The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies

Report
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
OCHA
東日本大震災と
国際人道支援研究会
提言概要
提言内容は、参加者個人の意見を集約した
ものであり、所属組織を代表した意見を
まとめたものではありません。
日本赤十字国際人道研究センター
東浦 洋
2014年3月7日
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
研究会構成メンバー
大橋 麻希子 JPF
河原 節子 一橋大学
粉川 直樹 日本赤十字社
齋藤 之弥 日本赤十字社
定松 栄一 Save the Children
椎名 規之 JPF
東浦 洋 日本赤十字国際人道
研究センター・日赤看護大
村上 威夫 国土交通省
村田 昌彦 DRI
柳沢 香枝 JICA
吉富 望 陸上自衛隊研究本部
渡部 正樹 OCHA
内閣府、外務省関係者がオブザーバー参加
[事務局]
勝部 司 JICA
川手 華与 日本赤十字国際人道
研究センター ・日赤看護
篠﨑 順治 日本赤十字
束田 吉子 日本赤十字国際人道
研究センター
中川 香織
日本赤十字社
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
研究会の目的
国際標準や国際慣行に照らして、東日本
大震災の救護がどうであったのか検証
次の大規模自然災害への備えを強化する
ためにどうするか
震災の経験と教訓を踏まえ、より良い国際
協力を実現していくこと
⇒国際社会への発信
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
2つの観点と目的
(1)国際支援の受け入れ、調整、実施体制、
法整備
(2)国際人道支援に係る国際標準の適用状況と
そのための課題
緊急時対応の課題の整理
今後の制度改革、国内災害対応機関間に
おける相互理解の促進・調整メカニズム強化
専門家の能力強化を含む人材育成
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
提言書の構成
4部構成
• 第1部: 南海トラフ巨大地震や首都直下地震等
の大規模災害対応における受援
• 第2部: 人道支援に係る国際的な知見の国内
災害対応への適用
• 第3部: 国内外での災害対応に従事する人材
の育成
• 第4部: 研究会で協議された内容
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提言留意点
• 「国際支援の受け入れありき」の議論になら
ないこと
• 人道支援に係る国際的な知見については、
単なる「国際基準等の押しつけ」にならない
こと
• 先進諸国の中でも国際支援の受け入れ体制
を率先して整備する意義は高いので、その
観点から、やや踏み込んだ内容も含めて
提言
日本赤十字国際人道研究センター
国際支援の受け入れ体制
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国内救護初めての経験
• 緊急災害対策本部に国際支援受入れ担当
チーム設置→被災自治体との調整
• 国連災害評価チーム(UNDAC)受入れ
• 各国救助チーム受け入れには外務省連絡
要員配置
• 防衛省・自衛隊は国内災害救護派遣で米軍
と豪軍との協力
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東日本大震災への対応で明らかになった課題
• 被害広範囲、自治体自体の被災
→国が支援ニーズを一元的に把握できない
• 国と被災自治体との調整に時間を要したこと
• 救援チーム、物資などの受入れ体制、救援
活動中に生じる物損や事故などのリスク認識
の欠如
→受援は受動的・アドホックなものとなった
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受援体制の未整備
• 具体的な基準・枠組みが事前に整理されて
いなかった
• 国際人道支援の枠組みやガイドラインへの
理解不足
• 受入れを想定した訓練や人員体制が
なかった
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国際支援受入れのためには?
「外助」としての国際支援受入れに必要なこと
被災地への適切な支援のためのニーズ把握
国際社会への能動的な情報発信
支援国・団体との調整
被災地での混乱・余分な負担を避けるための
調整
支援を適切に活用し、結果を国際社会に報告
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国際支援で使われているしくみ
• 国際人道コミュニティにおける既存の情報
共有・調整のしくみ
• JDR、日本赤十字社の国際救援、JPF・日本の
主要なNGOによる国際救援
• 赤十字とNGOの行動規範
• 国際的な救援の最低基準
(スフィア・プロジェクト)
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提言
• 海外からの支援は「自発的な」「善意の」ものとし
て位置づけているが、大規模災害時には、多数
の支援の申し出があり、その傾向は拡大する
• 自治体としては、国際支援(外助)を不可欠な
要素と位置づけ、計画に組み入れることには
リスクがある
• 支援の申し出を前提に、受け入れ基準の策定、
自治体の役割見直し、詳細計画の作成、法整備、
情報発信の強化→よりよく受入れる準備
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「国際支援の受け入れ体制づくり」8項目
1. 国際支援受け入れの基本方針の明確化
受け入れ適否の判断基準・手順について日本政府の
基本方針を明確化し、国際社会に発信 しておくこと
2. 国際支援受入れにおける国の役割の強化
政府が一元的に意思決定をし、迅速・円滑な受け入れに
責任を持つ。人員・物資の被災地への輸送、物資の一時
保管に責任を負える体制整備
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基本方針の内容案
• 国内対応策の補完
としての国際支援活用
• 国際支援の受入れ
判断は中央政府
• 資金的支援歓迎
• 物資(ポジティブ・リスト)
食糧・水・医薬品は✕
• 赤十字の受け入れは
日本赤十字社
• 捜索・救助チーム(都市
部):INSARAGヘビー
チーム(約40ヵ国)
• 外国軍の受入れ:最後
の手段
• 医療チーム:受け皿の
確保
• NGO派遣はJPFが調整
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3. 国際支援受入れのための標準手順書(SOP)の
整備
各府省庁の担当官用の標準手順書(SOP)を国際的
ガイドラインを踏まえて作成し、共同訓練を行う
4.国際支援受入れを前提とした法律面の整備
国際支援活動による副次的災害や支援者の2次災害、
事故等に対応するため、損害賠償責任や補償に関する
法整備や環境整備を行う。平時と異なる法の適用を
可能とするため、予め法律や政省令に例外規定を設け
ること。国際的に統一された法整備を目指す災害対応
法(IDRL)のガイドラインの活用
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国際災害対応法(IDRL)
• タンペレ条約(災害軽減・救 • 国際的な災害救援および初
期復興支援に関する
援活動への情報通信資源
の供与に関する条約)
国内における円滑化および
規制のためのガイドライン
署名国60 締約国47
• 国際的な災害救援及び
• 現実的で実践的なガイド
初期復興支援の円滑化
ラインの作成
及び規制のためのモデル法
• 中立・独立の原則を堅持し、
A major disaster operation is
災害救護等人道活動に
the wrong time for red tape,
おける公共当局の補助
Coordination black holes,
機関としての各社の活動と
& regulatory gray areas.
国際災害救援における
→Reduce red tape and
国際赤十字の経験・実績
strengthen accountability
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5.協力協定の締結
支援受け入れの可能性が高い諸外国との間には、
法的枠組みを整備し、支援活動に伴う事故・損害に
関する法的問題が生じないよう努めること
6.国際支援受入れに関わる人材の確保と
養成
災害発生時に、政府機関以外の国際経験がある人材
が活用できるよう、登録・派遣制度を整備する。国内外
からの支援の調整をリードできる人材の育成
日本赤十字国際人道研究センター
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7. 説明責任(アカウンタビリティ)の確保
国際支援の活用状況を日本政府が責任を持って
モニタリングし、その成果を統一的な報告様式で
国際社会に対して説明
8. 国際社会へのタイムリー且つ明確な情報
発信
災害発生時に、初期段階から被害状況、日本国内の
対応、海外からの支援ニーズ等をリアルタイムで英語で
発信するため、平時より体制を整備
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国際的に有効な知見の活用
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東日本大震災救護における問題点
• 食糧配給の内容、実施法
• 避難所におけるプライバシー欠如、安全面
での懸念
• 給水・仮設トイレ等の設置条件
• 慢性疾患などへの保健医療サービス
• 性別、年齢、障がい、国籍、家族構成、就労、
母語の違いなどによる異なる支援が必要
• 全国統一最低基準・集計フォーマットの欠如
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国内派と国際派
• 国際スタンダードが普及していない(翻訳)
• 途上国向けの国際スタンダードへの根強い
抵抗感・違和感
• 国際と国内のダブルスタンダード(例えばジェ
ンダー)
• 国内対応関係者と国際支援関係者の断絶
• 相互学習や人材交流の機会がほとんどない
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提言
• 国際的な観点から現行の国の体制の見直し
• 新たな応急対応体制の制度設計を担う専門
検討会を内閣府の防災体制として発足
• 検討会構成員には、国際災害支援の実務や
国際最低基準に知見を有する関係者も参加
• 以下に述べる改善措置の協議体としての
機能をもたせる
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国際的に有効な知見の適用 2項目
国際基準を踏まえた国内統―最低基準の設置と摘用
 「統一的な災害対応の最低基準」の策定
 人道・中立・公平・独立などの人道支援原則を守る義務の
明確化 Do no harmの原則
 支援ニーズが、被災者の属性によって多様であることを認識
し、「統一的な災害対応の最低基準」に適切に反映
 被災者の権利基盤アプローチへと転換させる行政的措置
 「災害対応時のジェンダー配慮に関する指針」原則の実現の
ためのより具体的措置についての検討
 災害対応の国際基準を巡る動向や関連する議論について
の理解促進
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大規模災害における国際スタンダード適用のイメージ
国際スタンダードの
適用レベル
望ましいレベル
地域外アクターによる支援
地域アクターによる対処
最低限のレベル
人命救助段階
災害発生
応急復旧段階
本格復旧段階
時間の経過
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復興段階
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NGO/NPO
• 支援活動全体を俯瞰的に把握し、調整し、情報
共有する機能がないこと
• Humanitarian Coordinatorがいない
• NGO/NPO間でも相互の連携・調整を大規模に
行う体制がない
• 行動規範、スフィア・プロジェクトなどの不使用
• 海外のNGOの受入れ体制(JPF/JANIC)
• 企業による支援(経団連報告参照)
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行政・指定公共機関以外のアクター
 NGO/NPOの支援活動が連携・調整の下でより効果的に
展開されるための調整メカニズムの構築
 調整の枠組み設計、事務局立ち上げの支援、調整に必要
な人材育成、防災計画にNGO/NPOの役割を明確化
 NGO/NPOは、被災者の多様なニーズへの対応と権利基盤
アプローチでの自らの主導的役割を認識し、政策への関与
を強化
 会議や訓練等に参加し、円滑かつ効率的な人道支援活動
の展開を図る
 NGO/NPOの支援活動行動規範の設定
 NGO/市民社会の役割をより制度的に認め、地域防災計画
に含め、「日本としての統一的な災害対応の最低基準」
の普及・適用を促進
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提言内容実施による期待される
具体的な成果・状況
• 国際基準を踏まえた災害対応における国内統一最低
基準が確立・適用されれば、将来の広域大規模災害
において、被災者に対する緊急人道支援の効果、
効率、迅速性、機動性が大幅に改善
• より多くのいのちが救われ、また最も弱い立場に置か
れた人々の尊厳を守ることに繋がる
• 行政、指定公共機関のみならず、NGO等多くの関係
者による取り組みと相互の連携が求められる
• 統一最低基準の設定がこれらにより大きな拘束力を
与えると同時に、説明責任をも強化する
日本赤十字国際人道研究センター
人材の確保と育成
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
明らかになった課題
• 災害対応・被災者支援の専門家の所在が
一元的に管理されていない
• 専門家の経験と知識が一様ではない
• 専門家が育ちにくい人事制度
• 国内の専門家と国際の専門家の二分化
• 必要な能力と習得すべき内容の共通理解
がない
• 国内の経験を世界に発信する戦略がない
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提言
• 災害対応・被災者支援に精通した実務者を
育成すること
→迅速な対応と支援の質を確保
→受援を含め、より調整の取れた体系的な
対応を担保
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「人材の育成と確保」7項目
1. 人材育成を必要とする分野の特定
情報収集・ニーズ把握、他組織・団体との調整・協働、
ロジスティクス、規範等を踏まえた支援、国際支援の受け
入れ、国際社会への情報発信等、人材育成に必要とされ
る優先分野特定
2. 人材育成の対象職責の特定
災害対応に必要な各機能を総合的にマネジメントする
人材と個別の機能に精通した専門分野の人材の2種類
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3. プログラムの実施体制
 人材育成機能を一元化する
 例えば内閣府に設置し、防衛省・自衛隊、各教育機関、
各自治体、支援団体、日本赤十字社と連携して人材の
育成及び維持管理
 カリキュラムを全国統一し、習熟度を平準化させる
とともに国内における災害対応の手法を統一
4. 基本的なカリキュラムの内容、訓練の実施
 教育内容の大枠として、知識教育(講義)、技能教育
(講義及び実習)、資質教育(講義及び訓練)の3分類
を設定
日本赤十字国際人道研究センター
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5. 人材育成に必要な機能
 人材育成を中長期的に実施するためにカリキュラムを
構築し、実施
 研究・評価を行い、予算・施設・教材等の管理をする
6. 訓練した人材の登録と動員
 国として一元的に災害対応のプロフェッショナルを育成、
登録する仕組みを作る
 登録・活用方法として、現役人材、現役予備人材、予備
人材の3分類に分け、政府・各自治体の人事においては
キャリアラダーを作成し、登録人材の適切な活用及び人材
の戦略的配置に努める
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
7.国内災害対応の経験による国際貢献の
促進
 国内災害対応に携わる人材と国際的に活動する
人材の交流を促進し、互いの経験等から学ぶ仕組
みを構築
 国内災害に従事した人材を海外の救援活動に派遣
することで国際貢献し、海外の知見を国内へ
日本赤十字国際人道研究センター
The Japanese Red Cross Institute for Humanitarian Studies
ご静聴ありがとうございました
日本赤十字国際人道研究センター

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