20130220m3WEBlecture_V3

Report
急性期・周術期における超速効型イン
スリン製剤(ノボラピッド®)の使用
Use of Ultra-rapid-acting Insulin (NovoRapid®)
during the Acute/Perioperative Period
Web講演会
提供:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社
2013年2月20日(水)19:30~20:20
埼玉医科大学 総合医療センター 内分泌・糖尿病内科
Department of Endocrinology and Diabetes,
Saitama Medical Center, Saitama Medical University
松田 昌文
Matsuda, Masafumi
講演内容
 血糖調節と糖尿病におけるインスリン補充の基礎的知識
 妊娠糖尿病と急性期/周術期の血糖管理の必要性と目標
ADAの2013年Clinical practice recommendation
 血糖管理の基礎知識:ブドウ糖補充と低血糖への対応
 長時間作用のインスリン使用上での注意点:基礎補充
 カーボカウント(混注:5~8gブドウ糖に1単位,食直後打)
 血糖による補正量とブドウ糖について
SMBGとPOCT
 経静脈からの持続インスリン投与
 血糖管理の例
皮下注射への切り替え
NovoRapidの性質
症例
35歳の男性。身長155cm,体重89kg。後頭部に腫れが出現、腫れが増大し排膿があり入院
6日前から外来を受診し抗生剤と内服にて加療を受けていた。入院日外来受診時に体温38.5
度と上昇しており全身倦怠で入院することとなった。入院時血糖値が314mg/dl,HbA1C
10.9%。入院後,血糖が高いので絶食とし生食の点滴を受け入院2日目の朝の採血で血糖
は93mg/dl,尿ケトン体は陰性であった。摂食可能であり抗生物質以外の点滴は中止すること
にした。担当医師は次の指示を行った。
●糖尿病食 1800kcal
●血糖測定 毎食前,眠前,午前0時
●毎食前と眠前に血糖値により以下の表によりレギュラーインスリンを皮下注射
- 149 mg/dl 0単位
150 - 199 mg/dl 2単位
200 - 249 mg/dl 3単位
250 - 299 mg/dl 4単位
300 - 349 mg/dl 6単位
350 - 399 mg/dl 8単位
400 - mg/dl Dr.CALL
●低血糖時(69mg/dl以下)ブドウ糖10g服用させ30分後に再検し80mg/dl以上を確認。
血糖値(mg/dl)は以下のようであった。
入院2日目 朝食前 93, 昼食前 225, 夕食前 343, 眠前 182, 午前0時 76
入院3日目 朝食前 89, 昼食前 312, 夕食前 143, 眠前 313, 午前0時 44
高血糖と低血糖があり,どうもうまくゆかないのでコンサルトされた。どのような返事をするか。
病棟血糖管理マニュアル 増補版 48-49ページ
Washingtonマニュアル 30版 2001年
血糖値の調節
血糖値は制御された値
であり制御機構が正常
なら全く血糖は上昇し
ない!
インスリンが補充でき
れば正常に保てる。
膵臓
脂肪組織
インスリン
↑
尿糖
血糖
200 g/日
Plasma Glucose
Blood Glucose
グリコーゲン
乳
酸
肝臓
120g/日
グリコーゲン
筋肉
脳
(食事)
40g/日 その他のブドウ糖
のみ用いる組織
インスリン補充
基礎分泌補充
(ブドウ糖補給なしでも必要)
追加分泌補充
(食事などでブドウ糖追加)
補正
(血糖が高い場合の補正)
インスリン不足を生理的に補う
空腹時の介入
食事に伴う介入
+
+
妊娠糖尿病 とは?
血糖が上昇する病気です
空腹時 92mg/dl以上,
負荷後1時間 180mg/dl以上,
負荷後2時間 153mg/dl以上
(どれか1つ)
放置すると合併症(巨大児など)
(糖尿病の診断基準の血糖値は合併症発症で決めている!)
糖尿病 とは?
血糖が上昇する病気です
放置すると合併症
急性期や術後の高血糖も放置すると
問題があるのであれば対応が必要!
糖尿病診療
介入
病棟でのインスリン使用
Medical ICUでの高血糖と死亡率
Surgical ICUでのインスリン強化療法による
死亡率減少
周術期(主に術後)には、
血糖を200mg/dl程度に
する治療に比較し
100mg/dl前後にすると
死亡率が半減する。
重症入院患者へのインスリン治療:死亡率
(無作為ランダム化研究のメタ解析)
周術期(主に術後)には、
血糖を200mg/dl程度に
する治療に比較し
100mg/dl前後にすると
死亡率が半減する。
心筋梗塞ではそれほど
の差はない。
35 publications, n=8478
最低血糖値と死亡
血糖スライディングをおこなっていた頃のデータ
0.18
0.16
0.14
死亡数
0.12
0.10
0.08
0.06
0.04
0.02
0.00
<30(49)
30-39(76)
>39(213)
入院中最低血糖値 (mg/dL)
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)などで、2003年1月から2004年8月に大学付属
病院へ入院した糖尿病患者2, 582例(入院4, 368回)についてレトロスペクティブに検討。最
低血糖値が10 mg/dL減少するごとに死亡リスクが3倍。
Diabetes Care 32: 1153–1157, 2009
低血糖は非常に危険
(病棟診療)
血糖スライディングスケールは「有効でなく使ってはいけな
い!」(米国糖尿病学会Clinical Practice Recommendation)
高血糖の場合には「補正量」を追加で使用
院内血糖管理ガイドライン
VIII. DIABETES CARE IN
SPECIFIC SETTINGS
A. Diabetes care in the hospital Recommendations
● Scheduled prandial insulin doses should be
appropriately timed in relation to meals and should be
adjusted according to point-of-care glucose levels. The
traditional sliding-scale insulin regimens are
ineffective as monotherapy and are generally not
recommended. (C)
● Using correction dose or "supplemental" insulin to
correct premeal hyperglycemia in addition to scheduled
prandial and basal insulin is recommended. (E)
DIABETES CARE, VOLUME 32, SUPPLEMENT 1, JANUARY 2009 S13
院内血糖管理ガイドライン
Diabetes care in the hospital Recommendations
● Scheduled subcutaneous insulin with basal, nutritional, and
correction components is the preferred method for
achieving and maintaining glucose control in noncritically
ill patients. (C) .
● Using correction dose or "supplemental" insulin to correct
premeal hyperglycemia in addition to scheduled prandial
and basal insulin is recommended. (E)
● Prolonged therapy with sliding scale insulin (SSI) as the
sole regimen is ineffective in the majority of patients,
increases risk of both hypoglycemia and hyperglycemia,
and has recently been shown to be associated with adverse
outcomes in general surgery patients with type 2 diabetes .
SSI is potentially dangerous in type 1 diabetes.
DIABETES CARE, VOLUME 35, SUPPLEMENT 1, JANUARY 2012
周術期,急性期の血糖管理
VIII. DIABETES CARE IN
SPECIFIC SETTINGS
A. Diabetes care in the hospital Recommendations
● All patients with diabetes admitted to the hospital should have
their diabetes clearly identified in the medical record. (E)
● Goals for blood glucose levels:
Critically ill surgical patients’ blood glucose levels should be
kept as close to 110 mg/dl (6.1 mmol/l) as possible and
generally 140 mg/dl (7.8 mmol/l). (A) These patients require
an intravenous insulin protocol that has demonstrated
efficacy and safety in achieving the desired glucose
Critically ill nonsurgical patients’ glycemic targets are less
well defined.
DIABETES CARE, VOLUME 32, SUPPLEMENT 1, JANUARY 2009 S13
周術期,急性期の血糖管理
VIII. DIABETES CARE IN
SPECIFIC SETTINGS
A. Diabetes care in the hospital Recommendations
● All patients with diabetes admitted to the hospital should have their
diabetes clearly identified in the medical record. (E)
Goals for blood glucose levels:
● Critically ill patients: Insulin therapy should be initiated for treatment
of persistent hyperglycemia starting at a threshold of no greater than
180 mg/dl (10 mmol/l). Once insulin therapy is started, a glucose
range of 140 –180 mg/dl (7.8 to 10 mmol/l) is recommended for the
majority of critically ill patients. (A) These patients require an
intravenous insulin protocol that has demonstrated efficacy and
safety in achieving the desired glucose range without increasing risk
for severe hypoglycemia. (E)
● Non–critically ill patients: BG<140mg/dl (7.8 mmol/l) with random
blood glucose <180 mg/dl (10.0 mmol/l),
DIABETES CARE, VOLUME 33, SUPPLEMENT 1, JANUARY 2010 S13
30版 2001年
31版 2004年
32版 2007年
1943年以来65年間医学書の世界でのベストセラー。医学
生,研修医(レジデント)のバイブル!
発売以来200万部以上売れている。
33版 2010年
Washingtonマニュアル 30版 2001年 → 31版 2004年
スライディングスケールの表がなくなりました
症例
35歳の男性。身長155cm,体重89kg。後頭部に腫れが出現、腫れが増大し排膿があり入院
6日前から外来を受診し抗生剤と内服にて加療を受けていた。入院日外来受診時に体温38.5
度と上昇しており全身倦怠で入院することとなった。入院時血糖値が314mg/dl,HbA1C
10.9%。入院後,血糖が高いので絶食とし生食の点滴を受け入院2日目の朝の採血で血糖
は93mg/dl,尿ケトン体は陰性であった。摂食可能であり抗生物質以外の点滴は中止すること
にした。担当医師は次の指示を行った。
●糖尿病食 1800kcal
●血糖測定 毎食前,眠前,午前0時
●毎食前と眠前に血糖値により以下の表によりレギュラーインスリンを皮下注射
- 149 mg/dl 0単位
150 - 199 mg/dl 2単位
200 - 249 mg/dl 3単位
250 - 299 mg/dl 4単位
300 - 349 mg/dl 6単位
350 - 399 mg/dl 8単位
400 - mg/dl Dr.CALL
●低血糖時(69mg/dl以下)ブドウ糖10g服用させ30分後に再検し80mg/dl以上を確認。
血糖値(mg/dl)は以下のようであった。
入院2日目 朝食前 93, 昼食前 225, 夕食前 343, 眠前 182, 午前0時 76
入院3日目 朝食前 89, 昼食前 312, 夕食前 143, 眠前 313, 午前0時 44
高血糖と低血糖があり,どうもうまくゆかないのでコンサルトされた。どのような返事をするか。
病棟血糖管理マニュアル 増補版 48-49ページ
1型糖尿病では血糖によるインスリン
量スケーリング(SSI)は禁忌
血糖が正常であればインスリンは
使用しないというプロトコールがう
まくゆくわけない! 危険!
さらに2型糖尿病:血糖が正常でも
インスリンを使用しなければブドウ
糖が入れば血糖は上昇する!
インスリン治療については:
病棟血糖管理マニュアル
理論と実践 (第1版増補)
本書は血糖管理の理論を詳説し、臨床症例を通じ
て理論をいかに実践に結びつけるかを述べたマ
ニュアルで、好評の第1版(2008年刊行)の増補版。
診断基準の改訂、CSIIや持効型インスリンの普及
など、糖尿病診療情勢の変化に対応。さらに、マ
ニュアルの利便性の向上を図り、研修医・看護師な
ど医療スタッフの理解促進のため「血糖管理のポイ
ント」、および実際の運用例として「簡易血糖管理マ
ニュアル」を追加。
高血糖状態の基礎知識
血糖調節と糖尿病における血糖管理の基礎知識
血糖値の調節
膵臓
脂肪組織
インスリン
↑
尿糖
血糖
200 g/日
Plasma Glucose
Blood Glucose
グリコーゲン
乳
酸
肝臓
120g/日
グリコーゲン
筋肉
脳
(食事)
40g/日 その他のブドウ糖
のみ用いる組織
血漿浸透圧=function (Na, PG, BUN)
血漿浸透圧=
浸透圧利尿
尿糖:血中ブドウ糖濃度(PG)170mg/dl以上で出現し
血糖が高いほど尿量が増える。
腎機能正常であればPG上昇すれば、
Naが低下
ΔPG 100mg/dl で Naは 1.6-2.4(2.0)mEq/L変化
血糖値は水分補給が十分であれば
200mg/dl程度には自動的に保たれる。
1 血糖が高めでもパニックになるな!
2 200mg/dlを超える状態はインスリン不
足の可能性がある
急性期血糖目標:140-180mg/dl
ただし低血糖を起こさず可能なら正常化
血糖値の調節
膵臓
脂肪組織
インスリン
↑
尿糖
血糖
200 g/日
Plasma Glucose
Blood Glucose
グリコーゲン
乳
酸
肝臓
120g/日
グリコーゲン
筋肉
脳
(食事)
40g/日 その他のブドウ糖
のみ用いる組織
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
2.2 mg/kg BW per min
維持輸液(ソリタT3Gなど)
時間80ml 1日2L
点滴内にこの程度のブドウ糖が入っていれば重
篤な代謝障害は惹起されない。
異化亢進とならず,ケトン体も産生されない。
(ただし尿糖が出ないとして)
→ 血糖は170mg/dl未満にする
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
もし8.3g/時間でブドウ糖を投与し
ブドウ糖利用が0とすると、 ブドウ糖の体液中への
拡散を仮定すると:
8300[mg]÷(60[kg]×0.25×10[dl/L])÷60[min]
= 0.92 [mg/dl per min]
1分で 1mg/dl 上昇
1時間で 血糖が50mg/dl以上上昇
2時間で 100mg/dl以上上昇!
血糖測定は急性期は1時間おき!
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
Ra(糖産生) = Rd(糖利用)
空腹時などで血糖が上昇しないのは糖産生の分だけ糖が利
用されているはず。ブドウ糖分布容積内で8.3g/時間ブドウ糖
が消費される。
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
血糖測定は急性期は1時間おき!
Ss
Rd(t)
基礎ブドウ糖代謝:2.2 mg/kg per min
Hepatic Glucose Production は門脈中インスリン濃度に対応した値
Hepatic Glucose
Production (mg/min・kg LBM)
Total Glucose Disposal
(mg/min・kg LBM)
INSULIN DOSE RESPONSE CURVE
Ra(t)
基礎補充の考え方
• なるべく短時間作用:グラルギンインスリンよりデ
テミル2回
• ステロイド使用時は 朝に使用!
• 混注(やブドウ糖入り点滴)があれば肝糖産生が
抑制されるので注意
ブドウ糖補充は8~10g/時間は必要
DKA急性期は尿ケトン陰性化まで経静脈的
持続インスリン補充
• 朝食前の血糖で評価(眠前血糖測定は止める)
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
低血糖の場合のブドウ糖投与量は?
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
低血糖の場合のブドウ糖投与量は?10g
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
低血糖の場合のブドウ糖投与量は?10g
遷延性:10%ブドウ糖液 時間80ml/hr
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
低血糖の場合の砂糖投与量は?
肝臓からのブドウ糖産生率
200g/日 = 8.3g/時間
(2.2mg/kg per min)
もし肝臓からの糖産生が止まったら
1分で 1mg/dl 低下
1時間で 血糖が50mg/dl以上低下
2時間で 100mg/dl以上低下!
低血糖の場合の砂糖投与量は?
20g
たとえば以下の3つのインスリンの打ち方は概ね基礎分泌
補充量と追加分泌補充量については ほぼ1:1にあてはま
るはずである。
ノボラピッド(10-10-10)単位
NPH 10単位[12時間作用] 合計40単位
いわゆる「ぞろ目療法」
1)
2)
ノボラピッド(8-10-10)単位
レベミル 12単位[14時間作用] 合計40単位
3)
ノボラピッド(7-6-8)
グラルギン19単位[22.8時間作用] 合計40単位
調節については病棟血糖管理マニュアル 増補版 121ページを参照
急性期のバイアルでの補充
速効+短時間作用性
レギュラーインスリン
超速効型
妊娠時
補正用
補正量の追加
(血糖値に応じた)
Using correction dose or "supplemental"
insulin to correct premeal hyperglycemia
in addition to scheduled prandial and
basal insulin is recommended.
from ADA Clinical Practice Recommendation
ブドウ糖とは?
ヒトの脳の唯一のエネルギー源
MANN, F. C., and MAGATH, T. B. (1922).-Arch. Intern. Moo. 30: 171.
検査値としての血糖は
plasma glucose: PG
(mg of glucose per dl
of plasma)で表記され
ます。
臨床現場で血糖値は
Glucoseという用語で
BS BG
「糖尿病」 2013年2月号 編集者への手紙
SMBGに用いる機種
ISO国際標準化
2010年10月版
POINT OF CARE TESTING
病棟での血糖測定
POCT(Point of Care Testing)は、患者さんがいるその場で、
簡便・迅速に実施する臨床検査
参考: SMBG=self monitoring of blood glucose
( 測定ではない! ISO 15197で誤差は血糖が75mg/dl以上で
±20%ならOK)
病棟でのSMBG器使用
低血糖
• 70mg/dl未満
• 60mg/dl未満(妊婦)
ブドウ糖10gで血糖50mg/dl程度上昇
食事を摂取している場合
• 食事量や運動量による微調整は必
要だが,血糖値によるスライディン
グスケールはあり得ない!
• 食事量スライディングスケール!
食直後の超速効型インスリン
• 血糖値に振り回されてはいけない。
Graphic Protocol
インスリン投与量プロトコール
海で進路を決めるのに海図が必要なように
インスリン注入率決定にも図が必要
臨床的インスリン効果の評価
1時間あたりの血糖変化(Y)とインスリン流量(X)との用
量依存関係を直線で評価する。
傾きの絶対値をISI-delta [mg/dl per hr per U]
X軸との交点をIRI-absolute [U/hr]
一定のブドウ糖注入時の評価
輸液による推定血糖上昇
ブドウ糖注入速度が変化する場合は身長,体重より体内ブドウ糖分布スペースを推定。1
時間以上の時間間隔であればブドウ糖が均一に分布する。したがって注入されたブドウ
糖による血糖上昇が推定可能である。この血糖変化をグラフ上で下方向にX軸を動かし
インスリン用量依存直線を固定したままで解析可能とした。
変化が直線的(1次関数),逆向き(逆1次関数),変化なし,2次関数,指数関数の5通りの
変化を用い血糖を推定した。
インスリン静脈内投与による血中インスリン濃度
持続投与インスリンについて
ボーラスを行わないとインスリン濃度が一定になるのには45分程度かかる
ボーラスインスリンについて
1コンパートメントとして半減期約6
分としてインスリン血中濃度をシ
ミュレーション。
C1:一定のインスリン注入速度,
C1b1:10分相当のボーラス追加、
C1b2:60分相当のボーラス追加
同様のシミュレーションでインスリ
ンの血中半減期5~7分とすると1
時間1単位で30~60μU/ml程度
血中インスリン濃度が上昇するこ
とが確認できる。
•
•
•
•
•
•
•
•
•
シリンジポンプを用いたインスリン注入
による血糖管理のポイント
依頼のやり取り:看護師さんへの配慮
インスリン注入液準備
よく混和 49.5mlの生食
ブドウ糖[点滴、経管栄養]もポンプで注入
血糖管理はチームで交代で行う
インスリン注入率指示はこちらから電話
記録を残す
点滴や食事の開始/変更時の連絡
検査や処置で点滴や経管栄養中断に注意
血糖低下で次回70mg/dl以下になりそうであ
れば0.4U/hrに注入率を落とす
血糖による持続インスリン注入率の調節
とりあえず
血糖値÷100 [単位/hr] で開始
ボーラスは
上記÷6単位
300mg/dl
血糖による持続インスリン注入率の調節
安定してきたらΔで調節!
160mg/dl
210mg/dl
食事開始後の
インスリン指示
0000000
CASE 1
男
食事の開始指示の確認
0000000
CASE 1
男
インスリン指示(食事開始後)
0000000
CASE 1
男
インスリン注入指示
(食事開始後も点滴継続の場合)
血糖値の表示(食事開始後)
0000000
CASE 1
男
インスリン指示(退院前)
1.0U/hr
-Δ=53mg/dl
per U/hr
医師指示例
EXCEL表
実際
ノボラピッド
レベミル
(6-5-6)
(4-0-4)
ノボラピッド
レベミル
(5-5-5)
(4-0-4)
血糖値:
朝食前 121mg/dl,昼食前 205mg/dl,夕食前 144mg/dl
食事開始に伴うインスリン皮下注射
による血糖管理のポイント
• インスリン追加分泌補充は超速効型で食直後に
• 食事量スライディングスケールを用いる
(3分割:0-3,3-7,7-10割)
☆単位数が多い場合は4分割もある
(4分割:0-2,2-5,5-8,8-10割)
• 血糖補正を行う
目標血糖(120mg/dl)
1単位のインスリンで50mg/dl低下
• 基礎インスリン補充は朝,夕 中間型かレベミル2回から
開始(食事量が不明の場合)
• 点滴中でインスリン混注やシリンジポンプから注入中に
は基礎インスリン補充はしない
インスリン アスパルトと速効型ヒトインスリンの
PK/PDプロファイル(海外データ)
Pharmacokinetics
皮下注射後血中濃度
外因性血中インスリン濃度(pmol/L)
800
700
インスリン アスパルト
速効型ヒトインスリン
600
500
400
300
200
100
0
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
600
経過時間(分)
対象:2型糖尿病患者19例(65歳以上)
方法:無作為化二重盲検クロスオーバー試験。正常血糖クランプ下にてインスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリン 0.3U/kgを単回皮下
注射し、PK/PDプロファイルを比較検討した。
Krones R et al.:Diabetes Obes Metab 11(1):41-44, 2009
インスリン アスパルトと速効型ヒトインスリンの
PK/PDプロファイル(海外データ)
Pharmacodynamics
皮下注射後インスリン作用
GIR(mg/kg/min)
6
5
インスリン アスパルト
速効型ヒトインスリン
4
インスリン アスパルト(平滑化)
速効型ヒトインスリン(平滑化)
3
2
1
0
0
60
120
180
240
300
360
420
480
540
600
経過時間(分)
対象:2型糖尿病患者19例(65歳以上)
方法:無作為化二重盲検クロスオーバー試験。正常血糖クランプ下にてインスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリン 0.3U/kgを単回皮下
注射し、PK/PDプロファイルを比較検討した。
Krones R et al.:Diabetes Obes Metab 11(1):41-44, 2009
インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリンを
投与したときの血糖プロファイル(海外データ)
持続静脈注入
10
9
血糖値(mmol/L)
8
7
(n=16)
6
■ インスリン アスパルト
● 速効型ヒトインスリン
Mean±2SEM
5
R:急性自律神経反応の発現
//:時間のギャップ
4
3
2
1
0
0
10
R-20 R-10
R
R+10 R+20 R+30 R+40 R+50 R+60
時間(分)
対
方
象:1型糖尿病患者16例
法:無作為化二重盲検二期クロスオーバー試験。インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリン(100U/mL)を2mU/kg/分で静注して
急性低血糖を惹起させ、自律神経活性化の血糖値閾値、インスリン拮抗ホルモンの応答などを観察した。
安全性:有害事象はインスリン アスパルトで5件、速効型ヒトインスリンで6件認められた。いずれも軽度で被験薬との因果関係は認められなかった。
Frier BM et al.:Diabetes Metab Res Rev 16(4):262-268, 2000
インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリンを
投与したときのインスリン拮抗ホルモンの応答(海外データ)
パラメータ
アドレナリン
ノルアドレナリン
グルカゴン
コルチゾール
ACTH
GH
PP
膵臓ポリペプチド
(n=16)
インスリン アスパルトと
速効型ヒトインスリンの対比※
95%信頼区間
インスリン アスパルト
速効型ヒトインスリン
AUC(nmol/L)
Cmax(nmol/L)
1.07±0.46
2.84±1.52
1.20±0.65
0.964
3.69±2.13
0.797
0.514; 1.234
tmax(分)
AUC(nmol/L)
53.8±15.7
1.95±0.56
53.4±10.9
0.000
-10.000; 8.500
1.94±0.65
1.015
0.904; 1.141
Cmax(nmol/L)
tmax(分)
2.44±0.63
64.1±20.3
2.54±0.99
0.990
0.839; 1.168
48.8±33.0
15.000
AUC(nmol/L)
Cmax(nmol/L)
65.31±32.27
84.06±41.84
61.98±29.91
1.046
0.981; 1.115
82.81±45.39
1.027
0.937; 1.125
tmax(分)
AUC(nmol/L)
53.9±28.0
450.16±122.48
55.3±23.2
-2.500
-20.000; 15.000
490.96±144.33
0.919
0.840; 1.006
Cmax(nmol/L)
tmax(分)
640.88±177.97
62.6±34.2
684.31±166.18
0.929
0.825; 1.045
71.9±31.0
-9.000
-31.500; 7.500
AUC(nmol/L)
Cmax(nmol/L)
9.43±7.81
23.94±21.57
9.33±6.90
0.968
0.583; 1.609
22.38±18.94
tmax(分)
AUC(nmol/L)
47.3±30.5
23.60±10.61
Cmax(nmol/L)
tmax(分)
AUC(nmol/L)
Cmax(nmol/L)
tmax(分)
Mean±SD
0.668; 1.392
-5.000; 37.000
1.011
0.660; 1.548
49.2±25.0
-4.000
-20.000; 16.000
27.35±15.93
0.906
0.732; 1.122
53.52±23.33
71.6±29.8
59.41±31.83
0.941
0.733; 1.207
73.4±30.3
0.000
-17.500; 12.000
309.73±173.36
715.63±384.51
354.02±338.97
0.937
0.682; 1.289
774.06±789.37
1.020
0.718; 1.449
62.2±20.3
69.4±14.7
-6.500
-19.500; 5.000
すべての測定結果はp>0.05( AUCとCmaxはANOVA、 tmaxはWilcoxon signed rank test)
※AUCとCmaxは比、tmaxは差
対
方
象:1型糖尿病患者16例
法:無作為化二重盲検二期クロスオーバー試験。インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリン(100U/mL)を2mU/kg/分で静注して
急性低血糖を惹起させ、自律神経活性化の血糖値閾値、インスリン拮抗ホルモンの応答などを観察した。
安全性:有害事象はインスリン アスパルトで5件、速効型ヒトインスリンで6件認められた。いずれも軽度で被験薬との因果関係は認められなかった。
Frier BM et al.:Diabetes Metab Res Rev 16(4):262-268, 2000
インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリンを
投与したときの自律神経系の反応(海外データ)
パラメータ
インスリン アスパルトと
速効型ヒトインスリンの
対比※
95%信頼区間
インスリン アスパルト
速効型ヒトインスリン
収縮期血圧の変化(mmHg)
20.2±16.0
15.2±6.5
5.000
-4.212; 14.212
拡張期血圧の変化(mmHg)
12.0±14.0
5.9±5.6
6.063
-1.968; 14.093
心拍数の変化(拍/分)
22.1±13.5
18.7±6.1
3.375
-3.095; 9.845
631.3±657.0
981.3±950.2
-350.000
-0.081±0.018
-0.083±0.020
0.002
低血糖症状スコア
24.4±20.5
27.2±18.9
-2.000
-10.500; 5.000
Trail Test B
64.4±32.1
69.6±34.7
-5.188
-16.954; 6.579
Digit Symbol Test (s)
45.8±18.3
40.0±17.4
5.813
自律神経系の反応
発汗の変化(H2O ppmV)
-842.237; 142.237
血糖の変化
血糖の変化(mmol/L/分)
-0.0079; 0.0111
認識力テストおよび低血糖症状スコア
(n=16) Mean±SD
すべての測定結果はp>0.05(低血糖症状スコアはWilcoxon signed rank test、その他はANOVA)
-1.406; 13.031
※インスリン アスパルト –速効型 ヒトインスリン
対
方
象:1型糖尿病患者16例
法:無作為化二重盲検二期クロスオーバー試験。インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリン(100U/mL)を2mU/kg/分で静注して
急性低血糖を惹起させ、自律神経活性化の血糖値閾値、インスリン拮抗ホルモンの応答などを観察した。
安全性:有害事象はインスリン アスパルトで5件、速効型ヒトインスリンで6件認められた。いずれも軽度で被験薬との因果関係は認められなかった。
Frier BM et al.:Diabetes Metab Res Rev 16(4):262-268, 2000
インスリン アスパルトもしくはヒトインスリンによる
心筋再分極指標への影響(海外データ)
平均QTc
平均QTのばらつき
500
120
*
450
平均QTc(ms)
*#
平均QTのばらつき(ms)
*
400
350
0
100
*
80
60
40
0
ベースライン
正常血糖
低血糖
ベースライン
■ インスリン アスパルト
■ 速効型ヒトインスリン
Mean
正常血糖
低血糖
* p<0.05(ベースラインに対して)
# p<0.05(インスリン アスパルトに対して)
(unpaired and paired t-test)
対象:コーカシアン健康男子17例(18-40歳)
方法:無作為化クロスオーバー試験。インスリン アスパルトもしくは速効型ヒトインスリンによる高インスリン低血糖クランプにより、血糖値を30分間
5mMで維持し、その後さらに30分間2.5mMで維持した。そのときの、QTcおよびQTのばらつきを指標に心機能への影響を検討した。
Robinson RT et al.: Br J Clin Pharmacol 55(3):246-251, 2003より作図
病棟血糖管理上のメッセージ
現場で可能なリソースを用いて安全に(低血糖を起さ
ないように)有効な血糖管理をしてゆく。
とくに看護師さんの理解を得ながら。
川越市広報室撮影
2009年11月14日

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