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有限幾何学
第6回
有限幾何学 第6回
1. ハミルトングラフ
1. 閉包
2. パズルの紹介
1. 閉包
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
閉包の説明のため,前回の復習(上記の定理の証明)を行う
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:上の定理が正しくないと仮定し,矛盾を導く.
上の定理が正しくないと仮定すると,
「定理の仮定を満たすが,ハミルトングラフではないグラフ」
が存在する.
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:上の定理が正しくないと仮定すると,
「定理の仮定を満たすが,
ハミルトングラフではないグラフ」・・・① が存在する.
①のグラフで,
辺を追加してしまうと①のグラフではなくなるものをGとする.
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:「定理の仮定を満たすが,
ハミルトングラフではないグラフ」・・・①
①のグラフ
①のグラフ
辺を追加していく
注:少なくとも一つは
①のグラフが存在する
G
1辺追加すると
注:辺を追加しても
定理の仮定を満たす
①ではない
グラフ
注:辺を追加し続けると
ハミルトングラフになる
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:Gの非隣接な2頂点u,vに
辺uvを加えたグラフはハミルトングラフ.
u
v
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:Gの非隣接な2頂点u,vに
辺uvを加えたグラフはハミルトングラフ.
Gにuとvを結ぶハミルトン道Pが存在する.
u
v
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:Gにuとvを結ぶハミルトン道Pが存在する.
P
u
v
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:Gはハミルトングラフではないので
以下のような状況は起こり得ない.
v
u
NG(u) と NG(v) が P上隣同士で交差している状況
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:Gはハミルトングラフではないので
以下のような状況は起こり得ない.
u
∵ Gがこのようなハミルトンサイクルを持ってしまうので
v
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:NG(v)に属する各頂点に対して,
V(G)-NG(u)に属する異なる頂点を対応させることができる.
u
x
y
f(x)
z
f(y)
v
f(z)
x∈NG(v) に対し,x の右隣の頂点 f(x) ∈V(G)-NG(u) を対応させる
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:∴ NG(v)からV(G)-NG(u)への単射fが存在する .
u
x
v
f(x)
x∈NG(v) に対し,x の右隣の頂点 f(x) ∈V(G)-NG(u) を対応させる
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:∴ また,NG(u) ⊆V(P)-{ u }-f(NG(v)) が成立する.
u
x
y
f(x)
z
f(y)
v
f(z)
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
証明:NG(u) ⊆V(P)-{ u }-f(NG(v)) と u ∉ f(NG(v)) と fが単射より,
dG(u) =|NG(u)| ≦ |V(P)|-1-|f(NG(v))|=n-1-|NG(v)|=n-1-dG(v).
∴ dG(u)+dG(v) ≦ n-1 となり矛盾
前回の復習はここまで
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
Oreの定理の証明では
固定されたuとvの次数の和しか用いなかったことに注意すると
1.1 閉包
次数に関する条件(Ore)
G:位数n≧3以上の単純グラフに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ n for ∀u≠∀v ∈ V(G) with uv ∉ E(G)
Gはハミルトングラフ
次の2つが成立すると,Oreの定理の証明をなぞることで
Gがハミルトングラフであることを示せることが分かる.
・ある非隣接な2頂点uとvに対し,G+uvがハミルトン閉路を持つ
・ dG(u)+dG(v) ≧ n
1.1 閉包
閉包に関する定理(Bondy , Chvatal)
G:位数n≧3以上の単純グラフ,
ある非隣接なGの2頂点uとvに対し,dG(u)+dG(v) ≧ nであるとする.
このとき,
G+uvはハミルトングラフ
Gはハミルトングラフ
次の2つが成立すると,Oreの定理の証明をなぞることで
Gがハミルトングラフであることを示せることが分かる.
・ある非隣接な2頂点uとvに対し,G+uvがハミルトン閉路を持つ
・ dG(u)+dG(v) ≧ n
よって上記の定理が成立することが分かる
1.1 閉包
閉包(Bondy , Chvatal)
閉包操作:グラフGの非隣接な2頂点uとvに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ nならば,uとvを辺でつなぐ操作
閉包
: 閉包操作ができなくなるまで
閉包操作を繰り返し行うことで得られるグラフ
C(G)でグラフGの閉包を表す
1.1 閉包
閉包(Bondy , Chvatal)
補足:
様々な閉包操作が知られているが,
ここではBondy,Chvatalによる閉包操作を単に閉包操作と呼び,
Bondy,Chvatalによる閉包操作によって得られる閉包を
単に閉包と呼ぶこととする.
1.1 閉包
閉包(Bondy , Chvatal)
閉包操作:グラフGの非隣接な2頂点uとvに対し,
dG(u)+dG(v) ≧ nならば,uとvを辺でつなぐ操作
u
u
⇒
v
v
1.1 閉包
閉包(Bondy , Chvatal)
閉包
: 閉包操作ができなくなるまで
閉包操作を繰り返し行うことで得られるグラフ
⇒
G
⇒
⇒
⇒
C(G)
1.1 閉包
閉包に関する定理(Bondy , Chvatal)
G:位数n≧3以上の単純グラフ,
ある非隣接なGの2頂点uとvに対し,dG(u)+dG(v) ≧ nであるとする.
このとき,
G+uvはハミルトングラフ
Gはハミルトングラフ
Bondy, Chvatal の定理より,
ハミルトングラフであるかどうかは
閉包操作を行う前と後で変わらない.
1.1 閉包
閉包に関する定理(Bondy , Chvatal)の系1
Gはハミルトングラフ
C(G)はハミルトングラフ
閉包に関する定理(Bondy , Chvatal)の系2
位数3以上の単純グラフGに対し,
C(G)が完全グラフ
Gはハミルトングラフ
Bondy, Chvatal の定理より,
ハミルトングラフであるかどうかは
閉包操作を行う前と後で変わらない.
よって上記の系1が成立する.
上記の系2は系1より導くことができる.
1.1 閉包
閉包の一意性(Bondy , Chvatal)
閉包操作の順序に関わらず,閉包は一意に定まる
証明:
G1,G2:Gの閉包
Gにei (1 ≦ i ≦ l) をこの順序で加えることによりG1が,
Gにfi (1 ≦ i ≦ m)をこの順序で加えることによりG2が得られたとする.
次の2つを示せばよい.
① 任意の1 ≦ i ≦ mに対して,fi ∈E(G1)
② 任意の1 ≦ i ≦ l に対して,ei ∈E(G2)
1.1 閉包
閉包の一意性(Bondy , Chvatal)
閉包操作の順序に関わらず,閉包は一意に定まる
証明:
G1,G2:Gの閉包
Gにei (1 ≦ i ≦ l) をこの順序で加えることによりG1が,
Gにfi (1 ≦ i ≦ m)をこの順序で加えることによりG2が得られたとする.
G1とG2の対称性より,次を示せばよい.
① 任意の1 ≦ i ≦ mに対して,fi ∈E(G1)
1.1 閉包
閉包の一意性(Bondy , Chvatal)
閉包操作の順序に関わらず,閉包は一意に定まる
証明:
G1とG2の対称性より,次を示せばよい.
① 任意の1 ≦ i ≦ mに対して,fi ∈E(G1)
①が成り立たないと仮定する.このとき,
fi ∈E(G1) (1 ≦ i ≦ k),fk+1 ∉E(G1) となるkが存在する.
(ただし, f1 ∉E(G1) となる場合もある)
1.1 閉包
閉包の一意性(Bondy , Chvatal)
閉包操作の順序に関わらず,閉包は一意に定まる
証明:
fi ∈E(G1) (1 ≦ i ≦ k),fk+1 ∉E(G1) となるkが存在する.
fk+1:=uvとおく.
G3:=G+f1+‥+fk とすると,
(i) G3はG1の部分グラフ , (ii) dG3(u)+dG3(v) ≧ n
∴ dG1(u)+dG1(v) ≧ dG3(u)+dG3(v) ≧ n
∴ dG1(u)+dG1(v) ≧ n かつ uv=fk+1 ∉E(G1) が成立する.
これはG1が閉包であることに矛盾
2. パズルの紹介
2. パズルの紹介
Three Glass Puzzle
3つのジョッキA,B,Cがあり,それぞれ8,5,3クオートの容量
がある.ジョッキAがワインで満たされている.このとき,ワインを
これらのジョッキを用いて2つのジョッキに丁度半分に分けること
ができるか.
2. パズルの紹介
Three Glass Puzzle
A,B,C内のワインの分布は
BとC内のワインの量(b,c)で表すことができる.
V(G):={(x,y) ∈ Z×Z: 0≦x≦5, 0≦y≦3}とし,1回の移し替えで
移ることができる頂点どうしを,向きを付けた辺でつないでいく.
(2,3)
(4,3) (5,3)
(0,3)
(5,2) 辺をいくつか加えたグラフ
(全てではない)
(0,2)
(0,0)
(2,0) (3,0) (4,0) (5,0)
2. パズルの紹介
Three Glass Puzzle
このように構成されたグラフにおいて
矢印の向きに沿って辺をたどることにより,
(0,0)からスタートし,
(4,0)に到達することができるかどうかを考えればよい
(2,3)
(4,3) (5,3)
(0,3)
(5,2) 辺をいくつか加えたグラフ
(全てではない)
(0,2)
(0,0)
(2,0) (3,0) (4,0) (5,0)
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
二人の登山者が同じ高度の異なる2地点からスタートする.
二人の間には幾つかの山がある.ただし,二人の間には,
スタート地点よりも高度が低い所はないとする.
このとき,互いに同じ高度を保ったまま歩いて
出会うことが可能であることを示せ.
http://en.wikipedia.org/wiki/Mountain_climbing_problem
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
0
7
4
6
5
9 11
8
12
13
14
上図のように番号を割り当てる
(最後に割り当てられた番号をkとする)
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
7
4
6
5
9 11
8
12
13
14
0
同じ高さにある番号の組(s,t)を頂点集合とみなす(s≦t)
例:上図では(0,0),(0,14),(1,1),(1,5),(1,13),(2,2),(2,4),(2,6),
(2,8),(2,12),(3,3),(3,7),(3,9),(3,11),等
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
7
4
6
5
9 11
8
12
13
14
0
互いに移動可能な頂点どうしを辺でつなぐ
例:上図では(2,4)と(3,3),(1,5)をつなぐ,(4,8)と(3,7),(3,9)をつなぐ,
(0,14)と(1,13)をつなぐ,(8,8)と(7,7),(9,9),(7,9)をつなぐ 等
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
7
4
6
5
9 11
8
12
13
14
0
この問題は,構成されたグラフGにおいて,
あるs (0≦s≦k)に対して,(0,k)から(s,s)までの
道が存在するかどうかという問題に置き換えることができる
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
7
4
6
5
9 11
8
12
13
14
0
(0,k)の次数は1, (0,k)以外の(s,t)の次数はs<tならば偶数なので
握手補題の系を用いて,Gの(0,k)を含む連結成分は
ある(s,s) (0≦s≦k) を含むことが分かる.
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
10
解答:
3
2
1
7
4
6
9 11
8
5
0
∴ グラフGにおいて,あるs (0≦s≦k)に対して,
(0,k)から(s,s)までの道が存在する
12
13
14
2. パズルの紹介
Mountain climbing problem
注意:二人の間には,スタート地点よりも高度が低い所はない
としたのはなぜか.
2
1
0
3
4
5
12
(0,4)に隣接している頂点は(1,3)のみなので(0,4)の次数は奇数.
よって(s,s)以外に奇点が存在するので,
先ほどの証明における議論ができなくなる
提出課題(5/23)
教科書:
P.45 問 2.15,2.16,2.17

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