,4)-3(0,3)
1-0 F=1-1
1-0 F=2-1
1-0 F=0-1
1-0
1-0 F=0-1
1-0
1-0 F=2-1
1-0 F=1-1
N,J=7,7-6,6
41 Alpha
16-15
2-1
1-0 F1=1-1 F=0-1
1-0 F1=1-1 F=2-2
1-0 F1=1-1 F=1-0
1-0 F1=2-1 F=2-1
1-0 F1=2-1 F=3-2
1-0 F1=2-1 F=1-1
1-0 F1=0-1 F=1-2
1(0,1)-2(1,2) E vt=1
51 Beta
2P1/2 J=19/2-17/2 1v7f
N,J=7,8-6,7
2(-1,2)-1(-1,1) E
2(0,2)-1(0,1) A++
2(0,2)-1(0,1) E
2-1
8(0,8)-7(1,7) A++
2(1,2)-1(1,1) A++
5(0,5)-4(0,4) E
5(0,5)-4(0,4) A++
2(1,2)-1(1,1) A++ vt=1
2-1
5(-2,4)-4(-2,3) E
2(-1,2)-1(-1,1) E
2(0,2)_1(0,1) A++
2(0,2)-1(0,1) E
2(1,1)-1(1,0) E
2-1 3/2-3/2
2-1 1/2-1/2
2-1 7/2-5/2 + 5/2-3/2
2-1 5/2-5/2
2-1 3/2-1/2
8-7
2(1,1)-1(1,0) A-2-1
40 Alpha
50 Beta
N,J=2,3-1,2
11-10
11-10 2v7 l=0
11-10 2v7 l=2 e
11-10 2v7 l=2 f
8(-2,7)-8(1,7) E
3(1,3)-2(1,2)
6(1)-5(1)
6(0)-5(0)
10(0,10)-9(1,9) EE
10(0,10)-9(1,9) AA
3(0,3)-2(0,2)
3(2,1)-2(2,0)
3(1,2)-2(1,1)
12-11
39 Alpha
F1=0,F2=1-0,F=0-1
F1=0,F2=1-0,F=1-1
F1=1,F2=1-1,F=1-0
F1=1,F2=1-1,F=2-1
F1=1,F2=1-1,F=0-1
F1=1,F2=1-1,F=1-1
J=1/2-1/2 F=2-1,F1=0,F2=1-0
J=1/2-1/2 F=2-2,F1=1,F2=1-1
J=1/2-1/2 F=1-2,F1=1,F2=1-1
J=3/2-1/2 F=3-2,F1=1,F2=2-1
J=3/2-1/2 F=2-1,F1=1,F2=2-1
J=3/2-1/2 F=1-0,F1=1,F2=2-1
J=3/2-1/2 F=1-1
J=3/2-1/2 F=2-2
0(0,0)-1(-1,1) E
12-11
12-11 1v5 l=1e
12-11 1v5 l=1f
N,J=3,2-2,1
9-8
12-11 1v4 1v7 l=1f+
N,J=5,6-4,5
1-0
5(0,5)-4(0,4)
1-0
6(2)-5(2) F=7-6
6(1)-5(1) F=7-6
6(0)-5(0) F=7-6
1-0 F=3/2-5/2
1-0 F=7/2-5/2
1-0 F=5/2-5/2
13(1,13)-12(1,12)
8(3,6)-9(2,7)
1-0 J=1/2-1/2 F=1/2-1/2
1-0 J=1/2-1/2 F=1/2-3/2
1-0 J=1/2-1/2 F=3/2-1/2
1-0 J=1/2-1/2 F=3/2-3/2
1-0 J=3/2-1/2 F=3/2-1/2
1-0 J=3/2-1/2 F=5/2-3/2
1-0 J=3/2-1/2 F=1/2-1/2
1-0 J=3/2-1/2 F=3/2-3/2
1-0 J=3/2-1/2 F=1/2-3/2
1-0

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