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化学発癌
2班
赤谷・石橋・大島・岡島・織田・工藤・斉藤・鈴木・高橋
目次
• 大規模調査・・・カドミウム(人体影響?)
ベンゼン(人体影響あり)
アルキル化剤(抗がん剤)
• 小規模調査・・・Amesテスト
カドミウム(Cd)
<性質>
体内蓄積性が強く、半減期10年以上
<用途>
電池、自動車用品、電気製品など
<曝露様式> 経気道・・・ 産業労働 (ヒューム吸入)
経口・・・汚染地域での食物摂取(米、水、野菜・・・)
<健康影響> ① 腎機能低下(最も早期)・・・近位尿細管障害が特徴
② 肺気腫性変化
③ 骨粗鬆症、骨軟化症(両者依存→イタイイタイ病 )
④ 発ガン性・・・炎症、DNA修復阻害により、間接的DNA損傷
1993年、IRACにより 、Group1と認定。
★ 発ガン関与因子
メタロチオネイン
(MT)
システインなどに富む低分子タンパク質でCdなどにより、合成が誘導される。
重金属の毒性軽減や蓄積並びに、銅、亜鉛などの必須金属の恒常性を維持。
ガン原遺伝子
産物
細胞核内でヘテロ二量体を形成し、特異的な塩基配列に結合し、標的遺伝子
P53
ガン抑制遺伝子で障害を受けた細胞の細胞周期をG1期で止めたり、
傷ついた遺伝情報が伝わらないように、アポトーシスで除去する。
の転写を活性化する転写因子。c-myc,c-jun・・・
ガン関連遺伝子への影響 ①
ラットL6筋原細胞
マウスへの影響
0.5μM塩化Cd ( 9週間 )
コントロール
培地処理し、無胸腺ヌード
マウスに皮下注射
腫瘍を生じ、7週間で4/10
で死亡(40%)
肉腫を生じ、7週間で9/9で死亡(100%)
12.9mm
23日後の腫瘍の最大径
22.2mm (コントロールの2倍)
2週間後 → C-MYC,C-JUN 発現 上昇
8週間後 → 強いダウンレギュレーション
遺伝子影響 (ノーザンブ
ロットRNA分析)
① CdはL6細胞に悪性の形質変換を起こす。
② 1μM塩化Cdで処理すると、コントロールと比べ、抗ガン能を示す
★ 低レベルCd → 急性の悪性変化、
高レベルCd → 腫瘍形成を抑制
処理
オリゴヌクレオチドハ
イブリダイゼーション
による遺伝子影響測
定
細胞内MT濃度
Cd (5μM, 0-30 h)
亜鉛で前処理 + Cd (5μM, 0-30h)
C-
MYC
2時間後、ピークに達し
その後も 高値を維持
C-
MYC
Cd単独と比べて、活性を元の値に
復元する傾向
C-
JUN
活性レベルが3.5
倍まで上昇
C-
JUN
1時間後に微小な増加があるが
その後は活性を抑制される
上昇
コントロールと比較して、5倍以上
★ MTは Cdによる発ガンに防御的に作用する
上昇
ガン関連遺伝子への影響 ②
★ ヒト乳ガンMCF7細胞(野生型P53発現)に5~40μM(毒性レベル)のCd を曝露
① 野生型P53のコンフォメーションを中断させる
② DNA結合を阻害
③ 伝達遺伝子の転写活性化をダウンレギュレーション
(10~30)μM
Cd
20μM Cd
DNA傷害物質( アクチノミシンD,メチルメタン、スルホン酸塩、H2O2)
と反応して、P53誘導を阻害。
P53依存細胞周期は、GT( γ-電離放射線)によって、誘導される
G1 and G2 / M phase で停止させる
中レベルのCdは 野生型タンパク内のコンフォメーション変化
を誘導することにより、P53の機能を阻害する
★ Cd は 特に肺や前立腺に発ガン性を有する
実験動物における発ガン性評価 ①
< 肺ガン >
ラット
★
ラット
マウス
100μg/m3 塩化Cd (4週間)吸入曝露し、免疫
細胞学の手法で肺におけるMTレベルを探索
全肺のホモジ
ネート内
洗浄でフリー
肺細胞を除去
後の肺細胞
有意に
[MT]上昇
有意[MT]
上昇 なし
有意に[MT]上昇
(ラットより、顕著)
有意な[MT]は
全期間を通し
上昇
★
洗浄可能な
肺細胞
有意[MT]
上昇
Cd曝露4週後の肺の全MT量 (μgMT/肺)
未処理
曝露
未処理
曝露
1日
後
11.79±
4.11
22.24±
1.66
3.52±
0.83
7.25±
2.21
7日
後
13.32±
2.42
26.89±
4.19
3.31±
0.91
7.88±
1.61
28日
後
27.14±
5.01
36.64±
2.76
7.73±
2.33
15.06±
2・16
lavaged lung
発ガン性
MT誘導が
小さい
有
長期増加した
MTを維持
★
(MT per lung)
有意な[MT]
上昇 なし
lavaged lung cells
(MT per lung)
600
0
実験考察
マウス
500
ラット
400
マウス
200
無
100
所見
発ガン性の動物種差
にMT発現が関与
Percent of control
100
1
7
28
1
DAYS AFTER EXPOSURE
7
28
実験動物における発ガン性評価 ②
< ライディッヒ細胞腫瘍 >
2週間後
フィッシャー(F344/NCr)ラット・・・生後10週、 オス、 n=50
コントロール
標準循環レベルのテストステロンを投与した去勢ラット
食塩水
20μmol/kg塩化Cdを 週1で5週間
食塩水
(全体で100μmol/kg)、皮下注射
2年後
コントロール
Cd単独
発ガン
60%が発生
84%が発生
考察
Cd +テストステロン
テストステロン単独
無
腫瘍誘発は、Cdによる直接作用ではなく、
ステロイドホルモン系の障害を介している
★
Cd吸入後に肺で起こる炎症の過程で生じる活性酸素種をMTが消去する
ことにより、Cdによる肺での毒性や発ガンを抑制する との説あり。
★
前立腺腫瘍増加は、精巣機能障害を引き起こさない5μmol/kg以下の
Cd(皮下投与)でのみ、誘発された。
カドミウムの疫学調査①
•
•
•
•
L Jarup, T Bellander 他 1998
スウェーデンの電池工場の労働者869人を1951~
1992年まで追跡し、癌罹患者数と癌死亡者数を調
べた。
期待死亡(罹患)者数算出のための基準集団には
スウェーデンの全人口を用いた。
期待死亡(罹患)者数=∑ (観察集団の年齢階級
別人口)×(基準集団の年齢階級別死亡率)
発癌リスクの指標にはSMR(標準化死亡比)、
SIR(標準化罹患比)を用いた。
SMR(SIR)について
• SMR(SIR)=(観察集団の実際の死亡(罹患)者
数)/(期待死亡(罹患)者数)
• ある疾患に対する観察集団のSMR(SIR)が大き
い。
→観察集団での実際の疾患の頻度が、基準集団
から期待される頻度より多い。
→観察集団に存在する因子により、疾患のリスク
が上昇している。
結果
観測数
15
肺癌
前立腺癌 15
期待数
8.67
19.6
SIR
1.73(95%CI:0.97~2.85)
0.77(95%CI:0.43~1.27)
観測数
期待数
SMR
16
11
9.1
9
1.76(95%CI:1.01~2.87)
1.22(95%CI:0.61~2.19)
肺癌
前立腺癌
カドミウムの疫学調査②
T Sorahan, N A Esmen 他 2004
• イングランドの電池工場の男性労働者926人を
1947~2000年に渡って追跡し、癌死亡者数を調
べた。
• 期待死亡者数算出のための基準集団にはイング
ランドおよびウェールズの全人口を用いた。
• 発癌リスクの指標にはSMRを用いた。
カドミウムの疫学調査②
• 工場内のカドミウム濃度は最も小さい時期で
8(μg/m3 )であり、これはACGIH(米国産業衛生専
門家会議)の定める基準値である2(μg/m3 )を超
えている。
→労働者はカドミウムに曝露している。
結果
観測数
期待数
SMR
肺癌
45
40.7
1.11(95%CI:0.81~1.48)
前立腺癌
9
7.5
1.16(95%CI:0.53~2.21)
• 2つの疫学調査では、共に肺癌のSMRが上昇しているが
その結果は確実なものではなかった。
カドミウムの人に対しての発癌性に関しては、未だに確実
な証拠が得られていないというのが実状である。
ベンゼン(C6H6)
• 物理的性状:無色透明の液体
• 曝露源・曝露経路:喫煙、生活用品、自動車
からの排出ガス、ガソリン
の使用、大気など。主に
吸入によって曝露される。
• 排出経路:呼気と共に排出、残りは肝臓で
酸化された後尿中に排泄。
ベンゼン~その2~
• 用途
純ベンゼン:合成原料として染料、合成ゴム、
合成洗剤、有機顔料、有機ゴム薬品、
医薬品、香料、合成繊維(ナイロン)、
合成樹脂(ポリスチレン、フェノール、
ポリエステル)、食品(コハク酸、ズルチ
ン)、農薬(クロルピクリンなど)、可塑剤、
写真薬品、爆薬(ピクリン酸)、防虫剤
(パラジクロロベンゼン)、防腐剤(PCP)、
絶縁油(PCD)、熱媒
溶剤級ベンゼン:塗料、農薬、医薬品など一般溶
剤、油脂、抽出剤、石油精製など、その
他アルコール変性用
ベンゼン曝露による人体への影響
中毒症状
1.循環器系:不整脈
2.呼吸器系:気管支・喉頭の刺激、咳、嗄声、肺水腫、胸骨下の疼痛、呼吸不全
3.神経系:初期に多幸症、次いで頭痛、眩暈、運動失調、大量で錯乱、痙攣、昏睡
4.消化器系:灼熱感、胃痛、嘔気・嘔吐
5.その他:筋力低下、皮膚に発赤、水泡、皮膚炎など
慢性影響
急性影響
濃度
時間
症状
25ppm
8時間
臨床的な影響は見られない
50-150ppm
5時間
頭痛、倦怠、疲労感
500ppm
1時間
中毒症状が強まる
1,500ppm
1時間
重篤な症状
7,500ppm
30分間
意識消失
20,000ppm
5-10分間
呼吸不全を起こし死亡
低濃度
(0.2-12.4ppm)
暴露
染色体異常の出現、骨髄造血機能
低下、赤血球数、血小板数、白血
球数の減少、貧血。用量相関性が
ある。
高濃度
(50-100ppm)
暴露
骨髄毒性による再生不良性貧血、
骨髄癆性貧血、急性骨髄性白血病
再生不良性貧血
定 著明な骨髄低形成を伴う汎血
義 球減少症
骨髄癆性貧血
急性骨髄性白血病(AML)
骨髄への浸潤性病変による
貧血または汎血球減少症
多能性造血幹細胞が腫瘍化した悪
性腫瘍
疫 性差なし
学 10歳代と60~70歳代にピーク
性差なし。
主に成人、頻度は年齢と共に増加、
中央値50歳。成人急性白血病の
80%、小児白血病の15~20%。新
生児白血病中では最も多い。
病 先天性:Fanconi貧血
因 後天性:大部分は原因不明
(=特発性)
全身性放射線照射、抗腫瘍剤
(アルキル化剤、代謝拮抗剤)、
ベンゼン、クロラムフェニコー
ル、集団感染性のウイルス肝
炎後の発症も。
腫瘍(乳腺、肺、前立腺、
甲状腺などを原発巣とする
転移性癌 )やその他の病変
により骨髄が広範に置換
されて起きる。
骨髄の進行性線維症でも
起きる。
先天性:Down症候群、Fanconi貧血
後天性:環境要因(高線量放射線
照射、慢性ベンゼン接触、
化学療法)など
家系内発症もあるが稀。ほとんどは
自然に発症し、転座、逆位、欠失
などの後天的な染色体異常を伴う。
症 貧血、衰弱、蒼白、呼吸困難、
状 血小板減少症による点状
出血や斑状出血。
骨髄癆性貧血、非白血性
白血病、肉芽腫性疾患による
貧血との鑑別。再生不良性
貧血では脾腫は見られない。
貧血と血小板減少として徴候 疲労感、蒼白、脱力、動悸、
が現れる。白血球系統は
異常出血、感染
あまり侵されない。
急性骨髄性白血病(AML)と急性
リンパ性白血病(ALL)との鑑別は
重要。各種の検査を参考に
FAB分類やWHO分類を使って鑑別。
ベンゼンの発がん機序
生成したfree radicalはtubulin、topoisomeraseⅡ 、histon、DNAなどを酸化、付加物を形成
↓
DNA鎖の破壊、有糸分裂組み換え、染色体転座、染色体数異常
↓
原癌遺伝子の活性化、ヘテロ接合性の消失、腫瘍抑制遺伝子の不活性化
↓
白血病クローンの生成 → 白血病(急性骨髄性白血病)
ベンゼンとメチルベンゼンの毒性の違い
揮発性炭化水素類のうちで造血機能障害作用を示すのは
ベンゼンのみで、トルエン、キシレンなどのメチルベンゼン類
にはこの作用はない。
両者の代謝の違いによる
ベンゼン:ベンゼン環の酸化によるエポキシドを経て
フェノール体になる
メチルベンゼン類:側鎖メチル基が酸化を受け、ベンジル
アルコールから安息香酸を経て尿中に排泄される
(ex)
臨床疫学について
• 研究デザインーメタアナリシス
• 患者に焦点をあてて行われる
• 既存の複数の研究結果(論文など)を批判的吟味し
より精度の高い一つの定量的な結果を導く
精度が高い=95%信頼区間の幅が狭い
• メタアナリシスからEvidence-based medicine(EBM)
へ
根拠の構築(臨床研究)→根拠の適応(臨床判断)
治療方法の選択や疾病の予防
批判的吟味とは…
• 対象の選択ー患者の割付を無作為に行っているか?
• バイアスの有無ー出版バイアス、言語バイアス
• 研究デザインー記述疫学・分析疫学・横断研究・
介入研究・メタアナリシス
• 統計解析手法のチェック
Muzaffer Aksoy
調査期間 1967~1974年
トルコ コホート研究
医者として白血病患者が多いことに気づき調査
患者の職業はshoe maker,leather workerに集中
職場環境のベンゼン濃度:150~210,最高650ppm
一般人口での
Istanbul-4/100,000
白血病発生率
Turkey-2.25~2.8/100,000
shoe makersの
白血病発生率
13.59/100,000
注目!
• 白血病の発生率が人口10万対比になっている
1970年のトルコの人口=約3700万人
全白血病症例51のうち、43が急性骨髄性白血病
調査対象の労働者数=28,500人
(AML)であった。
• べンゼン曝露量が、正確でない
• 他の共存物質の発癌性は否定できない
Robert A. Rinsky
調査期間 1940~1965年,1981年
までのコホート研究
ゴム加工工場での労働者を対象
死亡数
標準化死亡比(SMR)
(期待数)
白血病
多発性骨髄腫
9( 2.7)
4(1)
3.37、95%CI=1.54~6.41
4.09、95%CI=1.1~10.47
*標準化死亡比=観察集団の実死亡数/観察集団の期待死亡数
CI(confidential interval) 信頼区間の意味
累積曝露量 ppm-years
less than 40
40~199
200~399
more than 400
SMR for leukemia
1.09
3.22
値が大きすぎ
11.86
ないか?!
66.37
白血病死亡数9のうち6例が、AMLであった。
累積曝露量(ppm-years)
AML cases 250~650
250~650
non-AML cases
10
SMRを使った分析は正しいのだろうか?
SMR=
観察集団の全死亡数
死亡数
 基準集団の年齢階級別


観察集団の年齢階級別
人口


 基準集団の年齢階級別人口

• 期待数が低値の場合、必然的にSMR値は大きくなる
• 死亡数の比を表すもので、曝露要因による疾患への影響度
を表すものではない
• 曝露要因の影響を表すには、相対危険度(RR)で評価する
のがよい。
相対危険度(relative risk)
関連疾患
計
なし
あり
a
c
曝露あり
a+c
b
d
なし
b+d
計
a+b
c+d
コホート研究における、曝露群の疾病リスクと非曝露群の疾病
リスクの比を求めたもの
RR=
a/(a+c)
と表される
b/(b+d)
これにより曝露要因に伴う疾病のリスクの増減が表される
RR>1 → 曝露群のリスクのほうが大きい
また、相対危険度の信頼区間は計算する必要がある。
RB Hayes
調査期間 1972~1987年
対象:工場労働者 コホート研究 12 cities in China
74828 benzen exposed workers/35850unexposed worker
濃度
<10 ppm
10~25ppm?
≧25ppm
10年以上の
ベンゼン曝露
相対危険度(RR)
全血管腫瘍 RR=2.2, 95%CI=1.1~4.2
AML, 骨髄形成異常
RR=3.2, 95%CI=1.0~10.1
AML, 骨髄形成異常
RR=7.1, 95%CI=2.1~23.7
non Hodgkin's lymphoma
RR=4.2、95%CI=1.1~15.7
S.-N.Yin
調査期間 1982~1983年 注目!
retrospective cohort in China
対象:28460 benzen-exposed workers/28257 control
*ベンゼン曝露者の
白血病
(悪性腫瘍中、死因別順位) 癌による死亡率1位
は女性では白血病、
China (総体)
7位
男性では肺がんで
男性曝露群
4位
あった。
女性曝露群
1位
死亡数 白血病 AML 対照 計
AMLのオッズ比(罹患率比)
曝露あり
30 12 28430 28460
(12/1)
なし
4
1 28253 28257 (28430/28253) =11.9
計
34 13 56683 56717 95%信頼区間=1.6~91.7
Retrospective cohort(症例対照研究)について
• 当時、集団内ですでに疾病に罹患、または死亡した者を
抽出し(症例)、併せて母集団の中から非患者(対照)を
選ぶ
• 情報は限定されている-疾患の発生率・存在率・寄与
リスクなどを求めることはできない
• 結果にバイアスの影響が入りやすい
サンプリングバイアス、測定バイアス、思い出しバイアス
これらの欠点があるので、症例対照研究は稀な疾患に適応
される方法である。
ここで得られた結果に基づいて信頼性の高いコホート研究
をデザインして次のステップに進むのがよい。
肺がんへの喫煙とベンゼンの関連
deaths/persons
喫煙者(曝露群)
非喫煙者(曝露群)
喫煙者(コントロール)
非喫煙者(コントロール)
31/10957
11/4680
13/10167
0/6004
mortality1/100,000
282.92
235.00
122.44
0.00
肺がんのSMR=2.31(男性のみ)
喫煙者ではベンゼン曝露者の方が死亡率が2.31倍高い
喫煙により肺がんの死亡率が1.2倍高い
肺がんのリスクは喫煙よりもベンゼン曝露による方が高く
なっていることがわかった。
アルキル化剤とは…
• 低分子化合物(核酸、タンパク質etc)と分子結合能を
形成できる広範囲の化学物質。
• 第一次世界大戦後、発癌物質(白血病を起こす)と
認識された。
↓
マスタードガス=毒ガス(イペリット)
皮膚に吸収され猛烈な糜爛性の炎症
を起こす。
• 現在、細胞障害作用を応用して抗癌剤として使用
されている。
→二次発癌の可能性の高い抗癌剤
作用機序
アルキル化剤(nitorogen mustard)
体内で反応性の高い陽性荷電中間体を形成
カルボニウムイオン中間体を形成

G≡C結合できない
※Gの結合の手が2本に
なってしまうため
DNA中グアニンの陰性荷電部分に結合
G(グアニン)がmG(メチルグアニン)になる。
1回目の複製でmG=T結合を形成
mG-mGのクロスリンクを形成
二回目の複製でT=A結合を作る
DNAの二重結合が解けなく
なりDNA複製がとまる。
癌化の原因
突然変異
※抗癌剤としての効果
アルキル化剤による3種の変異
①G≡Cから
A=Tへの置換
②イミダゾール環の不安定化に
よる環の開裂、脱プリン化
③mG-mG
のクロスリンク
開裂
DNA半保存的複製の結果起きる。
異常塩基対形成の原因となる。
DNA2本鎖が1本鎖になれない。
→複製できない
DNA突然変異
DNA突然変異
細胞毒性、細胞死
•③はDNA複製ができず、細胞生存にとって重大な驚異である→癌になれな
い。
•①②は細胞の生命延長と両立できるDNA変化でありえる。
→プロトオンコジン、癌抑制遺伝子(p53など)に起きれば癌化
抗癌剤としてのアルキル化剤
分類名
代表例
特徴
Nitrogen mustard類
cyclophosphamide
多岐にわたる反応性。肺癌、乳癌、
急性白血病、卵巣癌等に使用。
Ethylenimene誘導体
thiotepa
nitrogen mustard類に似る
Alkyl sulfonate類
buslfan
慢性顆粒球状性白血病に使用
Triazine類
dacarbazine
悪性黒色腫に使用。
Nitrosourea類
carmustin
高い脂溶性=CNSの腫瘍に使用
する。
金属塩
carboplatin
卵巣癌、子宮内膜癌、肺癌
• アルキル化剤はわずかな構造の違いで標的臓器が異なる。
→脂溶性、生体膜の透過性、酸解離定数、水溶液での安定性、
高分子による作用部位などにより生体内での活性が決定
する。
アルキル化剤服用による弊害
肝臓
チトクロムp450や体内の酵素
により代謝され、活性化する薬
剤(thiotepaなど)
↓
肝臓で活性化されたアルキル
化剤は血流に乗り、全身の臓
器に運ばれる。
↓
肺線維症
肝静脈閉塞性疾患
肝細胞に影響
(肝障害、黄疸)
腎、膀胱
尿中に排泄される際、大部分
は不活性代謝物だが、
一部活性代謝物であったり未
変化体である
↓
全身において、細胞分裂の盛
んな細胞(血液細胞、消化器
細胞、生殖器細胞、毛根細胞)
は、細胞毒性高感受性
→食欲不振、脱毛、
卵巣機能不全
骨髄抑制(白血球、赤血
球、血小板減少)
出血性膀胱炎、排尿障害
※骨髄にも循環するので白血病を起こしえる!
セムスチン(メチルCCNU)による胃大腸癌のアジュバント療法後の
急性非リンパ球性白血病の発生リスクについて
(Boice JD Jr. 1983より)
1、3633人の胃大腸癌患者を対象とする無作為臨床試験
(介入研究)
白血病発症数
白血病非発症数
計
発症率
メチルCCNU投与
群
非メチルCCNU投与群
計
14
1
2,053
1,565
2,067
1,566
15
3618
3633
3
6.7× 10
6.4 104
①相対危険度=12.4
②信頼区間 1,7~250(信頼度95%)
③Χ2乗検定 有意水準0.05で有意差あり
二群の比率の検定
まず期待度数=観測度数×二群を区別しない発症非発症の確率
白血病発症数
白血病非発症数
計
発症率
メチルCCNU投与群
非メチルCCNU投与群
計
14(8.5)
1(6.4)
2,053(2058)
1,565(1559)
2,067
1,566
15
3618
3633
6.7×103
6.4 104
各項の値が5以上
Χ二乗検定
各項の値が4以下
フィッシャー直接確率計算法
χ二乗検定
帰無仮説:二群の比率が等しい
2
(
観測度数-期待度数
)
X2 
期待度数
= 8.035
棄却域はΧ2>Χ(2 (m-1)(n -1),α)
=Χ 2 (1 ,0.05)
= 3.84146
よって、8.035>3.84146より帰無仮説は棄却される
投与群、非投与群の間の白血病発症には有意に差があるといえる
2、 1974年以前、以後における胃大腸がん治療
についての比較
急性非リンパ
球性白血病の
発生頻度
ニトロソウレア類(メチルCCNUを含
む)による化学療法開発以前:
1935~1974年(対象患者4437
0人)
ニトロソウレア類(メチル
CCNUを含む)による化学
療法開発以後:
1975~1983年
自然発生のレベル
過剰発生
以上2点の研究結果から、アルキル化剤によるアジュバント療法は白血病の
リスクを上昇させると言える。
アルキル化剤に発がん性があることが分かる
身の回りの物に発がん性物質の危険性を調べる!!
特に外国産の果物には防腐剤・防カビ剤(ex.チアベンダゾール)が大量に
使用されていたり、開封後のミカンの缶詰やカップラーメンの残り汁等に
発がん性があるという話を聞いたことがあるため、これらについて調べた。
4000種以上の化学物質を含むタバコについても調べた。
実験サンプル
予想される変異原物質 抽出時間、濃度
日清カップヌードル
スチレン
1h後/2h後/3h後
みかん缶詰
アルミニウムレーキ
1h後/2h後/3h後
グレープフルーツ
乾燥皮
TBZ
イマザリル
OPP
DMSO溶解
30min,1h,1.5h
後,0.5mg/ml
オレンジ乾燥皮
同上
DMSO溶解
30min,1h,1.5h
後,0.5mg/ml
たばこの灰
???
DMSO溶解
30min,1h,1.5h
後,0.5mg/ml
たばこの葉
ニトロソアミン類
非公開の添加物
DMSO溶解
30min,1h,1.5h後,10mg/ml
タバコに含まれる主な化学物質
化学物質名
含有量(μg/タ
バコ一本)
化学物質名
含有量(μg/タ
バコ一本)
アルデヒド
60~1630
クレゾール
10~150
アンモニア
10~150
ピリンジン
9~93
ニコチン
100~2000
N-ニトロソノルニコチン
0.1~0.25
酢酸
500~2000
ニトロソアミン
0.001~0.24
硫化水素
25~220
ピレン
0.05~0.2
カテコール
40~460
ベンゾピレン
0.008~0.05
シアン化水素
30~200
ヒドラジン
0.024~0.043
フェノール
10~200
塩化ビニル
0.001~0.016
Amesテスト ・・・
Hisを合成できなくなっているサルモネラが、変異原物質により、His
生合成系遺伝子に突然変異が起こると、His非要求性株になることを
利用(復帰突然変異)
サルモネラのHis要求性変異株(TA1538株⊿ uvrB)
変異原化学物質
復帰突然変異
His非要求性変異株
変異なし
最少グルコース
寒天平板培地
His(- )
増殖(+)
増殖(-)
化学物質の遺伝毒性やがん原性の予測、突然変異物質や発がん物質
の作用機構の解明が可能
実験手順
~プレインキュベーション法~
変異株(TA1538)にヒスチジン要求性があるかどうかを調べた後
ニュートリエントブロス培養液5mlにて菌株を9時間培養
滅菌したエッペンドルフチューブに 被験物質溶液0.1ml
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)0.5ml
前培養したテスト菌株懸濁液0.1ml添加
37℃30分(110/min)shaker incubation
45℃に保温したトップアガー(0.05mMHis/Biotin含む軟寒天溶液)2ml
および上記混合液を最少グルコース寒天平板培地に注ぎ一様に広げる
37℃で48時間培養
復帰突然変異で生じたコロニーの数を計測
コロニー形成菌がサルモネラかどうかをグラム染色後、鏡検
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
カップめん
control
缶詰
control
0
colony数
colony数
実験結果
1
2
time(h)
3
4
吸う前のタバコとタバコの灰の発がん性の
比較
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
control
オレンジ
control
グレープ
0
0.5
1
time(h)
1.5
2
タバコの葉以外の被検物質・・・陰性
450
吸う前のタバコ
400
colony数
350
300
250
濃度とタバコの種類、溶出時間を
変えて再び実験
・タバコの種類
タール4,8,12mgのタバコを用意
200
150
100
control
50
タバコの灰
0
0
0.2
0.4
0.6
0.8
time(h)
1
1.2
1.4
1.6
・濃度
DMSOに溶かして10mg/ml溶液を作製
15,30,45,60,75分の15分間隔で五回抽出実験
25
1/2
コロニー数
20
1/2
5
 1 = 3.125%
 
 2
4mg
1/2
15
1/2
12mg
10
control
1/2
8mg
5%以下なので
統計学上有意
5
0
0
10
20
30
40
時間(min)
50
60
70
80
同銘柄の3種類のタバコの葉による変異原性が同程度見られたが、
タバコのパッケージに表示されているタール量には依存性が見られない。
今回のAmes テスト:直接サルモネラのDNAを修飾するような
変異原性を示す物質のみ検出可
代謝を受け発がん性を示す化学物質
(キノリン、ヒドラジン、ベンゾピレン、N-ニトロソ化合物)
S-9mix(薬物代謝系を誘導する)を添加することで検出可
CYP450による代謝
第1相
(酸化・還元・加水分解)
脂溶性物質
CYP450
誘導体
第2相
(抱合)
中間生成物
水溶性物質
(排出)
促進
Ex) タバコ特有のN-ニトロソ化合物(NNK、NNN)、ベンゾピレンのCYP450による代謝
タバコ特有の
N-ニトロソ化合物
ベンゾピレン
ベンゾピレン
第1相
第2相
(水酸化)
(グロビン抱合)
中間生成物
促進
CYP450(CYP1A2)誘導
DNA修飾
水溶性物質
発がん性
喫煙により薬効減弱・・・抗うつ薬、筋弛緩薬、解熱鎮痛薬、抗不整脈薬、β受容体遮断薬
タバコの危険性について
タバコの葉
1.化学物質
約4000種
2.香料・添加物
約600種
発酵
発酵段階でニコチンの一部が
タバコ特異的ニトロソアミン類に変化する
一酸化炭素
ガス成分
たばこの煙
主流煙・副流煙
3.各種フィルター
+
12mg
+
8mg
+
4mg
タバコのパッケージに
表示されているタール量
二酸化炭素
その他無機ガス
粒子成分
タバコの強さを決定
フィルターを通して回収される量
タール
ニコチン
副流煙中の有害物質量には
なんら関係はない
パッケージ表示:国際標準化機構(ISO)で規定したsmoking machine測定によるタール量
ヒトが吸引する速度やフィルターへの物理的な効果により喫煙者の摂取タール量が変化する
可能性有
タバコに含まれる主な添加物について
JT(日本たばこ協会)のHPより:たばこの添加物は味づくり上の重要なノウハウであり、
各ブランドに使用されている添加物の詳細な組成は
競合他社に開示することのできないビジネス上の機密です。
第一香料 (ケーシングソース) 砂糖、ココア、チョコレートなどのような香り・味
第二香料 (トップドレッシング) バニラ、ドライフルーツ、洋酒、メンソール、チョコレートなどのような香り・味
TBS報道特集1989,12,6放映より
ホルムアルデヒド
繊毛細胞障害物質、発がん促進物質
アセトアルデヒド
繊毛細胞障害物質、中枢神経循環器系障害、発がん性
シアン化水素
繊毛細胞障害物質、猛毒
ニッケル化合物
発がん物質
カドミウム化合物
発がん物質
グリセリン
保湿剤だが、燃焼によりアクロレイン生成
ジエチルグリコール
腎臓障害、尿毒症、嘔吐、昏睡、呼吸困難、痙攣
ココア
燃焼して出た煙が強い腫瘍発生性
ペリラルアルデヒド
着香料
ヒ素
有毒性、発がん性
鉛
発がん性の疑い
実験計画法: 数理統計学的手法を用いた、多数の因子が存在するときの
データの集め方を決める有力な手法。→ 実験コスト及び時間の削減
因子: 結果の値に影響を及ぼすと考えられ、その実験で比較されるもの
水準: 因子のとる種々の条件
Ex) 温度 100℃ 120℃ 140℃
例) 3因子3水準
3元型配置
C1
B1
A1
C2
(2)
B2
(3)
B2
B3
B1 B2 B3
B1 B2 B3
B1 B2 B3
C1 C2 C3 C1 C2 C3
C1 C2 C3
ラテン方格型配置
B1
B2
B3
A1
(1)
(2)
(3)
A2
(4)
(5)
(6)
A3
(7)
(8)
(9)
(5)
B2
(6)
(7)
B1
A3
A1 A2 A3
(4)
B1
B3
A1 A2 A3
(1)
B3
A2
C3
A1 A2 A3
(8)
(9)

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