OzawaMasaki1 - 茨城大学工学部工学基礎

Report
茨城大学集中講義2013
原子科学と倫理
平成25年12月25日
3コマ(核種分離・再処理)
日立事業場(大学院理工学研究科)
核種分離技術総論
“ad hoc” 再処理(巨大化学プラント)事故は如何に起こったか、
如何に防ぐか
小澤 正基
東京工業大学原子炉工学研究所 原子力国際共同研究センター
http://www.nr.titech.ac.jp/~ozawa/
再処理と分離(湿式)
再処理(Reprocessing)
U Pu Np
分離(Partitioning, Separation)
Sr, Cs
HLLW
PUREX
Spent
Nuclear
Fuel
(Dissolver
Soln.)
UREX
DIAMEX-SANEX / EU
MA+Ln
MA(Am,Cm,(Np)
Am/Cm
Am
・DIDPA
Amide
・TBP
・MonoAmide
・Non SX
Cm
・DTPA
・SESAME(Electrooxidation of Am under HPA)
・CYANEX301 ・Am(V) Pctn.
・CMPO(TRUEX)
・TPTZ
・Diamide(DIAMEX)
・BTP
・TODGA
ORGA / JNC-KRI
GANEX / EU
・ChCoDiC
・TRPO
All Actinides + Ln
使用済み燃料溶
解液
MA/Ln
MA/Ln
Solvent
Extraction
(SX)
溶媒抽出法
U,Pu,Np,Am,Cm
・CMPO,CMP/TBP/Fluoropoles
FP/Ln
All Actinides + Ln
・Tertiary
Pyridine Resin /
HNO3, HCl, MeOH
U+Pu+Np
MA
Rare Metal
Am
Cm
Ion-Exchange
Chromatography
(IXC)
イオン交換クロマト分離法
2
群分離・消滅
分離・変換
(2000年頃)
国際的にはPartitioning & Transmutation (P&T)が通用
3
使用済み燃料(SF)を再処理する際発生する高レベル廃液(HLLW)の潜在的摂取毒性は時間とともに減衰
するが、数万年以上の時間を経なければ地球環境/生態系への潜在的な影響を無視できるほどには低下し
ない。その原因は長寿命核種(アクチニド、核分裂生成物LLFP)の存在である。
高レベル放射性廃棄物(HLLW)の潜在的放射性毒性の経時変化
Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation - Status
and assessment Report, pp.196, OECD 1999.
核種
放射性毒性: Σ放射能(Bq) x 実効線量係数(Sv/Bq)
103年まではAm,Cm,Pu,90Sr,137Csの寄与大。
103年以降はNp, LLFP及びUの寄与が増す。
4
分離変換の効果;高レベル放射性廃棄
物の毒性が原料(天然ウラン)の毒性と
同等以下まで低下する期間の短縮
An, LLFP の分離変換係数が99.9%の場合、そ
の期間を数万年から数百年に短縮できる。
「長寿命核種の分離変換技術に関す
る研究開発の現状と今後の進め方」
平成12年3月31日
原子力委員会
原子力バックエンド対策専門部会
5
その潜在的な毒性を低減するために、HLLW(あるいは使用済み燃料SF)からアクチニド、LLFPを選択的
に分別・除去(「分離」と略称する)し、分離した元素や特定核種を、原子炉あるいは加速器で照射し安定
核種または短寿命核種への核種変換(「変換」と略称する)を施すことを目的とした研究計画(通称
OMEGA計画)が我国で開始されてからほぼ25年が経過している(2013年現在)。
Isotope
Sptn.
■NRM
Sptn. &
Utzn.
Advanced
ORIENT
Cycle
Laser-Chemical /
Chemical Method
ORIENT
-Cycle
Element Sptn.
Utilizing
Rad. Wastes
SCNES
Decreasing
Rad. Wastes
Gr. Sptn.
Advancement of Separation Tech.
我国における分離研究(原子力)の変遷
■An / Ln Mutual Spt.
Soft-Donor / SX
Bi-Functional
Ligands / SX
OMEGA
(Ph.I)
1988
C&R Fundamental
Study
■LLFP
Isotope
Sptn.
Soft-Donor
/ IXC
(Advanced P&T,U)
Feasibility Study
1999
Basic Study
■Am/Cm
Mutual
Sptn.
(Compatibility
in Fuel Cycle)
OMEGA
(Ph.II)
■f - Element Co-Extraction
2001
1970
80
90
2000
10
Year
9
6
分離変換技術開発の意義・目的
地層処分技術と相互に補完することにより、一層の環境対策の向上を図る。
《 分離変換技術は、原子力利用の結果生じる放射性廃棄物の中に存在する長寿命核種を短寿命化あるいは安定核種に変換し、放
射能及び潜在毒性が人類の時間スケールをはるかに越える長期間に及ぶことに起因する不安を軽減すると共に、最終処分される廃
棄体量低減や処分場の合理化に繋がる可能性を秘めた核燃料リサイクルの高度化技術である。
すなわち分離変換技術は、長寿命の放射性核種の廃棄量そのものを減ずることにより、能動的に廃棄物の潜在的危険性の低減を目
指すものであり、生活環境に潜在的危険性を顕在化させないことを目的とする。
さらに、アクチニドの回収率を向上すると共に、MAを含む全アクチニドをリサイクルして燃焼させることによるウラン資源利用
率のさらなる向上や、白金族元素やレアアース等の希少金属の回収、有効利用等の可能性も併せ持つ技術である。
分離変換技術は、これらの可能性を追求することにより、社会の原子力に対する理解と受容度の向上を図る。
7
MA分離概論
多価イオンのNp(VI)はU(VI)及びPu (IV)と供にPUREX法などによる抽出分離が可能である⇒ JAEA、CEA、他
3価MAイオン(Am(III), Cm(III))の抽出分離についてはTBPより抽出能に優れた配位子(例えばDIDPA、CMPO、TODGAなど)を
用いる必要がある。
抽出操作でマクロ量の被抽出種が存在した場合、往々にして抽出錯体が分相して第3相を形成しそれにより様々な抽出操作上の
問題を引き起こすことがある*。従って、MAの分離ではPUREX法等によりマクロ抽出種(U(VI)及びPu(IV))を除去した後の
HLLWを対象液とせざるを得ない。
ほとんどのMA(+Ln)分離配位子にはf-元素の相互分離機能がないので、窒素(N)や硫黄(S)などソフト元素で構成される分離配位
子(N系;DTPA, BTP等、S系;CYANEX301等)を別途用いることによりMAからLnの除去を図る必要がある。
*フッ素系の極性希釈剤による抽出錯体溶解度の著しい向上効果を利用して、溶解液中の全アクチニドを同時一括して分離する
新抽出プロセス(ORGA Process;再処理・分離融合プロセス)の開発が行われた。
8
概論 (そのII)
多成分系の原料(高放射性)から照射ターゲットにしたい物質を効率よく分離・回収し、かつ目標とする製品純度を達成するため
の抽出分離操作は、抽出剤及び逆抽出剤の性能に基本的に依存する。抽出分離プロセスは “素材”に立脚した化学工程である。
即ち、分離技術の開発は素材開発の積み重ねである。
70年代からの単座配位型抽出剤(DIDPA;酸性・有機リン系、TRPO;中性・有機リン系、他)によるフローシートの構築及び改良
の継続
80~90年代の二座配位型(CMPO;中性・有機リン系、DIAMIDE;中性・ジアミド系、他)の出現及びフローシート化研究
90年代後半からの多座配位型(カリックスクラウン;中性・大環状、TODGA;中性・三座アミド系、他)の萌芽
9
核種分離技術はどこまで来ているか(1)
OMEGA 1st Phase終了時(20世紀末)の核種分離技術
分離プロセス
研究機関/国
クラウンエーテル法 CEA/フランス
BTP法
CEA/フランス
分離対象核種、
元素
抽出剤、他
被抽出液
研究レベル(試験装置等)
成果(分離係数等)
文献
Tc-99
抽出剤;DB18C6等
中レベル廃液
希釈剤;toluene/
(ラ・アーグ、マル
aceton, あるいは
クール)
dichloromethane
MA/Ln分離
抽出剤;2,6-bis(5,6小型ミキサセトラー
n-propyl-1,2,4DIAMEXプロダク
模擬液、Am、 (6ml+17ml)16段(抽出 Am、Cm抽出率>99.85 %
triazin-3-yl)-pyridine
ト
Cmスパイク
+洗浄;8段、逆抽出;8 Ln/MA=7%
希釈剤;TPH/n段)
octanol
C.Hill, X.Heres, J.N.Calor,
D.Guillaneux, B.Maunborgne, B.Rat,
P.Rivalier, P.Baron,"Trivalent
Actinides/ Lanthanides Separation
Using Bis-Triazinyl-Pyridines"
抽出剤;
bis(chlorophenyl)dith 模擬液、Amス
小型遠心抽出器12段
DIAMEXプロダク io- phosphinic acid、 パイク、
Am抽出率>96 %
(抽出;4段、洗浄;4段、
ト
TOPO 混合溶媒
Ln/MA<3%
0.5MHNO 3
逆抽出;4段)
希釈剤;tert-butyl
benzene
G.Modolo, R..Odoj, P.Baron, "The
ALINA-Process for An(III)/Ln(III)
Group Separation from Strong
Acidic Medium"
ALINAプロセス ユーリッヒ/ドイツ MA/Ln分離
UNEXプロセス INEEL/アメリカ
研究対象廃液
Cs-137、Sr-90、
高レベル廃液
T-α
抽出剤;CCD、
Ph2Bu 2CMPO 混合
溶媒
希釈剤;
Polyethylene glycol
ラ・アーグ実廃
液、Tcスパイク
試験管レベル
Patricia Paviet-Hartmann, Alain
99
Tc from
Real Effluents by Crown Ethers"
抽出剤の選定、分配比の
Raymond, "Separation of
測定、抽出種形態の把握
小型遠心抽出器24段
Cs-137抽出率:99.95 %、
INTEC実高レベ (抽出;8段、洗浄;2段、
Sr-90:99.985%、T-α:
ル廃液
逆抽出;9段、溶媒洗
95.2%
浄;5段)
J.D.Law, D.J.Wood, L.V.Smirnov,et
al.,"Demonstration of a Universal
Solvent Extraction Process for the
separation of actinides, Cesium and
Strontium from Actual Acidic Waste
at the Idaho National Engineering
and Environmental Laboratory"
実廃液
J.P.Glatz, O.Courson, R.Malmbeck,
G.Pagliosa, K.Roemer, B.Satmark,
P.Baron, C.Madic,"Demonstration of
Partitioning Schemes Proposed in
the Frame of P&T Studies Using
Genuine Fuels"
DIAMEXプロセ
ITU/ドイツ
ス
TRU
高度化再処
理プロセス
JNC/日本
(PUREX/TR
UEX統合法)
抽出剤;CMPO、TBP
小型ミキサセトラー
混合溶媒
Am抽出率>99.9 %、T-α
TRU、MA/Ln分
(6ml+17ml)51段(抽出;
溶解液、高レ 希釈剤;n-dodecan
>99.9 %
離、
実高レベル廃液 6段、洗浄;10段、逆抽
ベル廃液
、錯化剤
Pd回収率≒100%、Ru 回
LLFP、希少金属
出;35段(うち16段は溶
DTPA(SETFICS法)
収率 >99%(コールド試験)
媒洗浄を兼ねる))
電解採取法
高レベル廃液
DIAMIDE
小型遠心抽出器16段
Am抽出率>99.8 %
M.Ozawa, T.Wakabayashi,"Status on
Nuclear Waste Separation and
Transmutation Technologies in
JNC"
10
核種分離技術はどこまで来ているか(2)
核種分離技術(続き)
分離プロセス
研究機関/国
分離対象核種、
元素
研究対象廃液
PALADINプロ
TRU、MA/Ln分
CEA/フランス
高レベル廃液
セス
離
Calixarenes
法
SREX法
TP法
CEA/フランス Cs、Tc、I、TRU
抽出剤、他
被抽出液
研究レベル(試験装置等)
抽出剤;
DMDOHEMA、
小型ミキサセトラー
HDEHP混合溶媒
コールド模擬廃
MA/Ln分離係数>10(推
(6ml+17ml)48段(抽出;
希釈剤;TPH、錯化 液
定)
8段、逆抽出;40段)
剤 HEDTA、 Cit、 pH
3
抽出剤;
Dialkoxycalix[4]aren
高及び中レベ
es, CMPOル廃液
calixarenes
希釈剤;NPHE
模擬廃液
4MNaNO 3,1M
HNO 3, Cs- 液膜移送装置
137, Np ,Pu
Amスパイク
Sr-90、Cs-137、
INEEL/アメリカ Tc-99、TRU、
放射性廃液
Pb、Hg
抽出剤;4'4'(5')di-(tbutylcyclohexo)-18crown-6、TBP混合 模擬廃液
溶媒
希釈剤;Isopar L
清華大/中
国
抽出剤;TRPO/希釈
剤;kerosene、
実高レベル廃 小型遠心抽出器 φ
DC18C6
液
10cm, 50段
イオン交換法KTiFC
TRU、Tc、Sr、Cs 高レベル廃液
TRU、Tc-99、
4群群分離法 JAERI/日本 PGM、 Sr-90、
Cs-137
高レベル廃液
成果(分離係数等)
小型遠心抽出器 φ
2cm
文献
X.Heres, C.Nicol, I.Bisel, P.Baron,
L.Ramain,"PALADIN : A One Step
Process for Actinides(III)/Fission
Products Separation"
J.F.Dozol, A.G.Carrera, H.Rouquette,
V.Lamare,"selective Extraction and
分配比、輸送率、Cs/Na分 Transport of Actinides and Long
Lived Fission Products from Medium
離係数
Activity Liquid Waste by
Functionnalized Calixarenes"
D.J.Wood, J.D.Law, R.S.Herbst,
T.A.Todd,"Removal of Sr and Hg
Sr抽出率>99.99%(設計値)from Acidic Liquid Radioactive waste
by Solvent Extraction with the SREX
Process"
除染係数;α:588、 Tc99:125、Sr-90>2500、
Cs-137>200
抽出剤;DIDPA、TBP
小型ミキサセトラー32段(抽
混合溶媒
実高レベル廃 出;7段、洗浄;4段、逆 Am抽出率>99.999 %、Np
希釈剤;n-dodecane 液
抽出I;5段, 逆抽出II;16 抽出率:95.9 %
錯化剤;DTPA
段)
S.Chongli, W.Jianchen,
J.Rongzhou,"Hot test of Total
Partitioning Process for the
Treatment of High Saline HLLW"
Y.Morita, I.Yamaguchi, T.Fujiwara,
H.Koizumi, M.Kubota," The First
Test of 4-Group Partitioning
Process with Real High-Level Liquid
waste"
注 ; 出典GLOBAL'99
その成果の例を挙げると、旧日本原子力研究所(JAERI)ではDIDPAを主配位子とする4群群分離法を成熟させ、Am,Cmの抽出率>99.998%、逆
抽出率>99.98%を得ている。また多座の非有機リン系、TODGA配位子を用いたARTISTプロセスを展開した。
出典;GLOBAL’99
11
f-元素の溶液化学
12
単座、二座、多座配位子
13
MA分離プロセス
OMEGA 2nd Phase?
OMEGA 1st Phase
構造
名 称
単座
二座
DIDPA[酸性] (JAERI)
TRU
DBBP[中性] (JNC)
TRU
TRPO[中性] (清華大学)
TRU
CMPO[中性] (ANL,JNC)
TRU
DIAMIDE[中性] (CEA)
TRU
クラウンエーテル(各国)
TRU,
Tc,Sr
多座
カリックスクラウン(CEA)
TODGA (JAERI-JAEA)
O
O
iso-C10H21
P
HO
DIDPA
1970
O
1990
O
P
C8H17
H2
C
i-C4H9
R1,R2,R3=hexyl, heptyl, octyl (1:5:4)
2005
C
O
N
O
C2H4OC 6H13
H3C
N
i-C4H9
OφD[iB]CMPO (CMPO)
Octyl(phenyl)-N,N-diisobutylcalbamoylmethylenephosphine oxide
C8H17
CH
C
C
CH 3
N
C8H17
O
O
DMDOHEMA
Dimethyl-dioctyl-hexylethoxy-malonamide
H2
C
C8H17
N
R3
TRPO Trialkylphosphine oxide
2000
TRU
iso-C10H21
R1
1995
TRU,Cs
P
Diisodecylphosphoric acid
R2
対象元素
CH 2
O
C
C
C8H17
O
O
C8H17
N
C8H17
TODGA
N,N’-tetraoctyl-3-oxapentanediamide
14
DIDPA(Diisodecyl phosphoric acid)
単座配位型の酸性有機リン化合物で、分子中のプロトンが解離し、MA3+が陽イオン交換されて抽出される。
従ってその解離を容易にし、プロトンとの競合を緩和するためにはTRPOの場合と同じく、HLLW中の硝酸濃
度を下げる必要がある。
一般的にP置換基から酸素原子が抜けるとP-OH結合が強まるので、中性化合物の場合とは逆に、酸性化
合物では酸素原子の存在は好ましい抽出能を与える。
R基については鎖長が長い程抽出能が増大する。また、分岐度が増すに従い溶解度が増すので、第3相形
成に対する抑制効果が増す。
旧日本原子力研究所では、Rに i-C10H21を配したDIDPAによる抽出法に、活性炭吸着法、沈殿法や無機イ
オン交換法を併用する4群群分離法を開発している。
RO
O
\ /
P
DIDPA
/ \
RO
OH
(R: i-C10H21)
15
4群分離プロセスからTODGA法へ(旧JAERI-JAEA)
4群分分離プロセスの開発
1000
実廃液による試験で元素分離性能を実証
より合理的で、より経済的なプロセスへ
TODGA抽出プロセスの開発に着手
100
10
沈殿 DTPA シュウ酸
溶媒抽出
選択的逆抽出
分配比
M
D
前処理(脱硝)
DIDPA
溶媒
1
Pu(IV)
0.1
TRU群
TRU群
0.01
ラフィネート
ギ酸
脱硝沈殿
チタン酸
ゼオライト
無機イオン交換
体カラム吸着
Th
U
Np
Pu
Am
Cm
U(VI)
濃縮高レベル廃液
ギ酸
有機相:0.1M TODGA
-n-dodecane
水相:HNO3
Th(IV)
Np(V)
Cm(III)
希土類元素
沈殿物
TcTc- 白金
白金
族元素群
族元素群
SrSr- Cs群
Cs群
吸着体
0.001
0.0001
0.001
Am(III)
0.01
0.1
1
10
硝酸濃度 (M)
通過液
図 4群群分離プロセスのブロックフロー
その他の
その他の
元素群
元素群
HNO concentration (M)
3
図 TODGA抽出におけるアクチノイド分配比の
硝酸濃度依存性
16
TRPO(Trialkylphosphine oxide)
単座配位型の中性有機リン化合物で、清華大学(中国)において開発途上にある。
中性有機リン化合物の場合、以下に示すようにP置換基から電子吸引性の酸素原子を抜くに伴い抽出能
力は増大する。
TRPOの場合、アルキル(R)基は直鎖の、しかも長鎖長が好ましいとの考えから、hexyl、heptyl及びoctylが
それぞれ10、50及び40 %と混合した構造の化合物が現在の研究対象となっている。
RO
\
RO—P=O
/
RO
TBP
<
RO
\
RO—P=O <
/
R
DBBP
RO
\
R— P=O
/
R
R
\
<
R— P=O
/
R
TRPO
単座配位型は通常、P=Oへのプロトンの配位がMA3+カチオンと競合するため水相中の硝酸濃度を低減しな
ければならない。
17
抽出メカニズム(単座、酸性配位子)
DM3+
M3++3X-+nB = MX3・nB
高硝酸域
H++ M3++ 4X-+nB
= HMX4・nB
低硝酸域
中硝酸域
H+
H++X-+mB = HX・mB
単座配位型の抽出パターン
18
TRUEX(TRans Uranium EXtraction)法
アルゴンヌ国立研究所(ANL)で開発された、二座配位型の中性有機燐化合物である、
OφD[iB]CMPO(Octyl[phenyl]-N,N-diisobutyl carbamoylmethyl- phosphine oxide) 、を主配位子とするアク
チニド分離法で、核燃料サイクル開発機構JNCでは”高度化再処理プロセス”の一環として開発を進めてき
た。
OφD[iB] CMPOは下図のように非対称の構造が特徴的であり、TBP及びドデカンで希釈して用いる。
C8H17
P
O
H2
C
i-C4H9
C
O
N
i-C4H9
二つの官能基のうちP=Oが第一ドナーとして金属カチオンを、C=Oが 第二ドナーとしてプロトンを受け持つ
ので(Horwitz ; Intramolecular Buffering Effect) 、高硝酸環境においても高い抽出能が維持される。
故に、構造的には主にP置換基の静電的、立体的性状が抽出能に大きく影響を及ぼすと考えられ、なかで
もフェニル基φの効果については量子化学的な興味深い解釈が与えられている。硝酸溶液からのAm3+の
抽出は次の通りである。
Am3+ + 3NO3- + 3E・(HNO3)n ⇔ Am(NO3)3・E3(HNO3)m + (3n-m)HNO3
n=0~2, m=0~3
19
CMPO置換基の役割
Effect of Substituents on the Properties of the Carbonyl-phosphoryl Moiety
OφD(IB)CMPOの分子モデル
(E P. Horwitz / ANL 提供)
変則アリール効果(A.M.Rosen,Russia);フェニル基の導入でプロトンの配位能は低下、Am3+は6員環の
形成で逆に抽出能増大
イントラモレキュラーバッファリング効果(E.P.Horwitz,US);カルバモイル酸素C=Oがプロトンを優先的に
受け取る
20
CMPOによる基礎分配特性
Am3+ + 3NO3- + 3E・(HNO3)n ⇔ Am(NO3)3・E3(HNO3)m + (3n-m)HNO3
n=0~2, m=0~3
(JNC)
21
改良TRUEXフロー
シート (PNC-JNC)
HOOC−COOH
(CPF-JNC)
22
CMPO-TRUEX法 抽出平衡曲線
(CPF-JNC)
23
CMPO-TRUEX法 ホット試験結
果の例
(CPF-JNC)
24
DIAMIDE-DIAMEX法
フランス原子力庁(CEA)が開発中の、DIAMIDE類縁体を抽出剤とする新しいMA分離法である。
DIAMIDEは 二つのアミド基をマロン酸型に置き、二種類のR、R‘置換基をcis型に配した骨格構造の、二座配
位型中性有機化合物である。
MA抽出能、溶解性及び第三相形成抑制などの観点から種々の類縁体が合成されており、現在でもR、 R‘、
R“基の炭素数、酸素原子の効果及びメチレンブリッジ数等に関する最適化が進行中である。
これまで下記に示すDMDOHEMA (Dimethyldioctyl hexylethoxy malonamide)、
C2H4OC 6H13
H3C
N
マロン酸
C8H17
C
O
CH
C
O
CH 3
N
C8H17
を工業用分岐性ドデカン(TPH)に混合した溶媒によるフローシート研究がなされている。
DMDBTDMAは 単座配位型に比べれば適合する硝酸領域が広い。未調整の4 M硝酸濃度の実高レベル抽
残液HARをフィード液とした多段向流抽出試験の結果、99.5 %のMA回収率が報告されている。
DIAMIDEは対称構造の故製造が容易(従って安価)、分子中にリン原子を含まない(“CHON”プロセス)為に、
最終処分が容易等の点で他化合物に比べ有利である一方、Fe、Mo及び Ruの制御法などに研究課題が残
されている。
25
26
MA/Ln分離概論
90年代後半からの分離化学は、それまでのMA分離性能の見極めが一段落し、各MA分離プロセ
スに共通する課題として認識された対アクチニド選択性配位子(高MA/Ln分離性)の創製へと焦
点が移った。
手法としては、配位子を構成する原子の種類(ソフトドナー)、配列、骨格構造及び置換基の種類を、
経験的あるいは計算化学的に評価し、分離性(実データ)との相関性から支配原理を導き、メカニ
ズムを解明した上で新規の分子設計及び合成に繋げるというもので、ヨーロッパ諸国・研究機関
(CEA、FZK)を中心に研究開発に凌ぎが削られている。
一方、我国においても原研を始めとして大学においても、例えば東工大では3級ピリジン型樹脂、
NIPA-BTP共重合ゲルの開発が進められている。
27
互いに化学的性格の似るf-元素同士の分離への挑戦は、量子計算化学、有機電子論、有機合成化学、錯
体化学またNMR、EXAFSなどの構造分析化学の知見を必要とし、周辺基礎化学への波及も大きい。
現在主流となっている研究対象化合物は窒素系(BTP、TPTZ)及び硫黄系化合物であり、特に後者の高度
精製Cyanex301は極めて優れた選択的Am抽出性(SFAm/Eu:>ca.6,000)を示し、f-元素の相互分離におけ
るHSAB則を明快に実証することとなった。
しかしながら、将来プラント規模での定常的使用を想定した場合、安定性と廃棄物低減性(“Salt-Free”、
“CHON”)の点において一歩優る窒素系化合物を追求する方向に向かうべきとの判断が優勢である。
28
MA/Lnの分離化学
29
MA/Ln分離プロセス
OMEGA 1st Phase
名称
研究機関
DTPA
1970
1990
1995
2000
2005
ORNL, EC, Sweden
(Talspeak法)
JNC-JAEA(SETFIX)
JAERI(DIDPA)
CEA, 東工大(JAEA)
TPTZ、3級ピリジン
R-BTP
FZK, CEA, 東工大
HDEHDTP
CEA
CYANEX301
清華大学
芳香族置換DTP
FZJ, EC
HOOCCH 2
N
C2H4
HOOCCH 2
N
S
C2H5
CH 2COOH
CH 2COOH
C2H4
S
CH2
CH
C6H13
O
CH2
CH
C6H13
SH
P
P
N
CH 2COOH HS
DTPA
O
C2H5
Diethylenetriaminepentaacetic acid
HDEHDTP
R2
di(2-ethylhexyl)dithiophosphoric acid
CYANEX301
bis(2,4,4-trimethylpentyl)
dithiophosphinic acid
N
R1
N
N
N
N
N
N
N
N
N
TPTZ
R1
R1
X
N
N
N
S
R1
P
BTP
2,6-bis(1,2,4-triazin-3yl)-pyridine
R1=H, methyl, n-propyl, i-propyl,
n-butyl, i-butyl
R2=H, i-nonyl
SH
X
diphenyldithiophosphinic acid
+ synergist (TOPO, TBP,TBPO)
X=H, CH3, F, Cl
2,4,6-tri(2-pyridyl)-1,3,5-triazine
30
TPTZによるAm/Eu分離
TPTZのEuに対する希土類元素,Amの選択性
CEA-フランス(CEA-JNC共同研
究)
31
CyanexによるAm/Eu分離
(JNC-CEA共同研究)
32
FP分離概論
LLFPの分離を対象にした技術開発は、アクチニド分離に比べると、どの研究機関においても限定された
条件で進められた。これは、限られた投入研究資本内ではアクチニド分離研究を優先するという各国に
共通する研究開発戦略によるものである。
f-元素は単味あるいは2種の抽出剤による系統的分離が可能であるが、LLFPを構成するd-元素類など
は溶液化学が多様であるために、分離対象元素ごとに分離工程も異なるという特徴(弱点)がある。
旧日本原子力研究所は早くから化学沈殿法や吸着法による白金族元素FP、Tc及び発熱性元素Cs、Sr
の分離研究に着手し、分離性を実証してきた。
Tc分離に関してアメリカは60年代前半、ロシアは70年代の前半においてそれぞれキログラム量の分離
に成功しており、種々の利用研究を進めてきた。我国では東北大において放射線照射によるTcO2ナノ
粒子の生成とその利用研究が進められた。
最近ロシアはテクネチウムルネッサンスと称し、99Tcの核変換後の安定Ruの利用を目的とする研究が
活性化している(Tc-2002, Dubna会議)。
90年代に入ると、分離剤・法の多様化が進み、クラウンエーテルやカリックスクラウン(CEA等)など新規
のマクロサイクル(大環状化合物)やCCD(ロシア)のような強アニオン、あるいはゼオライト(東北大)や
KTiFC(精華大)のような無機イオン交換体により、Cs及びSrの定量的分離が可能であることが示され
た。
33
また旧サイクル機構では希少元素FP(白金族、Tc、Se、Te、Ag)が電気化学的に貴であることに着目し、電
解採取法による一括分離が可能であること、またPd2+、Rh3+などの添加(リサイクルすることを想定)が
RuNO3+、TcO4-など他d-元素の電解析出を促進する(UPD;アンダーポテンシャルディポジッション)ことなどを
見出している(触媒的電解採取法)。混合析出物の触媒活性は高く、海水電解による水素製造触媒として、
従来の白金電極に代替する可能性が高い。
このようにLLFP及び希少元素FPの分離法は多様であるが、今後の技術改良の方向は、湿式法の利点であ
るシステムの安全性、連続性及び遠隔自動制御性を担保しつつ、経済性と環境負荷低減性の両立を目指
す、所謂“Green Chemistry”の理念に沿ったものであるべきで、例えばゴミ処理処分におけるダイオキシン発
生のような轍を踏むべきでない。
先進的な核燃料サイクル技術としての整合性を強化するためには、分離手法としての徹底した二次廃棄物
の低減、ゼロ化及び無毒化に留意すべきであろう。
34
FP分離プロセス
OMEGA 1st Phase
方法
名称、分離剤
溶媒抽出法
カリックスクラウン
Cs
クラウンエーテル
Sr, Tc
CCD
脱硝沈殿法
沈殿法
チタン酸
イオン交換法
(吸着法)
モルデナイト
ヘキサシアノチタン鉄(II)酸カリ
ウム
電解採取法
電気化学法
1970
対象元素
1990
1995
2000
2005
TRU,
Sr,Cs
Tc,PGM
Sr
Cs
Cs
PGM,Tc,
Te,Se,Ag
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
O
DtBuCH18C6
DB18C6 dibenzo-18-crown-6
Tc抽出用 (CEA)
4’,4’(5’)-di-t-butyl-(dicycrohexano-18-crown-6)
Sr抽出用 (SREXプロセス:米国)
O
DCH18C6
dicycrohexano-18-crown-6
Sr抽出用 (清華大学)
35
Sr分離配位子
(JNC)
36
Cs分離配位子
(CEA-フランス)
37
アンダーポテンシャルデポジッション(UPD)を利用した白金
族の分離
UPD(UnderPotential Deposition)とは?異種原子間の結合力が同種間よりも大きい場合に、REDOX電位よ
りも貴な電位で起こる析出現象。特異な触媒活性を示す。
Anti-Universal Law for Waste Management ” It gets bigger
every time you touch it! ”
Pd2+あるいはRh3+の添加が白金電極上で、
TcO4-及びReO4-の析出を促進!
19
20
Electro-deposition of NRM in S-HLLW;
HCl vs. HNO3 media
HNO3-SHLLW
HCl-SHLLW
Electrolysis; Catholyte: 50cm3, 50℃, Cathode: Ptsmooth, 2cm2, Ic:
2.5mA/cm2(1hr)→75(2hr)→100(4hr), ICP Atomic Emission Spectrometry
20
 白金族/テクネチウム・アダトム電極の水素製造触媒利用
アダトム触媒表面は水素吸着席数が多く、アルカリ水や人工海水の電解で触媒活性が高い。現行Ni電極(商用
電解)を代替する可能性が高く、また酸素過電圧も低いので他分野でも有力な触媒となる可能性が高い。
2元、4元系アダトム触媒
多元系アダトム触媒
0.0
Initial Hydrogen Evolution Potential / V vs Ag/AgCl
Pd:Ru:Rh:Re=3.5:4:1:1
*3
Pd:Ru:Rh:Re=3.5:4:1:1
*2
Pd:Ru:Rh:Re=1:1:1:1
*1
Rh-Re
-0.4
Ru-Re
Ru-Rh
Pd-Re
Pd-Rh
Pd-Ru
Tc
Re
Rh
Ru
Pd
Pt
-0.2
-0.6
-0.8
-1.0
単味系アダトム触媒
-1.2
【アルカリ電解水素製造】
・所定電位での水素発生速度(Y軸)は見掛けの水素
発生開始電位(X軸)に対しほぼ、リニヤーに増加する。
・4元系及び多元系の触媒活性は白金黒電極をも上回
り、平滑白金電極の3倍強を示す。
・Pdは活性には寄与せず、主としてRuが活性を支配する。
・単味及び二元(Rh)系で比べた場合、TcはReよりも触媒
活性が優れる。
【人工海水電解水素製造】
・4元系の水素発生開始電位は平滑白金に比
べ、約0.6V貴側にシフトする。
・より少ないエネルギー負荷で多くの水素が得
られる可能性が高い。
20
再処理プロセス;事故と安全機能
41
内 容
1. 巨大技術と安全性
2. 原子力発電所と核燃料サイクル
3. 再処理プロセスと安全設計
4. 原子力の事故例
5. 再処理(核燃料サイクル)の事故例
(1)歴史
(2)Red-Oil爆発、等に関する知見
(3)アスファルト爆発に関する知見
6.再処理の安全評価
42
巨大技術と安全性
【巨大技術の定義】
1)非常に沢山の技術要素を含んだ、複雑で高度な技術応用体
2)かなりのエネルギーないし有害要素を内包した体系、巨大な運
動量を帯びた体系
3)今後の社会経済の活力の維持向上、豊かな生活の確保のため
に欠かせない技術 ⇔ テロ対象技術
【例】
1)高層ビル、地下街
2)化学プラント、石油施設
3)原子力発電プラント
4)巨大ダム
5)微生物研究施設
6)高速鉄道システム
7)大型船舶
8)大型航空機
9)宇宙飛行システム
核燃料サイクル施設と共通
43
リスクとは
【定義】
将来発生するかも知れない、人間にとって望ましくないこと即ち、
人命、健康、財産等に関する有害な影響、に対する懸念
「リスク」=「被害の大きさ」X「発生確率」単位10-6死/人・年
⇒人口100万人あたりの年間死亡者数
<1
; 諦める
10~100 ; リスクとベネフィットのバランスを考えて対策や
改善のための投資を図る
>1000 ; 容認されない
【事例】 x10-6死/人・年
i) 自動車事故;200
ii) 墜落事故、地震(30)、鉄道事故(20)、台風・津
波(12)、海難・火災(10)
iii) 洪水、落雷(≪1)
【巨大技術のリスクの特徴 】
偏在し、一挙であること。しかも集中的、衝撃的。
最新鋭の技術への信頼を揺るがし、施設全体の財産的損害も
巨額。
44
リスクの比較(人口100万(106)人あたりの年間死亡者概数)
全死因
8485
放射線発がん
(放射線業務従事者)
がん
2551
水難事故
7.0
心疾患
1354
インフルエンザ
5.5
脳血管疾患
1039
他殺
5.2
喫煙発がん(現状)
800
自然災害
1.0
喫煙発がん(1000円)
300
HIV
0.4
自殺
239
食中毒
0.04
交通事故
91
落雷
0.02
55
BSE感染牛による
クロイツフェルトヤコブ病
0.009
放射線発がん
(一般公衆)
41
いろいろな事項についての10万人あたりの年間死亡数、体質研究会、http://www.taishitsu.or.jp/risk/risk2006.html
リスクのモノサシ、中谷内一也、NHKブックス
巨大技術(非原子力)の事故例
1)メキシコ・イスワテペックの事故(LPG貯蔵センター)
1984.11.19 火災爆発、死者約500人、負傷者約7000人、
2) インド、ボパールの事故(化学プラント)1984.12.2
UC殺虫剤製造プラント、毒性のメチルイソシアネート(MIC)の放出、
死者約2500人、障害者20万人
3) 日本航空ボーイング747事故(旅客機)1985.8.12
死者520人、負傷者4人、
4) スペースシャトル・チャレンジャー号事故(宇宙)1985.1.28
死者7人、個体ブースター継手部Oリングの機能不備、約30億$の損
害
5)ナホトカ号重油流出事故(タンカー)1997.1.2
船体の破断、死亡1名、約6m3
の原油流出・重大な環境汚染、
損害補償金額261億円
6) H2ロケット打ち上げ失敗(宇宙)
1999.11.15 343億円の損害
46
原子力施設での考え方
47
巨大技術【原子力】の事故例
1) ウラル・マヤーク(チェリャビンスク65)HLLW貯槽の爆発 放射性核種放出 1957.9.29
2) ウインズケール火災 1957.10.10 炉心黒鉛減速材火災 2万CiのI-131放出 数十人が白血病で
死亡
3) サンローラン・デ・ソー原子炉(フランス)炉心溶融 1963.10
4) 原子力砕氷船レーニン号原子炉暴走 1965.2
5) パロマレス米軍機B52-G墜落(スペイン南部)1966.1.17 4個の水爆のうちの2個の起爆装置が爆発500gのPuが土壌に残留
6) 原子力船「むつ」放射線漏れ1974.9.1
7) 海洋偵察衛星墜落(カナダ)1978.1.24 原子力電池搭載コスモス954 300万$の損害賠償
8) TMI島原子力発電所 炉心溶融1979.3.28レベル5
9) 原潜事故エコー2型K-431原子炉爆発(ウラジオストック)1985.8.10 10名死亡250名被ば
く
10) チェルノブイリ原子力発電所爆発1986.4.26レベル7 9000名死亡(WHO)55,000名死亡(14周年
追悼式典)
11) ゴイアニア被ばく事故(ブラジル)1987.9 Cs-137線源の盗難 250人被ばく、4名死亡
12) トムスク再処理施設爆発1993.4.6 U-TBP錯体の熱分解 Pu3.7x1010Bqの環境放出
13)ラプソディーNa貯蔵タンクの爆発1994.3.31プロパノールとNaとの反応による水素爆発レ
ベル3
14) 動燃高速増殖炉「もんじゅ」ナトリウム漏洩1995.12.8
15) 動燃東海アスファルト固化施設火災爆発1997.3.11 レベル3
16) JCO核燃料加工施設臨界事故1999.9.30 レベル4 日本で3番目の臨界事故2名死亡
17) トリカスタン原子力発電所 放射性核種放出2008.7.7レベル0 3万㍑のウラン溶液の流出 250
人被ばく
18) 福島第一原子力発電所炉心溶融・水素爆発2011.3.11 レベル7
48
溶融ガラスからの放射性核種の漏洩
49
再処理施設の安全の考え方;原子力発電所との比較
50
再処理・火災爆発事故例
35名の被ばく
51
再処理事故(火災・爆発)とその原因
【主な火災事故例】
1963/11/6 プルトニウム精製用陰イオン樹脂塔からの火災 ハンフォード工場(米)
概要:レドックスプラントに付随する陰イオン交換樹脂を用いたプルトニウム精
製プラントの火災。
原因:プルトニウムを吸着させた陰イオン交換樹脂に必要のない重クロム酸カリ
ウムを加えたことによる酸化反応等により、引き起こされたと推定されて
いる。操作温度が高かった可能性もある。
(事故後、操作限度温度を70℃としている。)
1964/10/1 陰イオン交換塔塔の陰イオン樹脂からの発火による火災 サバンナリバー工場(米)
概要:ネプツニウムを回収するための陰イオン交換塔から白煙があがる。
原因:明確にされていない。
【主な爆発事故例】
1953/1/12 硝酸ウラニル、TBP、有機溶媒混合物(レッドオイル)の蒸発間での爆発
サバンナリバー工場(米)
概要:硝酸ウラニル溶液の蒸発濃縮中に蒸発缶が爆発
原因:蒸発缶の供給液にTBPと希釈剤(ケロシン)が多量に混入、
有機物と硝酸ウラニルの急激な反応により爆発。
1959/11/20 蒸発缶での除染剤と硝酸のニトロ化反応による爆発
オークリッジ国立研究所(米)
概要:蒸発缶の除染作業中に爆発が発生。
原因:蒸発缶の除染作業では除染剤で除染、水洗いして、硝酸で洗浄のプロセス
を作業員が除染剤投入後、水洗いをせずに4M硝酸を加えて加熱洗浄したこ
とにより起こる。
1961/3/18 蒸発缶での有機物と濃硝酸の反応爆発
トムスク工場(露)
概要と原因:蒸発缶に有機物と濃硝酸が流入して反応し爆発。その経過等は不明
1962/6/26 Pu精製用陰イオン交換樹脂塔のパイレックスガラスカラムの破裂
フォントネオローズ研究所(仏)
概要:Puの分離精製実験のためにDowex1-X4(強塩基性陰イオン交換樹脂)に
Puを吸着させて放置、4日間後作業を再開したところ、カラムが破裂。
原因:樹脂を高濃度の硝酸と長時間接触させたことによる発泡による物理破裂
【火災・爆発事故の特徴】
・過去に約50件の発生。ほとんどが1960年代の初期まで。主に軍事用施設で発生
・有機溶媒の火災;溶媒の不適切処理、低引火点有機溶媒の使用、不溶解残渣(高崩壊熱)
と有機溶媒の 混合(ウインズケール1973.9)
・ジルコニウム粉末の発火;湿潤Zrの自然発火(ORNL1956.5)
・蒸発缶等でのウラン抽出錯体の爆発(Red-Oil);TBP(DBP)錯体を含む溶媒(TBP、ケロシ
ン)の加熱分解反応(SRP1953.1)
・この他金属ウラン、プルトニウムの自然発火、化学薬品による火災、イオン交換樹脂の火
災、電気設備ケーブルブル火災、水素爆発
再処理事故(臨界、漏洩)と原因
【臨界事故の特徴】
・過去に8件の発生。ウラン系5件、プルトニウム系3件。ウインズケールを除くとほとんどが
米国軍事用施設・研究施設で発生。
・ウラン系は全て高濃縮ウラン(235U~90%)の取り扱い時。非形状安全槽への高濃縮ウラン
やプルトニウムの誤移送が原因。
・非形状安全槽でのプルトニウムの蓄積、抽出条件異常によるウラン濃度上昇
【漏洩事故の特徴】
・環境への放射性物質の異常放出。約30件の内、期待漏洩約20件、作業ミスが原因。液体漏
洩約10件、配管の腐食、点検作業ミス、海洋放出韓の亀裂、バルブの故障ガ原因
・ハンフォード再処理工場での漏えい事故1973.7;貯槽のレベルチェック漏れと炭素鋼ライニ
ングの腐食が原因。高レベル放射性廃液が435m3地中からコロンビア川に流出
(137Cs;40,000Ci, 90Sr;1,4000Ci, 239Pu;4Ciを含む)
・旧ソ連チェリャビンスク(マヤック核兵器生産コンビナート)での漏洩事故1957.9(ウラル
核惨事);高レベル放射性廃液貯槽の爆発で漏洩。2,000,000Ciが環境放出。下流300Km環境
汚染、34,000人が被ばく。
放出核種は144Ce+144Pr(66%), 95Zr+95Nb(24.9%), 90Sr+90Y(5.4%)。 Puは痕跡程度
事故直後の被ばくは95Zrや106Ruによる。5年後の土壌汚染は90Srが主因
被ばく者7852人についての健康調査(~1987人)では、全ソ連の対象値と比較して悪性腫
瘍や生殖機能に関し優位な差はなし
54
アスファルト固化爆発について
55
56
事故原因の知識化
(1)プロセス;再処理工場の低レベル放射性廃液(硝酸ソーダを大量に含む)をpH調整後、
蒸発濃縮する。濃縮液に原料アスファルトを混合し、エクストルーダ(混合機)に送
り、蒸気により加熱、混合脱水する。脱水後のアスファルトはターンテーブル状の空
ドラムに充填し放冷して、安定固化体とする。
(2)事故1997.3.11;充填済みドラム缶数本に火災発生。火災発生後セル換気系のフイル
ターが目詰まりし、建屋及びセル換気系が全停止した。火災から約10時間後に爆発が
発生し放射性物質が環境放出された。レベル3の評価。
(3)原因;アスファルト混合物の加熱昇温
・脱水・混合機(エクストルーダ)内での物理的な発熱(摩擦熱)による充填温度の
上昇
・廃液とアスファルト原料の供給速度を低下させたことによる出口温度の上昇。蓄熱
性の高い固化体の温度が徐々に上昇。硝酸塩・亜硝酸塩とアスファルトの酸化還元
反応が進行し、可燃性熱分解生成物を発生、ついに空気と熱分解生成物との燃焼暴
走反応(爆発)にいたる。
・セル換気系の全停により不完全燃焼化が起こり、可燃性物質が滞留。
再起動した槽類換気系及び建屋換気系からの空気が混入して、爆発限界内となった。
・不十分(1分)な火災消火(規定では8分以上)及びアスファルトの自己発火ある
いはダクト内での電気系統による発火で着火
・アスファルトは種々の成分の混合物で熱化学反応の制御困難。硝酸塩も良くない。
化学安全への配慮不足
(4)環境影響;137Cs放出量14GBq、公衆の実効線量当量0.02mSv以下
57
Red-Oil爆発について
(1)館盛ら1986.2 JAERI-memo61-032
58
Red-Oil爆発について
(2)小澤ら1989.8 PNCZN8510 89-002
59
再処理プラントの安全設計(1)過去の経験を踏まえた想定異常事象
60
再処理施設の安全設計(2)特徴
 工程が多数のユニットに分かれており、それぞれがセルに収納。事故の
原因となる場所及び要因の種類が多様。
 各工程はほぼ常圧で、工程温度は高くても沸点付近である。
操作条件は原子炉に比べ一般的にはゆるやか。
 核分裂生成物は溶液に溶存しているので封じ込め要件は原子炉に比べ厳
しい。
 想定される事故の、種類は多いが、規模は原子炉に比べ小さい。
 従来は決定論的手法による事故評価。COGEMA社はUP3-A, UP2-800に
確率論的評価を実施。
 EXXon社は事故を5グループに分類。高レベル放射性廃液蒸発缶のRedOil爆発、他までを「設計基準事故」としてプラント工学的安全システム
に反映。以下の「仮想事故」については実際には起こりえない事象とし
て考察のみに留めた。(PNCZJ199 83-26(1)1983.5)
@ 大地震、大洪水、トルネード、破壊的大火災、大型航空機の
衝突(外部事象)冷却機能の全喪失、HLLWの土壌への流出
 COGEMA社はUP3-Aの設計で、4つの頻度カテゴリーに分類。発生頻度
10-1/年は運転上の事故とし、10-7/年以上の事象を設計に考慮。外部事象
はサイト依存とて設計に考慮すべき、としている。
61
再処理工場の安全設計(3)例
 臨界設計(装置、工程)
形状管理;①スラブ(S,D)、②アニュラー(S,D)、③円筒
中性子毒;①B入りラシヒリング、②Cd板
濃度管理;比重(水相、有機相)
質量管理;220gPu, 20Kg4%濃縮U
インラインモニター;nモニター(抽出器) Pu蓄積検知
臨界警報装置(建屋)
 火災爆発
工程温度管理; 60℃(溶媒抽出工程)
135℃(加熱用蒸気温度:蒸発濃縮工程)
工程操作管理;希釈剤洗浄装置、LP+
計装設計;圧力上限緊急操作装置PP+、温度上限緊急操作装置TP+
 漏洩
加熱用蒸気凝縮水放射性物質検知装置;αRP+、γRA+
漏洩検知装置(セル等);LW+
負圧警報装置dPA-(グローブボックス)
 被ばく管理;ラディエーションマップ、各種モニタ 耐震強度
免震装置、地震モニター
 非常用電源
非常用発電機(ユーティリティー施設、他);20秒以内に給電状態(電圧
6.6kV±3.5%、周波数 50Hz±5%)に復帰
無停電電源装置(高放射性廃液貯蔵場、他);充電器、蓄電池
62
63
再処理工場の安全確保
A
P
64
再処理施設安全に関する経験知(私の体験)
 定常作業より非定常作業の方に多くの危険が存在。多くの場合マニュアルがない、作業安全解析が不
十分
⇒ 非定常作業は極力避けるべし
 非形状管理槽(通称、バカタンク)への液移送および液処理には特に注意を払う(試薬調整、リワー
ク工程) ⇒ 多くの場合非定常作業。極力避けるべし
 多種多様の化学試薬を、同時に扱う工程は要注意(試薬調整)
 バイオリズムに反した勤務体制には問題が多い。特に、長期間に渡る場合
 工程操作パラメータは安易に変更してはならない。操作・管理判断は多重にチェックする(特に、液
移送) ⇒ マニュアルに即すべし。ない場合は、行わない。
 ハイドリックガード(水封)は信用するな
 放射性核種の配管内マイグレーションには注意。思わぬところで被ばくする
 (蒸気圧の異なる)混合溶媒のインベントリーには要注意。蒸気圧の低い溶媒(例えばTBP)が自然に
濃縮されている場合がある
 炉を含む全原子力施設を通じ、火災、腐食、水素爆発など、化学反応・化学安全に対する認識・配慮
不足を痛切に改めなければならない
65
米国・レアアース鉱山の安全管理
UCI Nilsson教授、学生1名、ポスドク1名の計4名でモリコープ社マウンテン・パス レア・アース鉱山を訪問し、工場長Rocky Smith氏の案内のもと(左下写真)、レア・アースの
選鉱・精錬工場、事業所を見学した(右下写真)。
工場現場では米国流安全管理の方法について実体験し、それが徹底されていることに感銘を受けた。UCIを交え、Rocky Smith氏とレア・アース資源やそれから
の放射性物質の分離等について意見交換し、将来の共同研究の可能性について議論した。原子炉を用いる元素変換技術では、特に重希土類元素(Dyな
ど)の創成について産業界側から高い関心が示された。
安全管理の方法
1)鉱山事業所入構の際、10問ほどの簡単な安全テストを科せられる(全てに正解しないと入構できない)
2)安全走行(制限スピード順守)の徹底。工場長とはいえ
3)停車、発車作法の徹底
⇔旧日本帝国海軍の3精神;5分前の精神、出船入船の精神、通報・伝達の精神?
4)ビニールホースのような仮設配管は一切ない。水漏れのようなもの皆無
5)無意味な立看、スローガン張り紙の類が一切ない
6)静粛、整然、クリーン
66

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