PPTX - 名古屋大学

Report
X線天文学と
宇宙の高エネルギープラズマ
名古屋大学KMI
現象解析研究センター
松本浩典
新潟大学集中講義
1
集中講義の内容
•
•
•
•
X線、X線放射過程
超新星残骸プラズマ
銀河・銀河団プラズマ
天の川銀河中心プラズマ
新潟大学集中講義
2
天の川銀河想像図
©Wikipedia
8.5kpc
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3
銀河中心(GC)までの星間吸収
赤外
電波
GC見えない
X線
ガンマ線
NH=1022~1023 cm-2
星間吸収
X線観測での星間吸収は、
ほとんどが光電効果
5 −3
∝ 
星間物質に含まれている重元素が効く。
(水素、ヘリウムはほとんど吸収しない)
新潟大学集中講義
5
星間吸収
実際に吸収するのは重元素。
しかし、X線天文では、太陽組成を仮定し、視
線方向に単位面積(1cm^2)の筒を考え、その
中に含まれる水素量で表現。
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6
C
 = 1020 −2
O 星間吸収
Fe Mg
S
Ne Si
Power-law
Photon index 2
Fe
1021 −2
1022 −2
1023 −2
1024 −2
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1025 −2
7
星間吸収の例
• NH=1e20~1e21 cm^-2
–銀緯の高い天体
• NH=1e21~1e23 cm^-2
–天の川銀河中心天体
• NH>1e24 cm^-2
–Compton thick AGN ( ∼
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1
ℎ
24
∼ 10 
−2
8
)
銀河中心・銀河面X線放射
銀河面全体に、diffuseなX線が存在。
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9
てんま衛星による観測
銀河面の、天体の無い所を見た。
Koyama et al. 1986
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10
至る所から6.7keV鉄輝線が出た
新潟大学集中講義
Koyama et al. 1986
11
ぎんが衛星によるサーベイ
1.1-18.5keV強度分布
Yamauchi & Koyama 1993
左下縦軸拡大
銀径
6.7keV鉄ライン分布
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12
Chandraによる銀河中心X線イメージ
Wang et al. 2002, Nature, 415, 148
20arcmin ~ 60pc
•たくさんの点源(X線連星系)
•Diffuse放射
赤: 1 – 3 keV
緑: 3 – 5 keV
青: 5 – 8 keV
点源想像図: X線連星系
恒星
X-ray
コンパクトオブジェクト
白色矮星、中性子星、BH
質量降着

2
 ∼   =

 2
効率  =

 2
白色矮星 η~0.0004
中性子星 η~0.2
6
ブラックホール η~0.2 ( = 3ℎ = 2 )

(原子核反応: η~1MeV/1GeV=0.001)
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15
(ものすごく)大雑把な分類
相手の星
白色矮星
磁場強
中性子星
磁場中
磁場弱
大質量
(OB)
小質量
(KM)
磁場強
HMXB
(X線パル
サー)
(HerX-1)
Polar
(AM
Her)
Intermed Dwarf
iate Polar Nova
(DQ Her) (SS Cyg)
Cataclysmic Variable
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BH
磁場弱
HMXB
(Cyg X-1)
LMXB
LMXB
(Sco X-1) (GRS191
5+105)
16
磁場
磁場弱
磁場強
コンパクト星の磁場が降着流に影響
新潟大学集中講義
17
降着円盤の基本
光学的に厚く、幾何学的に薄い=標準円盤
定性的導出
質量M

  ∝
3
半径r
詳しくは、  =
3 
8 3
1−


1
4
1
4
Shakura & Sunyaev 1973
最高温度は最内縁
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18
3倍のシュワルツシルト半径の実在
LMC X-3ぎんが衛星ス
ペクトル。
降着円盤モデルフィッ
トTmaxを求める。
Tmax の場所は3Rsと仮
定して、MBHを求める。
Ebisawa et al.1993
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19
意外ですが

  ∝ 3

BHの場合、 ∝ 
 ∝
1
4
1
−
 2
重たいBHほど、温度は低い
X線連星系 (M~10Msun): X線
活動銀河核(M~10^6Msun以上):紫外線以下
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20
銀河中心X線diffuse放射(GCDX)
すざく衛星
Koyama et al. 2007, PASJ, 59, 245
Feライン
特に重要な特性X線
例:天の川銀河中心X線
•6.4keV線
中性Fe Kα線
•6.7keV線
He状イオンFe Kα線
•6.9keV線
H状イオンFe Kα線
Koyama et al. 2007, PASJ, 59, 245
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22
他の特性X線
Ni I Kα
Fe I Kβ
Ni XXVII Kα
& Fe XXV Kβ
Fe XXVI Kβ
& Fe XXV Kγ
Fe XXVI Kγ
鉄輝線の強度分布
すざく衛星(3度 X 0.5度)
Fe I (neutral)
Fe XXV (He-like)
Fe XXVI (H-like)
鉄の分布
6.4keV
6.7keV
6.9keV
• 高階電離イオン
–6.7 keV、6.9 keV: 似ている。
• 中性原子
–6.4 keV
–高階電離鉄より局所的
高階電離イオンと、中性鉄の起源は異なる。
鉄輝線の意味
Diffuse X線放射は、高温プラズマからの
熱的放射である!
連続成分  温度は 5~10keV
銀河中心領域全体に高温プラズマがある?
新潟大学集中講義
26
ガスの閉じ込め
天の川銀河の重力ポテンシャル
GMgalmp /R ~ 400eV
Mgal~2e11Msun, Rgal~20kpc
X線高温ガスの温度 kT~5—10keV
ガスは閉じ込められない。逃げるはず。
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27
高温ガスの物理量
• 温度 kT=5~10keV
• 全光度 Lx~2e38 erg/s
– Emission Integral n2V~1e64 cm-3
• 体積 V~1e66 cm3
– 銀径=-60deg~60deg, 銀緯=-0.5deg~0.5deg
• ガス密度 np~ne~0.1 cm-3
• 全エネルギー~1e56 erg
– (3kT/2)(ne+np)V
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28
エネルギー供給
kT=10keVのガスの音速 cs~10^8 cm/s
ガスの厚み h~ 200pc ~6e20 cm
タイムスケール t=h/cs ~ 1e13 s ~ 1e6 yr
E/t ~ 1e56 erg/1e6 yr = 1e50 erg/yr
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29
高温ガスの起源
超新星爆発か?
問題点
E/t~10^50 erg/y 10年に1発
標準的な割合: 100年に1発
kT~10keVもの高温ガスを持つSNRは
ほとんどない。
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30
銀河中心diffuse X線
以下の領域に分けて調査
リッジ領域
(l~10deg, b~0deg)
バルジ領域
(l~0deg, b~1deg)
中心領域
(l~0deg, b~0deg)
銀河中心領域
• 高温ガス説
• 荷電交換説 (Tanaka Y. 2002, A&A 382,
1052)
–宇宙線と星間物質の相互作用
• 星間物質がたくさんある
–中性鉄の一部も説明できる
鉄輝線の微細構造に注目して見分ける!
Koyama et al. 2007, PASJ, 59, 245
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32
荷電交換反応
星間物質から電子を奪い取る
宇宙線
Fe+25
Fe+26
星間物質
(おもにH)
Fe+24
He状Fe輝線
(6.7 keV)
水素状Fe輝線
(6.9 keV)
He状イオンの電子配置
• 1s1s … 基底状態
– 1S0
• 1s2s
– 1S0, 3S1
• 1s2p
– 1P1
– 3P0, 3P1, 3P2
2S+1
LJ
S: スピン
L: 軌道角運動量
J: 全角運動量
He状イオン 微細構造
Energy
電子の遷移(電気双極子放射)
ジャンプする電子は1個
• スピン: 変化しない
• 軌道角運動量
–ジャンプする電子Δl=+1, -1
–原子全体ΔL=+1, 0, -1
• 全角運動量: ΔJ=+1, 0, -1 (J=00は不可)
新潟大学集中講義
36
He状イオン 微細構造
Energy
• W: 共鳴線
• Z: 禁制線
•X, Y: intercombination 線
He状イオン 微細構造
6.7 keV 輝線微細構造
W
CCD分解能
z
yx
6.7keV輝線の中心エネルギーは、
微細構造による。
Energy
荷電交換反応の場合
E=0
13.6eV
n~25
n=1
• 電子は高準位に入る
–エネルギー保存則
• 下の準位にだんだんと
落ちる
n=2
6.7keV line • n=2の準位は、統計的
n=1
に埋まっていく
Fe XXV
H
荷電交換の場合
統計的に埋まる
Z: 6637eV
Y: 6668eV
X:6682eV
W: 6701eV
Suzaku CCD分解能
中心~6666eV
E
X, Y, Z輝線強度~W輝線強度
圧倒的多数
高温ガスの場合
• 基底状態の電子
が励起
–電気双極子遷移
–スピン反転無し
w
z
y x
• 主に1P1へ励起
• W線が強い
CCD分解能
中心値~6685eV
すざく衛星観測結果
6680 +/- 1 eV
1. 荷電交換
Hi res
CCD
z
w
6666eV
2. 高温ガス
z
高温ガスを支持
6685eV
w
Hi res
CCD
高温ガスの温度測定
He-like Fe K α(6.7keV)
H-like Fe Kα (6.9keV)
He-like Fe Kβ(7.9keV)
I(6.9keV)/I(6.7keV): イオン化温度
I(7.9keV)/I(6.7keV): 電子温度
温度分布
イオン化温度
kT = 5~7 keV
イオン化温度~電子温度~5—7keV
L=-0.4deg~0.2degでほぼ一定
本当に全体に広がる高温ガスか?
エネルギー収支や起源など、説明難しい。
観測量:熱制動放射 L ∝ n2V
もしも体積が小さく密度が濃ければ、エネル
ギー収支の問題は解決。
点源の重ね合わせでは?
(まさに「天の川」)
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45
点源の重ね合わせ説
• 淡く、たくさん存在し、高温ガスをまとう
• 有力候補: 激変星(Cataclysmic Variable)
–空間密度 3e-5 pc-3
恒星 降着流
降着流
kT=1—25keV
磁場の強い白色矮星
白色矮星表面
X-ray spectrum of CV
典型的なCV spectrum
EW
CV
GC hot gas
6.4keV
~150eV
~300eV
6.7keV
~200eV
~400eV
6.9keV
~100eV
~150eV
Ezuka & Ishida 1999
銀河中心Fe輝線をCVだけで説明するのは
困難。
銀河中心高温ガスの起源
• 超新星爆発の重ね合わせ?
–高い爆発レートを要求
–SNR で kT~6keVのものはほとんど
ない。
• 過去の銀河中心BH(Sgr A*)の活動性
によるもの?
• その他
あまり良く分かっていない
バルジ領域 X線
リッジ領域
(l~10deg, b~0deg)
バルジ領域
(l~0deg, b~1deg)
中心領域
(l~0deg, b~0deg)
Chandra Ultradeep Observation (1Msec)
Revnivtsev et al. 2009, Nature, 458, 1142
Chandra at (l, b)=(0.113°, -1.424°)
473個の点源
バルジ成分の鉄ラインは、点源に分解された
Chandra
スペクトル
黒: 全体
青: 点源
赤: 黒-青
Revnivtsev et al. 2009, Nature, 458, 1142
バルジ成分は銀河中心とは異なる。
リッジ領域 X線
リッジ領域
(l~10deg, b~0deg)
バルジ領域
(l~0deg, b~1deg)
中心領域
(l~0deg, b~0deg)
外側の領域
|l|>1deg, b~0degにも鉄輝線
Galactic Ridge X-ray Emission (GRXE)
Yamauchi et al. 2009, PASJ, 61,295
I(6.9keV)/I(6.7keV)
GRXE 6.9keV/6.7keV 強度比
GRXEの温度は、銀河中心領域より低そう。
GRXEと銀河中心は起源が異なる。
6.7keV鉄輝線の強度分布
Uchiyama et al. 2011
銀径方向
銀緯方向
星の分布(nuclear stellar cluster + nuclear stellar disk
+ Galactic disk + Galactic bulge)との比較
銀河中心部分は説明できない
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55
リッジ&バルジ
点源の重ね合わせで説明できるかも。
しかし、点源の正体不明。
EW_6.7keV ~ 400eVの点源を知らない。
比較: CV の EW_6.7keV ~ 200eV
新潟大学集中講義
56
まとめ
• 銀河中心部分
–点源で説明するのは困難。
–高温ガスか?
• 起源不明。SNRだとしたら、銀河中心部分の
みで1発/100年以上のレート。
• リッジ&バルジ部分
–点源の重ね合わせで説明可能
–点源の正体不明
新潟大学集中講義
57
6.4keV輝線について
中性鉄Kα線
中性鉄(=冷たい鉄)がX線を出している!
中性鉄の分布
Suzaku
6.4keV image
CS
Tsuboi et al. 1999
銀河中心領域に広く分布。分子雲分布と似る。
6.4 keV 輝線: 非熱的放射
光電離
電子衝突
E>7.1keVのX線必要 E=10—100keVの電子
(内殻電離の断面積大)
Sgr B2 region
Suzaku 6.4keV line image
Sgr B2領域
Sgr B2の10年
Suzaku 6.4keV image
Inui et al. 2009, PASJ, 61, S241
6.4keV放射はだんだん弱くなる。
すざく衛星のみで
6.4keV強度
8—10keV
連続X線
Nobukawa et al. 2011
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63
時間変動
• Decay time scale ~ 10年
• Sgr B2サイズ~10光年
• 光速に近い「何か」が励起
• 電子だと内殻電離確率低い
• 光電離なら自然に説明可能
X線反射星雲 (X-ray Reflection Nebula)
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64
X-ray spectrum of Sgr B2
Suzaku X-ray spectrum
Fe I Kα
Fe I Kβ
• 強い6.4keV輝線
• EW~1.6keV
• 7.1keVにエッジ
• 光電吸収端
• NH~1e24cm-2
Power-law continuum
大等価幅と、深い吸収端
光電離
Sgr B2
EW とエッジ
X-ray
X-ray
(E>7.1keV)
Sgr B2
電子衝突
電子
(E=10—
100keV)
内殻電離断面積
連続X線
光電離
電子衝突
大 (σ~10-20 cm2) 小 (σ~10-22 cm2)
弱(トムソン散乱) 強(制動放射)
EW of 6.4keV 線
大 (~1200 eV)
吸収端
深 (NH~1024cm-2) 浅 (NH~1021—1022cm-2)
小 (~300eV)
光電離を支持
• 6.4keV line EW =
1600 eV
• NH = 1024 cm-2
内殻電離断面積
連続X線
光電離
電子衝突
大 (σ~10-20 cm2) 小 (σ~10-22 cm2)
弱(トムソン散乱) 強(制動放射)
EW of 6.4keV 線
大 (~1200 eV)
吸収端
深 (NH~1024cm-2) 浅 (NH~1021—1022cm-2)
小 (~300eV)
X線照射源はどこにある?
照射源
Sgr B2
d
• 必要光度L(2-10keV)=1e39(d/100pc)2 erg/s
–Sgr B2周囲に候補無し
–最有力候補:銀河中心BH (Sgr A*)
• d=109pc  Lx=1e39 erg/sが必要
• 現在の光度 Lx(2-10keV)=1e33 erg/s
SgrA*は300年前100万倍明るかった
他の6.4keV放射場所
Bright 6.4 keV clump
Suzaku X-ray spectrum
低温ガス
(kT~2keV)
Other neutral lines are weak.
S
(Ratio to Fe is < Si
0.01—0.1)
Ar
=> The brightest neutral clump
in the GC
Neutral Fe
Fe
Ca
He, H-like lines
ガス起源
高温ガス
kT~6keV
スペクトル解析
2温度ガス
kT~1keV+kT~7keV
NH~7.1e22 cm-2
Power-law
+6.4keV line
Γ~1.85
NH~1.7e23 cm-2
中性S, Ar, Ca, Cr, Mnの
Kαライン
鉄以外の中性ラインの発見
Without
neutral lines
With neutral
lines
Nobukawa et al.
2010, PASJ, 62,
423
中性ラインのEW
黒:光電離
赤:電子衝突
実線:太陽組成
黒点線 1.6solar
赤点線 4.0solar
光電離を支持
低温プラズマ(kT~1keV)と6.4 keV line
E=2-3keV image = low kT plasma
bright
dim
6.4keV image = neutral iron
bright
bright
分子雲(MC)で吸収
E=2-3keV image = low kT plasma
MC
kT=1keV plasma
dim
bright
MC
bright
6.4keV image = neutral iron
bright
Observer
吸収を測定すれば、分子雲の距離がわかる
X-ray tomography of MC
Ryu et al. 2009, PASJ, 61, 751
照射源がSgr A*だったら…
Sgr A* light curve
Current Lx~1033 erg/s
全ての6.4keV輝線が光電離か?
• 多くの6.4 keV clumpは、光電離だろう。
–照射源は Sgr A*
• 6.4keV輝線は、リッジにもみられる。
–少なくとも l>10deg (Sgr A*から2kpc以上).
–光電離ではないかも。起源不明。
l=28deg
中性鉄輝線のまとめ
•
•
•
•
•
中性鉄輝線: 6.4 keV line
分子雲分布と似ている。
中性のSi, S, Ar, Ca, Mn, Crの輝線も存在
中性ラインのEWは、光電離を支持
Sgr B2の6.4keV強度変化は、光電離を支持
– 照射源がSgr A*だとすると、Sgr A*は300年前
100万倍明るかった。
• 吸収を測って、X線トモグラフィー

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